トヨタ・カローラフィールダー1.8S 4WD(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カローラフィールダー1.8S 4WD(4AT) 2000.11.08 試乗記 ……217.9万円 総合評価……★★パッと見オーケーなら……?
日本における従来カローラの最大の問題は、セダンでいうと顧客年齢層の上昇だ。すでに60歳に近づいていたのではないか。このままでは先細り。
一方、若者にとって「これ以外なし」のカローラであるところのワゴンは、売れ行きで日産(車体)ウイングロードに負けていた。さらに、全トヨタ的課題として欧州市場でヴィッツの上にくる、しかも戦闘力のあるセダンが欲しかった。それら諸条件を勘案すると、1.3/1.5リッター用のシャシーに、より大きなエンジンを積む必要があった(?)
その結果、テスト車1.8リッターのカローラフィールダーはどうも仕上げが粗雑だ。日本のガキ、いや若者にパッと見で「あ、いいじゃん」と思わせればオーケー、みたいなクルマづくりが見えてしまう。あるいは見える気がする。すくなくとも、フィールダー買うならこれ以外を。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年8月28日に発表された9代目カローラ。ボディは、4ドアセダンと「フィールダー」と名づけられたワゴンの2種類。エンジンラインナップは、セダンのみの1.3リッター(88ps)、1.5リッター(110ps)、1.8リッター(136ps/ワゴンには190psも)のガソリンユニットと、2.2リッターディーゼル(79ps)。トランスミッションは、4AT、5MTが用意される。駆動方式は、FFのほか、4WDもある。
(グレード概要)
フィールダーは、ベーシックの「X」、標準仕様の「X Gエディション」、ちょっと豪華な「S」、そして6段MT搭載のスポーティ版「Zエアロツアラー」がラインナップされる。メッシュグリル、本革巻きシフトノブ、運転席側フットレストが備わることなどが、「S」と「X」との装備上の相異点。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
前席からの眺めは、もはやカローラではない。というか、ほとんどミニバン。ただし、旧型比で大幅に高くなった着座位置に対してカウルトップがさらに高いところにあるので、ミニバン系特有の見下ろす嬉しさはない。もちろん、車両直前の見切りは悪い。日本で使われることを重視したセダン/ワゴンのデザインでは明らかにない。つまり欧州重視型だ。ダッシュボードまわりの質感は、明らかに最新のフォルクスワーゲンを意識したタイプ。でも嬉しくない。
(前席)……★★
天井までの空間の余裕の大きさを前提に、シート全体を動かすリフターがついている。が、使ってみると、まだしもポジションが出るのはいちばん低い位置のみ。座面を上げていくと、座面後部が高くなりがち。「点」でカラダを支えることになり、これはツラい。つまりこのリフター、小柄なドライバーに対するとりあえずの対策として以外にほとんど意味がない。いちばん低い位置でも、ポジションが違和感なくキマった実感は薄い。というかない。空間設計としては旧型までとまったく別世界のはずで、それに対する不慣れが正直に露呈したか。
(後席)……★★★★
空間の余裕に問題なく、また着座姿勢その他シート側の環境も(リクライニングを使わなければ)セオリーどおりにできている印象。ワカモノ向け内装調度のせいか、カローラに乗ってる実感はまったくないが、少なくともイビツなものではない。間違いなくウイングロードの後席よりは嬉しい。あるいは、ひょっとするとカローラセダンの後席よりも着座姿勢はいいのかもしれない。
(荷室)……★★★
外見からして窓の下端の位置が高い。ということは、そのぶん荷室は深い。床下にも収納スペース、とは要するに上げ底で、これにより後席を畳んだ際も荷室床面はフラットなまま拡大される。また敷居との段差も小さくできる。ま、文句は特にない。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★
車体側の想定キャパを超えているせいか、それともマッチングを真剣にやっていないせいか、はたまたエンジンじたいのデキがよくないせいか、いずれにせよフィーリングがよくない。ハッキリいって安モノ感バリバリ。コロナに載っていた旧世代のS 型でもこれよりしっとり回った。ヨンクとはいえ、1.25トン(これは軽い!)に1.8リッターだからオソくはない。だがありがたみはない。かといって痛快にブン回るわけでもまたなし。意味ないじゃん。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
ルノーのような磐石の安心感があるわけでなく、カローラのようなくんにゃりしたソフトさがあるわけでもない。プジョーのような痛快さもまたない。(シャシーにとっては)少々掟破りに強力な動力性能と、あとはヨンクという事情に合わせてなんとか妥協点を見つけるとここしかない、という感じか。ひょっとして、新型カローラのうち乗っていちばん嬉しくないのがこの仕様かも。だからといって190ps +6MT の仕様を薦める気もないが。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者: 森 慶太
テスト日: 2000年9月25日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離: 2211km
タイヤ: (前)185/70R14 88S/(後)同じ
オプション装備: アルミホイール(5.0万円)/ナビゲーションシステム(18.1万円)/サラードサイドマッドガード+カラードフロントスポイラー(5.0万円)
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離: 630.4km
使用燃料: 45.2リッター
参考燃費:13.9km/リッター

森 慶太
-
シボレー・コルベットZ06コンバーチブル3LZ(MR/8AT)【試乗記】 2026.6.18 ルマンウイナーのパフォーマンスを、爽快なオープンエアで満喫! レース直系のV8エンジンと、圧倒的なシャシー性能が自慢の「シボレー・コルベットZ06コンバーチブル」に試乗。広く門戸が開かれた、アメリカンスーパースポーツの魅力の一端に触れた。
-
トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)【試乗記】 2026.6.17 「RAV4」は世界で年間100万台以上が販売されるトヨタ屈指の売れ筋モデルゆえに、最新の技術や装備がこれでもかと詰め込まれている。販売拡大が見込まれるプラグインハイブリッド車にそれが顕著だ。「Z」グレードの仕上がりをリポートする。
-
ホンダZR-V e:HEVクロスツーリング(4WD/CVT)【試乗記】 2026.6.16 「ホンダZR-V」といえば、スポーティーな走りが魅力のコンパクトSUVだが……人気ジャンルの一台にもかかわらず、その存在感はちょっと薄めだ。今回の一部改良でアピールを強めることはできたのか? 特別仕様車「クロスツーリング」に試乗して確かめた。
-
ホンダ・スーパーONE(FWD)【試乗記】 2026.6.15 ホンダからアグレッシブなキャラクターの新型電気自動車(BEV)「スーパーONE」が登場。往年の「シティ ターボII」を思わせるコンパクトなBEVは、先達(せんだつ)に負けない刺激を持ち合わせているのか? 気になる走りを、箱根のワインディングロードで確かめた。
-
ディフェンダー110ハードトップX-DYNAMIC SE D350(4WD/8AT)【試乗記】 2026.6.13 写真を見ていつもの「ディフェンダー」とはどこか違うと思われた方は鋭い。このクルマは1ナンバー、つまり商用車登録の「ディフェンダー・ハードトップ」である。全長約5mのボディーに備わるシートは前の2座のみ。広大な荷室を使いこなす生活を思い描いてみた。
-
NEW
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】
2026.6.20試乗記トヨタからワゴンのようなボディーの新型電気自動車「bZ4Xツーリング」が登場。いわば既存の「bZ4X」のロングボディー版だが、試乗した4WDモデルはよりパワフルになっているなど、長さ以外も結構違う。350km余りをドライブした印象を報告する。 -
これがスバルの生存戦略! 最新BEV「トレイルシーカー」の工場にみる日本メーカーの生きる道
2026.6.19デイリーコラム話題の最新BEV「スバル・トレイルシーカー」「トヨタbZ4Xツーリング」を生産する、スバルの矢島工場を見学。高度な混流生産を可能にした彼らの独自技術と、その狙いとは? 市場の変化をチャンスに変える、生き残りをかけたスバルの技術革新をリポートする。 -
KTM 390 SMC R(6MT)
2026.6.19JAIA輸入二輪車試乗会2026KTMがラインナップするスーパーモト「390 SMC R」に試乗! スーパーモトといえば俊敏性が命の“かっ飛びマシン”の宝庫だが、オーストリアの雄が擁する一台は、刺激的でありながら疲れすぎることのない、絶妙なあんばいのモーターサイクルに仕上がっていた。 -
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す
2026.6.19エディターから一言2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。 -
中東の戦闘終結で一段落? 各国の“危機的ガソリン価格”を振り返る
2026.6.18デイリーコラムアメリカ・イラン間で戦闘終結に向けた合意が2026年6月15日に成立。今後、原油をはじめ流通と物価の落ち着きを期待したいところだが……。各国のガソリン価格はどこまで高騰したのか、同年5月の危機的状況を振り返ってみよう。 -
シボレー・コルベットZ06コンバーチブル3LZ(MR/8AT)【試乗記】
2026.6.18試乗記ルマンウイナーのパフォーマンスを、爽快なオープンエアで満喫! レース直系のV8エンジンと、圧倒的なシャシー性能が自慢の「シボレー・コルベットZ06コンバーチブル」に試乗。広く門戸が開かれた、アメリカンスーパースポーツの魅力の一端に触れた。































