トヨタ・クラウン【開発者インタビュー】
守ってなんかいられない 2013.02.01 試乗記 <開発者インタビュー>山本卓さん
トヨタ自動車株式会社
製品企画本部
ZS チーフエンジニア
トヨタ伝統の高級セダン「クラウン」がフルモデルチェンジ。最新型はどのようなクルマなのか? この先どのように進化するのか? 開発者に話を聞いた。
後席よりも運転席
インタビューで本音を引き出すには2つの方法があると言われている。相手をほめて気持ちよくさせるか、あるいはあえてイヤな話を持ちだすか。とにかく定型的な一問一答にとどまらないナマの言葉を語らせたいわけだ。
今回は前者の方法をとった。「2.5リッターの『ロイヤル』は『クラウン』らしくていいクルマですね」と切り出したのだ。しかし、主査の表情は見る見るうちに曇っていく。マズい、気持ちよくさせるつもりだったのに……。
たしかに、ロイヤルはいいクルマですよ……ただ、ドライバーズカーとしては物足りないんですよね。
――後席に乗って気持ちよかったし、すぐに “いいもの感”が伝わってきましたよ。これぞクラウン、と感じましたが。
何をもって“クラウンらしさ”と言うかですね。安心感、乗り心地、安定感といったものがあって、ロイヤルはそれを目指すべきと思って作ってきました。ただ、それを追求しすぎると、運転して楽しい、という感じは出しにくいのかな、とも思います。
後席の心地よさより、運転席の楽しさを評価されたかったのだ。山本さんにとって、クラウンはまずドライバーズカーであるらしい。
実際には個人で買われる方が多いわけで、自分で運転するんです。もともと完全なショーファードリブンカーではありません。その用途なら、ウチには「マジェスタ」があるし、極端なことを言えば「センチュリー」だってあります。クラウンでも、ロイヤルは後ろの席にも乗るんですよ。ドライバーズカーということなら、100%「アスリート」なんです。3.5リッターのアスリートは、運転して楽しいですよ!