マツダ・デミオ 1300ピュアレ(4AT)【試乗記】
『5年目の薄化粧』 2001.07.27 試乗記 マツダ・デミオ 1300ピュアレ(4AT) ……159.5万円 “背の高い小型ワゴン”の先駆モデル、デミオ。登場以来5年が経ち、いまだにマツダの稼ぎ頭である。2001年6月25日に、若い女性をターゲットにしたカラーコーディネイト版「ピュアレ」と、若い男性を狙った空力パーツ取り付けモデル「エアロアクティブ」がラインナップに加わった。7月26日、東京都内で開催されたプレス向け試乗会に、webCG記者が参加、男だてらに(?)ピュアレに乗った。■積極的な普通さ
華々しくV字型の業績回復を果たした日産自動車とはうらはらに、いまひとつ冴えないマツダである。現在、(あまり知られていないけど)「ミレニアムプラン」と呼ばれる中期計画が進行中。昨2000年度1275億円にのぼった「当期利益」の損失(「経常利益」は323億円の赤字)を、今年は収支トントンにするのが目標だ。
2001年7月26日、ヒット作「デミオ」のプレス向け試乗会が東京都内で行われた。リポーターが乗ったのは、内外装をカラーコーディネートして若い女性をターゲットとした、6月25日に追加されたグレード「ピュアレ」。アップビートの「Stand by Me」が流れるTVコマーシャルを見た方がいるかもしれない。ブレーシンググリーンとスパークリングシルバーにはオレンジ、グレイシャスシルバー、サンライトシルバー、ピュアホワイトにはブルーを随所に配したインテリアが組み合わされる。エンジンは、1.3リッター(83ps、11.0kgm)のみ。トランスミッションには、4段ATと5段MTが用意される。
着座位置が高めのドライバーズシートに座ると、スカットルやダッシュパネル、ショルダーラインが低いので、ストレートに視界がいい。ドアトリムや座席背もたれ、センターコンソールの一部にオレンジ色が使われ、窓枠の内側や、サイドミラーに映るボディペイントで、運転手はあか抜けたカラーコーディネートを知る。ウレシイ。「若い女性がターゲット」なんて男女差別的なコンセプトを掲げないで、次は男性向けの「ピュア郎」を設定することをオススメします。
久しぶりにステアリングホイールを握ってみると、このクルマ、「着座姿勢」「ドライブフィール」と、いやなトコロがまるでない。いまさらながら、デミオのイイところは「積極的な普通さ」なんじゃないかと思う。「普遍性」と言い換えてもいい。ロングセラーの大切なファクターである。「デビュー5年目にして、まだ月6000台売れてます。立派でしょう?」とマツダのエンジニア氏は目を細める。立派です。
■次世代の不安
フォードグループのなかで埋もれないために、マツダ近年しきりと「キビキビとしたハンドリング」を謳う。デミオもけっして速くはないが、なかなか活発だ。1.3リッターシングルカムは、3000rpmを超えると俄然ニギヤカになるけれど、個人的には「元気があってよろしい」と思う。試乗を終えてお話をうかがったエンジニアの方が、「もうちょっと静かにしたい」とおっしゃるので、「ユーザーからの要望が高いんですか?」と聞くと、「それほどでもない」と言う。じゃあ、いいじゃないですか。
1300ピュアレの乗り心地は、細かい凹凸を正直に拾うきらいがあるが、総じてフェアなものだ。テスト車は標準の「165/70R13」ではなくオプションの「175/60R14」(ヨコハマAspec)を履いていたせいもあってか、コーナーでもしっかりしている。運転が楽しい。エンジン、足まわり、ボディと、「いかにもバランスがいい印象を受けました」とエンジニア氏に感想を述べると、「そうでしょう! 販売されるデミオの約85%は1.3リッターですから」と胸を張った後、「1.5は……、ちょっと荒いかな」と声のトーンを落とした。
1996年にデビューしたデミオは、3年後にマイナーチェンジを受け、ボディ各所が補強された。1.5リッター(100ps、13.0kgm)モデルに、スポーティグレード「Aletta(アレッタ)」が加わったのも、このときである。
最近のユーザー調査では、デミオの「内外デザインの競争力低下」が明かとなった。色の配色に気を配った「ピュアレ」、空力パーツを取り付けた「エアロアクティブ」の追加は、その対策である。「今年はこうした細かいことしかできませんが、来年からは新しいモデルを投入できますから……」とのこと。
マツダは生産車の輸出比率が大きいために、為替変動による業績への影響が大きい。そのため「ミレニアプラン」の眼目のひとつとして、昨年、同社の欧州生産拠点が決定された。次期デミオは、フォード・フィエスタとプラットフォームを共有して、スペインはバレンシアで生産される、とささやかれる。実直なハッチモデルが、妙にカワイ子ぶったセクレタリーカーに変じたフェスティバの悲劇(!?)を繰り返さないことを、切に願います。
(文=webCGアオキ/2001年7月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。































