プジョー307ブレーク スタイル&XS(4AT/4AT)【試乗記】
フランス流儀のクルマ 2002.11.14 試乗記 プジョー307ブレーク スタイル&XS(4AT/4AT) …… 232.0/264.0万円 「フランスほど5番目のドアの価値を知っている国はない」(カタログ)とまで謳われる、プジョー307ブレーク。ユニークな「307SW」と一線を画す“普通”のフレンチワゴンに、笹目二朗が乗った。ブンまわす楽しみ
「ブレーク」とは、フランス車のステーションワゴン版の伝統的な呼称である。307の場合にはSWという新しい呼び名のモデルが登場し、ブレークはそれで代用されるものと思われたが、ボディを共用しながらも、独立した車種として登場した。
日本仕様の307ブレークは2種。1.6リッターのStyle Breakと、2リッターのXS Breakがある。共に4ATのみで、価格は232.0万円と264.0万円。SWが276.0万円だから、それほど差額は大きくなく、3列シートの7人乗りを採る方が無難という見方もある。どちらもシートを倒すなり、外すなりすれば、後部に大きな荷物収容能力をもつ点では同じだ。SWには広大なパノラマルーフという魅力的な装備もあるが、スチールの閉鎖されたブレークのルーフを好む人もあろう。ちなみにこの部分だけで、重量の違いは10kgある。もちろんスチールのほうが軽い。
ボディ全体の重量は、1.6のスタイル・ブレークで1330kg。2リッターのXSブレークで1350kgと、SWの1430kgよりはだいぶ軽い。よって運動性能は、ブレークの方が活発で軽快、とくに1.6はエンジン排気量の小ささを感じさせない軽さがある。日常的に高速道路の上り坂を積車で走る人には2リッター(137ps)がお勧めだが、2人程度の軽荷重で使うなら1.6(108ps)で十分である。エンジンを100%ブンまわして使うことに楽しみを見いだす、フランス流儀の運転者には特に……。
ATはまだ学習途上
サスペンション系の違いはさほど大きくないものの、やはりSWとの重量差は顕著で、余剰分はヘビーデューティな感覚を造りだしている。乗り心地に硬めでしっかり感がある。とはいっても、そこはフランス車の例外たりえず、フラットで姿勢変化のない乗り味は残され、重厚な感覚さえある。営業車的に酷使するなら、やはりSWより、荷重に余裕があるブレークということになるのだろうか。
「AL4型」オートマチックは年々改良されてはいるものの、Dレンジでのんびり走るにはまだちょっとコツが必要。これは積極的にマニュアルシフトして走る方が意思を反映できるタイプである。フランス人技術者にとって、ATはまだ学習途上にあり、現在日本の事情を調査研究中で、近々にもその成果は還元されるだろう。それまではアチラの流儀に従った運転法に慣れるしかない。日本流の早めにシフトアップしていく運転に慣れた人にとって、なかなかアップしないことに腹をたてるより、エンジンはここまで回した方が健康的と納得し、そのままスロットルオフすれば、エンジンブレーキ時には燃料カットが働き、燃料の節約に貢献していると思えばいい。山間部などでは、こうして回して使っても、思いのほか燃費は悪化しない。
親切な気配り
307ブレークは価格のわりに装備も充実している。照明付きのバニティミラー、シート下のトレイ、ドアロックするとミラーまで自動的に畳まれる装置など、親切な気配りが感じられる。
大きくみえて、広い室内を持つワゴン車は、実は全長が4.42mしかなく、丸いノーズの隅切りが効いて意外や小回りが利く。三角窓とドアミラー周辺の処理も、デザイン的にすっきり綺麗なだけでなく、視界の確保にも貢献する。またドアのマイナス・キャスターによるヒンジは、狭い場所でドアを十分に開けられない状況でも、カーブした上の部分が大きく開くから、顔をぶつけないで済む。だから慣れるに従い、狭い場所での出入りに重宝する。販売の状況は、当初はSWの人気が高いようだが、落ちついてくれば1.6スタイル・ブレークの実力が認められるだろう。
(文=笹目二朗/写真=郡大二郎/2002年10月)

笹目 二朗
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