トヨタ・マークII2.5グランデiR-V(5MT)【ブリーフテスト】
トヨタ・マークII2.5グランデiR-V(5MT) 2000.11.07 試乗記 ……372.5万円 総合評価……★★オトウサン・アット・ハート
スモールキャビン、低い車高のハードトップスタイルから、スペースユーティリティを重視した実用セダンに方向転換したニューマークII。太いCピラーが頼もしい。
「グランデiR-V」は、シリーズ中唯一、マニュアルギアボックスを備えたスポーティ版。
280psの2.5リッターターボは、タコメーターの針が回っても、発生出力の段付き感なし。ターボバンの過剰感は抑えられ、しかし確かな加速で過給器付きエンジンのありがたさをオーナーに感じさせる。絶妙のさじ加減だ。
街なかでも、高速道路でも、そして山岳路でさえ、トロンとした乗り心地を崩さない。エンジン制御とトラクションコントロール、そして執拗に路面を捉え続けるしなやかな足まわりで、「テイルスライドを楽しむ」といった幼稚なことを許さない。
グランデiR-Vは、ドライバーがクルマと一体化することを拒否する慇懃無礼なスポーティセダン。気持ちは若いが、「燃える」のは面倒なおとうさん向け。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
姉妹車クレスタとチェイサーに先立ち、2000年10月24日にデビューした9代目マークII。新しいトヨタの中堅FRセダンは、ビッグキャビンスタイルを採り、窓には枠が付いた。2.5リッターターボ(280ps)、主力の直噴2.5リッターNA(200ps)、直噴でない2.5リッターNA(200ps)、2リッター(160ps)、4種類のエンジンが用意される。ラグジュアリー指向の「グランデ」、スポーティの「グランデiR」に大別される。
(グレード概要)
ターボユニットを積む「グランデiR-V」には、4ATのほか、シリーズ唯一の5MTがラインナップされる。NAの「iR-S」と比較すると、前後異形サイズのタイヤを履き、トラクションコントロール、リミテッドスリップデフが標準装備されるほか、ステアリングのアシスト方法も、「新プログレッシブ」と呼ばれるものになる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ダッシュボード、ドア内側などの樹脂類は、艶消し黒のシボ付きで、品質感高し。視線移動を少なくするため、ナビゲーションのディスプレイをセンターコンソール高い位置に配する、空調関係のボタンを大きめにして、かつウッドパネル内に収める、目立つ所にハザードスイッチを置くなど、機能的にデザインされたインストゥルメントパネル。
(前席)……★★★
たっぷりとしたサイズ、しっとりとした肌触りの生地を使ったシートは、あたりが非常にソフトで、贅沢な気持ちにさせる。一方、座面、背もたれとも、サイドを無地の黒にして、スポーティさを演出。「革+アルカンタラ」と同じ効果を狙ったファブリック内装だ。
(後席)……★★★★
「FRセダン」を感じさせない広さをもつ後部座席。シートは、前席と同じ印象のラグジュアリーなもの。足もとにはじゅうぶんなスペース。また、ボディサイドの絞り込みが少なく天井が高いため、肩、頭部まわりとも窮屈さがない。バックレスト一体型ながら、大きく、しっかりとしたヘッドレストにも好感。
(荷室)……★★★★
床面最大幅153cm、奥行き110cm、高さ50cmと、セルシオに匹敵するラゲッジルーム。リアバルクヘッドの「引き戸」を開けると、幅77cm、奥行き30cm、高さ35cmの「ラゲージユーティリティボックス」に車内からアクセルすることができる。「……ボックス」を外せば、トランクスルーが可能になる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
2400rpmで最大トルクを発生する、使いやすいエンジン。回しても斬新的に出力が高まる抑制の利いたターボユニットだ。惜しむらくは、ギアボックスのフィールの悪さで、大トヨタの製品とは思えないほど、硬く、時にひっかかる。すくなくともテスト車に関しては、シフトに何のヨロコビも見いだせなかった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
スムーズで、とがったところのない、あたかもゴム膜を通して路面と接しているかのようなトヨタ車共通の乗り心地。路面、状況が変わっても、同一フィールを維持するのは驚くばかり。ハンドリングは素直だが、退屈。先代マークII兄弟の中古車が「ドリフト族御用達」になったのに懲りたか、きつい「曲がり」では、コーナリングスピードが上がるのを、可能なかぎり抑えようとする。立派だ。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:web CG 青木禎之
テスト日:2000年11月3日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1569km
タイヤ:(前)215/45ZR17/(後)225/45ZRE17(いずれもブリヂストンPotenza RE040)
オプション装備:盗難防止システム(2.0万円)/フロントウィンドウ撥水加工(0.5万円)/DVDナビゲーションシステム(29.0万円)/前席サイド&カーテンシールド・エアバッグ(8.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:359.9km
使用燃料:61.4リットル
参考燃費:5.9km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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