第170回:「日産ノート」メディア対抗エコチャレンジに挑戦
2013.02.05 エディターから一言第170回:「日産ノート」メディア対抗エコチャレンジに挑戦
自動車関連19メディアが参加
学期末に渡される通信簿には、必ずといっていいほど「ちゃんと先生の話を聞きましょう」と書かれていた。遠足の集合場所や始業式の日取りを間違えるなど、幼少の頃の私には説明の重要なポイントを聞き逃してしまうというクセがあった。
しかしそれは、不真面目だからというのではなく、単純に要点を聞き漏らしてしまうだけなのである。実際、始業式は予定よりも1日早く勘違いしてしまい、冬休みを丸一日損したのだから、怠けていたわけではない。
そんな思い出話は置いといて、今日は「日産ノート」を駆ってのメディア対抗「エコチャレンジ」に参加するために日産の本社へとやって来ている。
横浜の日産本社から、ノートに搭載されるエンジンを製造している名古屋の愛知機械工業熱田工場までをノートで往復し、その燃費を競うというこの企画、自動車雑誌やウェブサイトなどの自動車関連19メディアが参加して開催されるメディア対抗戦である。
われわれ『webCG』からは、ワタクシ工藤と高橋信宏カメラマンが参戦することとなった。
まずは日産本社の一室でルール説明と、省燃費運転のコツを聞く。
ここで、例の悪いクセが出てしまった。先生の、いやルール説明をしてくれた日産ギャラリーのコンパニオン「ミス・フェアレディ」の話をちゃんと聞かなかったのである。
このルール認識不足が後半、『webCG』チームに重くのし掛かるのであった。
(僕が把握した)ルールは9時20分にスタートし、15時までに愛知機械工業熱田工場に到着。そこまでのデータを中間発表し、その後名古屋中心部のホテルへ移動し宿泊。翌朝は9時にスタートし、15時までに再び横浜の日産本社へと戻ってくる。その間の燃費データを競うというものだ。ちなみに燃費データはノートのメーター内に表示されるコンピューターの数値で判断する。そして、到着時間に遅れた場合、1分当たり0.1km/リッター分の燃費値をマイナスするペナルティーが科される。
本社玄関前で記念撮影をし、いよいよ出発である。
工藤・高橋はバツグンのチームワークで準備を整え、出発予定時刻よりも早くスタートさせることができた。
その時間を利用して、まずは横浜市内で撮影だ。
もちろんそのための移動も燃費データとして評価の対象となる。
撮影の合間にあらためて車内を確認すると、ありがたいことにサンドイッチの昼食が用意されていた。昼食のために停車して、燃費値が下がらないようにという配慮だろう。
車両撮影も済ませ、いよいよ本格的にエコランスタート、といったタイミングで、われわれはまずこれを食べた。
サンドイッチの状態のまま車内に置いておくよりも、早い段階で体内に摂取し、すばやく代謝して熱エネルギーに変換した方が、重量的な観点から燃費向上に貢献するのではないか、などという理由ではなく、ドライバー・カメラマンとも空腹だったからである。
さて腹ごなしも済んで、ここからが本番だ。
人の話はちゃんと聞こう
アクセルペダルの開度を一定に保ち、できるだけ加減速しないように走行する。急激にアクセルペダルを踏み込むのは御法度だ。ノートのECOモードには「スムース発進アシスト」機能が備わっており、アクセルペダルに対するスロットルの反応を自動的に緩やかにしてくれるのだが、念には念を入れてジワリと踏み込んでゆく。
前車との車間距離を十分にとり、さらにその先の交通状況を見きわめることも、無駄な加減速、つまり無駄な燃料の消費を抑えることにつながるのだ。
首都高速を抜け横浜新道、東名高速をノートはひた走る。いちばん左の車線をのんびりと、時速80km程度で巡航する。このようなペースで走っていると、メーター内の瞬間燃費計は30km/リッターを表示する。下り坂でアクセルを離していても30km/リッターの表示なので、それ以上の数値でも、表示は30km/リッター止まりなのだろう。
この数字よりできるだけ落とさないような走りが、省燃費走行の鍵になるようだ。
ノートは御殿場を過ぎ、新東名高速道路へと入る。ここまでの燃費値は22km/リッターを表示している。
出発直後、横浜市内で撮影するために数km走行した時点では10km/リッター台だったので、大幅に伸びてはいるが、市街地走行の影響でおそらく他の参加者よりは悪い数値になっているだろう。
しかし、ここから先が燃費の稼ぎ時だ。80km/h程度で走る大型トラックの後について、スリップストリームで空気抵抗を減らす作戦に出た。
もちろん、あんまり車間距離を詰めすぎると危険なので、適度に離れるのだが、それでもなんとなくアクセルが軽くなるような気がする。
到着締め切りの15時に到着することを考えながら速度の調整をしつつ、東名高速、伊勢湾岸道を経由して、名古屋高速へと入る。
1日目のチェックポイント、愛知機械工業熱田工場に到着したのは15時数分前だった。
ここで運営スタッフから燃費計のチェックを受ける。この数値が1日目の中間成績となるのだ。
メーターに表示されていた燃費値は25.5km/リッター。ノートの燃費値はJC08モードで24.0km/リッター(われわれが乗っている「X DIG-S」の数値)なので、それは上回っている。
熱田工場では、ノートに搭載されるスーパーチャージャー付き直噴1.2リッター直3エンジン「HR12DDR」の生産ラインを見学した。
その後、燃費順位の中間発表。この時点でのトップは『ENGINE』チームで、燃費値はなんと29.9km/リッター。しかも、燃費計の数値は30.0km/リッターで、到着締め切り時刻を1分オーバーしてしまい、その分差し引かれての29.9km/リッターだというのだ。
この時点で、優勝の夢ははるか遠くにかすんでしまった。
そしてもうひとつ、夢が遠くなる現実を突きつけられてしまったのだ。
到着締め切り時刻が15時ではなく、スタートしてから5時間30分後だというルールを知ったのである。てっきり、15時に到着すればそれでいいと思っていた。「早くスタートしたからのんびりでいいや」というのは間違いだったのだ。
やはり先生とミス・フェアレディの話はちゃんと聞くべきだ。
しかも、出発時刻をきちんと把握していなかったので、われわれがどれくらいの時間で名古屋までたどり着いたのかわからない。
順位の中間発表も、上位3チームとブービーチームに限られていたため、『webCG』チームのペナルティー加算後の燃費値がどれくらいなのか知ることはできない。
暗澹(あんたん)たる気持ちでホテルに戻り、暗澹たる気持ちで夕飯の名古屋名物手羽先を食べたのであった。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
25.7km/リッターでゴール
さて、翌朝。2日目のスタートだ。
われわれ『webCG』チームの昨日のスコアがどれくらいだったのかわからないまま、横浜の日産本社を目指す。
昨日とは逆のルートをたどって横浜を目指すのだが、帰路は休憩をできるだけ減らし、本気モードで低燃費を狙った。
ノートのECOモードでは、CVTに備わる傾斜計で道路の状態を判断し、登り坂になった時も車速維持がしやすい設定になっているのだが、CVTの変速比とエンジン音を聞きながら、右足のスロットルペダルを微妙に開閉していると、とても足が疲れる。
けれども、真剣に右足に意識を集中していると、エンジンの回転に対するクルマの挙動が足の裏にじんわりと伝わってくる感じがするのだ。
これは新しい発見だった。CVTのクルマはMT車に比べてそういう感覚に鈍感だと思っていたが、CVTでも微妙な感覚は楽しめるのか。
途中運転を高橋カメラマンと交代しつつ、ノートは横浜新道へ。この時点で燃費計は26.2km/リッターを示していた。
そしていよいよ横浜みなとみらいに入り、ゴールとなった。
ゴール直前の市街地走行で燃費計の表示は26.1km/リッターになり、ゴール時の経過時間は11時間4分。11時間でゴールする必要があったのでペナルティーは4分、つまり燃費計の数値マイナス0.4km/リッターで、最終スコアは25.7km/リッター。最終順位は全19チーム中16位であった。
ちなみに総合1位は『ホリデーオート』の30.3km/リッター(!)、2位は『CAR GRAPHIC』の29.8km/リッター、3位は『XaCAR』の29.7km/リッターという結果となった。
上位入賞とはいかなかったが、それでも26.1km/リッターという数値はなかなかではないか。往復約700kmのうち、高速道路がほとんどを占めてはいるが、若干の市街地走行も含めての数値である。
真剣に心を配って走れば、ガソリンの消費はここまで抑えられるのだ。しかも、できるだけ燃料を使わないように走るのは、クルマと対話しているようで、けっこう楽しい。
燃費を意識して走ることの大切さと、人の話を聞くことの重要さをあらためて知った、今回の挑戦であった。
(文=工藤考浩/写真=高橋信宏)

工藤 考浩
-
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気 2026.1.15 日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。
-
第857回:ドイツの自動車業界は大丈夫? エンジニア多田哲哉が、現地再訪で大いにショックを受けたこと 2026.1.14 かつてトヨタの技術者としてさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さん。現役時代の思い出が詰まったドイツに再び足を運んでみると、そこには予想もしなかった変化が……。自動車先進国の今をリポートする。
-
第856回:「断トツ」の氷上性能が進化 冬の北海道でブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「ブリザックWZ-1」を試す 2025.12.19 2025年7月に登場したブリヂストンの「ブリザックWZ-1」は、降雪地域で圧倒的な支持を得てきた「VRX3」の後継となるプレミアムスタッドレスタイヤ。「エンライトン」と呼ばれる新たな設計基盤技術を用いて進化したその実力を確かめるべく、冬の北海道・旭川に飛んだ。
-
第855回:タフ&ラグジュアリーを体現 「ディフェンダー」が集う“非日常”の週末 2025.11.26 「ディフェンダー」のオーナーとファンが集う祭典「DESTINATION DEFENDER」。非日常的なオフロード走行体験や、オーナー同士の絆を深めるアクティビティーなど、ブランドの哲学「タフ&ラグジュアリー」を体現したイベントを報告する。
-
第854回:ハーレーダビッドソンでライディングを学べ! 「スキルライダートレーニング」体験記 2025.11.21 アメリカの名門バイクメーカー、ハーレーダビッドソンが、日本でライディングレッスンを開講! その体験取材を通し、ハーレーに特化したプログラムと少人数による講習のありがたみを実感した。これでアナタも、アメリカンクルーザーを自由自在に操れる!?
-
NEW
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。 -
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気
2026.1.15エディターから一言日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。 -
ルノー・グランカングー クルール
2026.1.15画像・写真3列7座の新型マルチパーパスビークル「ルノー・グランカングー クルール」が、2026年2月5日に発売される。それに先駆けて公開された実車の外装・内装を、豊富な写真で紹介する。 -
市街地でハンズオフ運転が可能な市販車の登場まであと1年 日産の取り組みを再確認する
2026.1.15デイリーコラム日産自動車は2027年に発売する車両に、市街地でハンズフリー走行が行える次世代「ProPILOT(プロパイロット)」を搭載する。その発売まであと1年。革新的な新技術を搭載する市販車の登場は、われわれにどんなメリットをもたらすのか。あらためて考えてみた。
