ホンダフィット1.5T 2WD(CVT)【ブリーフテスト】
ホンダフィット1.5T 2WD(CVT) 2002.10.05 試乗記 ……180.5万円 総合評価……★★★★男が乗っても恥ずかしくない
フィットに乗るたびに感心させられてしまうのは、ミニバン嫌いも気を許してしまいそうな“アンチ腰高&アンチ水平垂直スタイリング”ながら、一歩車内に足を踏み入れると、ミニバンと同等の広大な空間が待っていることだ。シートアレンジもよく考えられており、使いやすい。欧州名「ジャズ」として販売が開始された、ヨーロッパでの評判が高いのも頷ける。
しかし走り始めると、ミニバン独特の腰高な運転姿勢などが気になってしまう。気にならない人は気にならないだろうが、重心の高いボディを右に左に振り回す感覚は、重心の低いセダンやクーペなどとは絶対的には同じにならない。だから、安定した姿勢を好む者には馴染まない。とはいっても、フィットは同類(?)の、いわゆる“ハイトワゴン”よりは運転感覚がはるかに自然で好ましいのだが。
それを差し引いても、特に追加された1.5リッターモデル「1.5T」は、数少ない“大人の男が乗っても恥ずかしくないマイクロミニバン”に仕上がっている。各部の造形センスに、ファミリー指向やファンシーなところが皆無だからだ。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年6月21日に登場した、ロゴの後継モデルにあたる、ホンダのまったく新しい小型車。燃料タンクを前席下に置き、荷室の低床化と、後席アレンジの多彩化を実現したのがジマンである。5ドアボディに1.3リッター+CVTのみというシンプルな構成だったが、2002年9月13日、1.5リッター直4VTECに、7段に刻んだCVTを組み合わせた「1.5T」が追加された。
(グレード概要)
「1.5T」は、1.3リッターモデルの上位に追加されたトップグレード。1.5リッター直4SOHCに、ホンダのお家芸「VTEC」を備えるエンジンを搭載。トランスミッションは1.3リッターモデルと同じCVT(無断変速機)だが、7段階に固定ギアを刻み、ステアリングホイールのスイッチでギアチェンジできる。もちろん、完全な無段変速オートマチックモードと、7段オートマチックモードも備える。
外観は、スモークドメッキのヘッドランプガーニッシュや、14インチアルミホイールなどで精悍さを演出。内装には、黒基調の専用シート地や、サテン調メッキを施したスイッチなどが配された。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
白文字盤のポルシェ風3眼メーターがクールな印象で、総じてインパネの質感は高い。空調やオーディオの操作もしやすい。しかし、ダッシュボードが強くスラントしているため、シートを後ろ気味にするドライビングポジションを好むヒトには、オーディオや空気吹き出し口など、ウインドスクリーン寄りのものに、手が届きにくくなる。“強いていうと”のレベルで、大きな不満点はないのだが、デキがいいだけに残念だ。
プレーンで、インテリアデザインとコーディネートされた標準装備のオーディオが使いやすく、センスがいい。珍しい例だ。
(前席)……★★★
高い着座姿勢と、ステアリングホイールを上から抱え込むような運転に、違和感を抱くかどうかで評価が分かれる。筆者は、ノーズ先端からステアリングホイールまでの距離が乗用車的に長く、高い着座姿勢との組み合わせにアンバランスさを感じた。ここまで上方に構えるのならば、自分からクルマの先端部分までが短くないと。2時間の試乗の最後まで違和感は消えなかった。
(後席)……★★
後席シートの前後長が短く、落ち着けない。その分、前席シート背面から膝までの距離が十分に感じられる。実際の空間も確保されているのだが。たたんでフルフラットになるシートアレンジメントはありがたいが、“フラット”にするためかシートの肉厚が薄く削られ、クッションがないに等しい。シートバックも極薄で、路面からの細かな振動を増幅して伝える。背中のマッサージにはいいんだけれど。
シートアレンジメントがよく考えられている。特に、リアシートの座面を背面側に跳ね上げて生まれる後席の空間は、上下寸法が豊かだ。燃料タンクを前席の下に配置する、ホンダご自慢の「センタータンクレイアウト」により、2列目シートの床を下げることができ、上下に最も寸法が採れる部分を徹底的に活用した成果といえる。遊びにも、買い物などにも活用の幅は広く、ユーザーは「このクルマを買ってよかった」と思うだろう。
(荷室)……★★★★
このクルマは、荷室だけを単独で評価しても意味がないだろう。なぜなら、様々に変化させられるシートアレンジメントによって、いろいろな荷物を多く積むことができるからだ。シートアレンジが、ただのギミックに終わっていないトコロが良い。筆者の唯一の不満点は、荷室の後端に高い“敷居”が残っていることだ。構造の強度確保なども関係していると思われるが、荷室とフラットになる敷居だったら大きく重い荷物がスムーズに出し入れできるはずである。主任研究員の川勝幹人氏に訊ねると、“敷居”があることによって「ハッチゲートを開けたとき、荷室の荷物が落ちてこなくていいという意見もあったので残した」そうだが……。
|
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
ホンダのクルマらしく、エンジンはよくまわる。VTEC搭載だが、「インテグラ タイプR」や「シビック タイプR」、「NSX」などスポーツカーのそれとは違って、過激に超高回転まではまわらない。バルブの切り替わり方も、ドラマチックではなくマイルド。低回転域からトルクは太く、使いやすい。
売り物の7段CVTだが、ステアリングホイール上のスイッチによって、無段変速のフルオート、7段オートマチック、7段マニュアルモードの3種類を、いちいち切り替えなければならず、面倒臭い。フルオートモードがスムーズに作動するので、一番いい。スポーティを訴求し、商品性を向上させるのだったら、ヨーロッパで売っている純粋の5段マニュアルを入れるべきだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
乗り心地は、ヒョコヒョコする。段差や舗装のつなぎ目を乗り越えての上下動があるし、加減速やコーナリングによる、ロールやピッチングもせわしない。落ち着きのない乗り心地だ。
また、路面やクルマの様子をあまり伝えず、軽々クルクルまわる電動パワーステアリングも、“スポーティ派”に訴求するには頼りない。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2002年9月24日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)185/55R15 81V(後)同じ
オプション装備:ホンダDVDナビゲーションシステム(18.0万円)/ディスチャージヘッドライト(5.0万円)/Lパッケージ(4.5万円)/Sパッケージ(12.0万円)/ハイマウントストップランプ(0.5万円)/大型テールゲートスポイラー(3.5万円)/15インチアルミホイール(2.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(7):山岳路(3)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。































