「鉄板とアルミ合金製ボディはどちらがいい?」
2001.04.01 クルマ生活Q&A ボディ「鉄板とアルミ合金製ボディはどちらがいい?」
最近、アルミボディの車が増えてきました。ウチの父は、「アルミは酸に弱いから、誰かに梅干しでも置かれたら、解けちゃうんじゃないか?」とかくだらないことを言ってますが、正直に言って、アルミボディのよさってどこにあるんでしょう?(神奈川SYさん)
お答えします。鉄とアルミには、それぞれ、良いところと苦手な部分があります。ご存知の通り、アルミは鉄に比べて軽く、比重はおよそ3分の1程度ですから、車体の軽量化をはかることが出来ます。車重を10パーセント軽くすると約10パーセント弱、燃費が向上すると言われています。加えて、アルミは90パーセント以上が再生できるほどリサイクル率が高いのも、大きなメリットといえます。
問題点は、コスト的に鉄より高くつく点にあります。実際、ボディやシャシーにアルミを使用しているのは、スポーツカーや一部のプレミアムカーで、量産セダンではほとんど用いられていません。もうひとつ、アルミのデメリットは鉄に比べて強度が低いことです。よって、たとえば鉄と同等の面積で同等の強度をもたせるためには、肉厚を厚くしなくてはなりません。結果、車体が大きくなったり、あるいは室内が狭くなったりします。
鉄は土へ埋めると、酸化して分解されるという点ではエコマテリアルです。ボーキサイトから精練したアルミは分解するのが難しく、なかなか土には帰りません。鉄かアルミか、メーカーは21世紀の地球とにらめっこしながら、選んでいくでしょう。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。