三菱エアトレックTURBO-R(5AT)【試乗記】
ラクチンでイイ 2002.06.18 試乗記 三菱エアトレックTURBO-R(5AT) ……249.3万円 “スマートオールラウンダー”こと、三菱「エアトレック」に、「ランサーエボリューションGTA」の2リッターターボ+5段ATを載せた「TURBO-R」が、2002年6月10日に登場した。神奈川県は箱根で行われたプレス向け試乗会での、webCG記者チョイ乗り報告。高性能よりも……
RVと乗用車の中間、いわゆる「クロスオーバーコンセプト」でつくられた三菱「エアトレック」。日常からレジャー、ちょっとしたオフロードまでこなす「スマートオールラウンダー」に、「ランサーエボリューションGTA」の2リッターターボ+5段ATを載せた「TURBO-R」が、エアトレック発表からなぜか1年遅れて登場した。
「当初からターボエンジン搭載の計画はあったのですが、もともと1年遅れの予定だったんです」「ランエボGTAの開発に押されて……」とは、開発を統括した村崎勇雄商品開発プロジェクトマネージャーの弁。載せるモノが開発中では、遅れるのもしかたない。エアトレックのライバルと目されるスバル「フォレスター」や、日産「エクストレイル」には、ターボモデルが存在する。むしろターボが、マーケティング上重要なポジションを担っているといってもいい。しかし、「高性能よりも“新しいジャンル”をつくろうとしたクルマなので。ターボで訴求しようとは思いませんでした」(村崎氏)ということだ。
ランエボGTAの最高出力は272ps。しかしエアトレックTURBO-Rの最高出力は、240psに低められた。さきに述べた「高性能よりも……」の理由から、あまりのハイパワーはミスマッチと考えられたからだ。最大トルクは35.0kgmと変わらないが、発生回転数が100rpm低い、2500rpmとなった。タービン径を約2割小さくしたことにより、アクセルペダルの反応がよくなったという。トランスミッションは、シフトレバーの前後でシフトできる、「INVECSII スポーツモード5AT」。ステアリングホイール上の、シフトスイッチは健在だ。
TURBO-Rのギア比は、ファイナルを含めてGTAと同じ。ランエボGTAより40kg重い1520kgのウェイトは、トルク重視のセッティングでカバーするのだろう。
“微妙”なインテリア
TURBO-Rは、ノーマルと外観にも差別化が図られた。前後バンパー、グリル形状、ホイールなどの意匠を変更。しかしこれらは控えめなアピールで、デザイン上のハイライトは、インタークーラーへと空気を導く、小さめのエアインレット。三菱車にありがちな、仰々しさがないのがイイ。
サスペンションは、硬めのスポーツサスペンションを採用、車高はノーマルより10mmローダウン。フロントサスペンションに、左右サスペンションアームを結んで、横剛性をあげるロアアームバーを取り付けたことで、最低地上高は35mm低い160mmとなった。オンロード&オフロードを走れるのがウリだが、実際オフロードを本気で走ることはまずないだろう。やや小さくなったロードクリアランスは、大きな問題にはならない。さらに、ボディはターボのパワーに対応するため、レインフォースメントなどで補強。ねじれ剛性は、ノーマルに較べて約30%向上したという。
インテリアもTURBO-R専用。どちらもブラックを基調に、カーボン調トリムの「エモーショナルスポーツ」と、ブルー木目調トリムの「エレガントスポーツ」の2種類である。カーボン調はさておき、「エレガントスポーツ」が“微妙”。濃い青地に黒のまだら模様を黒内装にトリムとしてあわせると、和室にアールデコ調の家具をおいたような違和感がある。
このインテリア、かつてダイムラークライスラーでデザインを担当していたフランス人、オリビエ・ブーレ氏の「ミツビシの内装をエレガントにしよう」という提案で採用したそうである。しかも最初は、これ1種類の予定だった。「急遽ユーザー調査をしたところ、“イイ”と“絶対買わない”のまっぷたつにわかれました」と村崎氏。「やっぱり社内でも“この内装はヤバい”と?」と聞くと、ちょっと困った笑顔で「はい……」とおっしゃる。とはいえ、イイという人も50%いるわけだし。個性の強いインテリアだから、気に入ったひとにはたまらない魅力かもしれない。
なお、NA車に用意されるテラコッタ調「カジュアル内装」、黒木目調「ジェントル内装」は、ターボモデルでは選べない。
ラクだから
走り出すと、35.0kgmのトルクは伊達じゃないことが実感できる。最大トルクが2500rpmという低い回転数で発生するから、運転がラクチンだ。いかにも余裕あるアウトプットだから、フル乗車&積載時でも、安楽に走ることができるだろう。1速をローギアードに設定して鋭い出足を演出、0-100km/hは8.3秒を誇る。2速以降はやや高めのセッティングだが、トルクに厚みがあるので不満は感じない。
サスペンションをノーマルよりも硬めにしたことで、特に低速では突き上げを感じるが、速度が乗れば気にならない。215/60R16という標準的なタイヤサイズは正解だ。コーナーではロールが適度に抑えられ、RVと乗用車の中間たる、1540mmのハイトを気にせず、安心して曲がることができた。
エアトレックの月販目標は、TURBO-Rが追加されたことで2500台(うちターボは1000台)を見込む。ちょっと少ないのでは、の質問に村崎氏は「確実な線を狙いました」。これまでの平均売り上げ台数が約2000台/月だから、謙虚な姿勢である。
「エアトレックの美点は、なんですか?」とうかがうと、立体駐車場に入ることやワゴンとしての使い勝手の他に、「RVやセダンから乗り換えていただいても、違和感なく乗りやすい」とおっしゃった。確かにそのコトバ通りのクルマだったけど、裏返すとセダンやRVという選択肢を、残すことにもならないだろうか。「ランエボGTA譲りのエンジン」が、果たしてエアトレックの大きな武器になるか。個人的には、「ラクチンでイイな」と思いましたが。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2002年6月)

大澤 俊博
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