「ブレーキ液交換のタイミングは?」

2002.06.06 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ガソリン・オイル
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「ブレーキ液交換のタイミングは?」

ブレーキ液について質問があります。新車で購入して約1年9カ月、これまでに2万キロほど走っています。先日、ガソリンスタンドでエンジンルームの点検をされたとき、ブレーキ液が汚いといわれました。私は、ブレーキ液の減りかたでパッドの減りがわかるのだからむやみに足したり、交換しないものだと思ってました。せいぜい、パッド交換時にあわせて換えればよいと思っていました。ところが、スタンドのスタッフによると1年あるいは1万キロぐらいを目安に換えたほうがよいと言われました。不純物が増えると沸点が下がりブレーキの効きが悪くなるというのが彼らの説明でした。たしかにここ数カ月、ブレーキペダルがスポンジーな感触になってきたような気がします。実際にはどのくらいのタイミングで交換するのがよいのでしょうか?(TKさん)

お答えします。ブレーキフルードは、新車時には3年間の保証がされています。しかし2万キロ、1年9カ月も乗ると確かに汚れます。汚れているのを見て、少々メカに詳しい人であれば、交換を薦めることでしょう。

ブレーキフルードはグリコールエーテルを主成分としています。グリコールエーテルを使う理由は沸点を上げて耐熱性を高めるためと、空気中の水分が混ざってもそれを「抱き込む」いわゆる親和性ゆえにです。もしも水分とフルードが分離すれば、氷結や腐食をもたらし、ブレーキが機能を失うことも考えられます。

ブレーキ液の汚れは、グリコールエーテルが水分を「抱きこむ」ときに一緒に入ってくる大気中のちりをはじめ、埃、熱による酸化が主たる原因です。不純物が混入すると、沸点は下がり耐熱性が低くなります。同時にマスターシリンダーやキャリパーなど摺動部の潤滑性が悪くなります。

少し透き通った程度の茶色をしているうちにブレーキフルードを交換をするのが一番よいと思います。特に熱伝導性のよいスポーティなメタルパッドを使うとブレーキからの熱がブレーキフルードに伝わりやすいため、ブレーキフルードの劣化が早くなります。

ブレーキフルードは距離や乗り方によって汚れ具合も違ってきますが、1年に1回を目安に交換を行えば、より安全により快適にクルマに乗れると言えるでしょう。

またブレーキフィールがスポンジーになったとのことですが、これはフルードの汚れというよりも、おそらくパッドがかなり減っているせいだと思います。実際にパッドの減りぐあいを目で見て確かめることも重要です。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。