「ガヤルド」のワンメイクレース開催
2012.07.18 自動車ニュース「ランボルギーニ・ガヤルド」のワンメイクレース開催
富士スピードウェイを「ランボルギーニ・ガヤルド」の一群が疾走している。その数、なんと16台! これは2012年7月14日から15日にかけて開催された「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ」第2戦での一幕。ウオッチメーカーのブランパンがタイトルスポンサーを務めるこのレースシリーズは、2009年よりヨーロッパで開催されている「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・レース」のアジア版で、今年始まったばかりである。
■570psの4WDマシンで競う
今回のレースは、5月26〜27日にマレーシアのセパンで行われた開幕戦に続く第2戦で、この後、オルドス(中国。7月14〜15日)、広東(中国。8月18〜19日)、パンペイ(台湾。10月27〜28日)、上海(中国。11月10〜11日)と転戦していく。
チームの顔ぶれも国際色豊かで、今回出走しなかった2チームも含めると、中国:9チーム、日本:2チーム、香港:2チーム、マレーシア:1チーム、タイ:1チーム、台湾:1チーム、シンガポール:1チームがエントリーしている。
ランボルギーニがワンメイクレース・シリーズを開催する意義を、ランボルギーニ・ジャパン代表のエジナルド・ベルトリ氏は次のように語った。「われわれが手がけるスーパースポーツカーには、もともとモータースポーツのDNAが含まれています。また、モータースポーツに参画すれば、ブランドの認知度向上にも役立ちます。それとともに、ランボルギーニオーナーの皆さんには素晴らしいライフスタイルをご提供したい。そうした思いを抱いていたところ、ウオッチメーカーのブランパンにタイトルスポンサーを務めていただけることになったので、渡りに舟とばかりにシリーズを立ち上げることになりました」
レースに用いられるのは、「ガヤルドLP560-4」をベースにランボルギーニが開発したレース専用車、その名も「スーパートロフェオ・レースカー」で、エンジンは吸排気系の見直しによりベースモデルを10ps上回る570ps/8000rpmを発生。また、車重は徹底した軽量化により、こちらはベースモデルを110kgも下回る1300kgに仕上げられた。サスペンションはホイールストロークを制限するとともにレース専用のスプリング/ダンパーを装備。ブレーキもレース用に強化したものを採用している。
しかし、何といっても注目すべきは、オリジナルの駆動方式である4WDをそのまま採用している点だろう。ちなみに、SUPER GTなどに参戦しているFIA GT3仕様のガヤルドはすべて後輪駆動。これがどんな効果をもたらしたかは、後述することにしよう。
■悪天候ながら高い完走率
駆動方式とともにスーパートロフェオで特筆すべきことは、1大会2レースで開催される週末の走行時間が豊富なことだ。今回は、イベント前日の7月13日に30分の練習走行を2回実施。さらに、公式予選は間に5分間のインターバルを挟んで合計30分間にわたって行われる。
土曜日と日曜日に1回ずつ繰り広げられる決勝は、1戦50分間のタイムレース。途中でピットストップが義務づけられるほか、2人1組での参加が認められているとはいえ、富士のストレートでは最高速度280km/hを超えるスーパースポーツカーをアマチュアドライバーが操るには、十分すぎるほど余裕のあるスケジュールといえる。
そう、このレースシリーズのもうひとつの特徴は、参加できるドライバーがアマチュア、いわゆるジェントルマンドライバーに限られることにある。実は、ヨーロッパで開催されているスーパートロフェオもアマチュアのみに門戸が開かれているが、アジアシリーズではこの規定をさらに厳格に運用。真の意味でのアマチュアのみが参加できる仕組みになっている。
土曜日に行われた予選では、中国からエントリーするアンソニー・リュウ氏とダヴィデ・リッゾ氏のコンビがダブル・ポールポジションを獲得。二人は決勝レースでも首位を譲ることなく、第2戦で2連勝を果たした。
ところで、レースが開催されたのは、九州地方を記録的な大雨が襲った週末。富士スピードウェイがある静岡県地方も降ったりやんだりの、あいにくの空模様となり、決勝レースは2戦ともセミウエットという難しいコンディションのもとで実施された。ところが、目立ったアクシデントが起きることもなく、レース1では16台中13台が、そしてレース2では16台中14台が完走したのである。
レースを見守っていアウトモビリ・ランボルギーニのマウリツィオ・レジアーニR&Dディレクター兼モータースポーツ責任者は、「このコンディションでも多くのマシンが無事走り切れたのは、ガヤルドが4WDを採用しているから。今回は、その優れたコントロール性が証明されました。もしも570psで後輪駆動のマシンがレースをしていたらと考えると、ぞっとしますね」と語ると、深い安堵(あんど)の表情を浮かべたのである。
(文=大谷達也/写真=ランボルギーニ・ジャパン)
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