「ダンパー交換のコツは?」
2002.01.30 クルマ生活Q&A サスペンション「ダンパー交換のコツは?」
わが家の車はすでに10年目ですが、ショックアブソーバー(ダンパー)を交換すれば新車時に近い乗り心地に戻るのではないかと期待しています。しかし純正品以外のダンパーに交換する場合、 バネレートと減衰力のバランスを考えなければならないと思います。その際はどのような基準で選べばよいのでしょうか。(兵庫県 HMさん)
お答えします。お乗りになっているのが普通の乗用車ということを前提に話をします。乗り方や走行距離によってサスペンションの傷みかたは違ってきます。仮に10年、5万キロ以下で、ごく普通の市街地での買い物などに使ってきたとしましょう。丁寧に乗っていたとしても純正のダンパーの機能はかなり低下しています。機能とはダンパーに求められる減衰力というものです。
あいにくダンパーを交換しても新車時の乗り心地は得られません。サスペンションにはたくさんのゴムが使われており、時間が経つと硬くなって動きが悪くなり、乗り心地に影響を与えます。このゴムをすべて新品に替えないかぎり、新車と同等の乗り心地にはならないからです。しかしダンパーを新品に交換すれば、制動時の安定性や、不安のないコーナリング性能を取り戻すことができます。
ご質問にもあるようにサスペンションについて語るときは、ダンパーの減衰力とスプリングのバネレートは切り離せません。ただし、普段の街乗りということなら、スプリングについては考えなくてもよいかと思います。
ダンパーを選ぶにあたっては、たしかに純正品いがいのアフターパーツを候補にいれてみるのもおもしろいかもしれません。基本的には純正品より硬めのセッティングとなりますが、それを好むひとも少なくありませんから。メーカーによって傾向が違っているので、お店に確認するのも大事だと思います。減衰力を任意に変えられるタイプであれば、好みの硬さに設定して、違う楽しみを味わうことができます。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。