マツダ・デミオXD(FF/6AT)/デミオXDツーリング Lパッケージ(FF/6MT)
心がこもっている 2014.12.22 試乗記 日本のBセグメントハッチバックの定番、「トヨタ・アクア」と「ホンダ・フィット」の背後に、いよいよ新型「デミオ」がピタリと付いた。2014年11月の販売台数は約8900台。新車販売ランキングの第4位という健闘ぶりだ。ハイブリッドをラインナップに持つ「二強」にどこまで迫れるか。もう一度、デミオのディーゼルモデルに試乗する。やはりディーゼルが人気
ちょっと前に行われた新型デミオの試乗会には某国営放送の密着カメラが入っていた。どうやらあの、『仕事の流儀』とかいう番組がパワートレインの開発担当役員を追いかけていたらしい。内心、今頃かいとも思ったが、遅まきながらとはいえわれわれのような自動車メディアだけでなく、巨大な一般メディアもマツダに注目しているのだから、何にせよ喜ばしいことである。その後デミオが今年のカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことはご存じの通り。さらに初期受注も好調で、9月半ばの予約受付開始から1カ月あまりでおよそ2万台を受注したという。
それは少しも驚くには当たらない。何しろ新型デミオは今、一番まっとうで上質なコンパクトカーだからだ。しかもその中ではディーゼルモデルが6割以上を占めるという。発売直後は高いモデルから売れるというのが定説で、「アテンザ」の時も「アクセラ」の時もそのうち下がると見る人が多かったが、その後もディーゼル比率は高いままだった。どうやら今回もその予想は外れそうだ。デミオのディーゼルは約178万~220万円とコンパクトモデルとしては高価にもかかわらず(他社のハイブリッドと同レベル)、1.5リッタースカイアクティブ・ターボディーゼルを積んだモデルを選ぶ人が大半だということは、コンパクトカーでも値段だけで選ばれるわけではない、という当たり前の事実をあらためて知らしめている。
もちろん、サンダル代わりに使うから安いので十分というユーザーも多数いるし、その人たちの要求に応えることも必要だ。ただサンダルなのに、マラソンも山登りもできます、と強弁するのをそのまま受け入れるほど、今のユーザーは甘くない。サンダルを選ぶなら、サンダルに徹した車のほうがいいのは当然。過去最高益をたたき出すいっぽうで、自動車メーカー各社の国内販売台数が上向かず、軽自動車の比率が徐々に増え続けているのは消費税増税のせいだけではないように思う。