トヨタ・カローラ アクシオ 1.5G(FF/CVT)/カローラ フィールダー ハイブリッドG“AEROTOURER”(FF/CVT)
だから長年愛される 2015.05.05 試乗記 デビューから3年を経て、トヨタのセダン「カローラ アクシオ」とワゴン「カローラ フィールダー」にマイナーチェンジが施された。内外装のみならず、パワーユニットから安全装備まで手を入れられた、最新型の実力やいかに? 都内の一般道で試乗した。磨きこまれた「普通」
乗った瞬間、すぐわかる濃密なカローラ感。先入観や予備知識を裏切らず、とても扱いやすくて役に立つ。だから半世紀もの長きにわたって「どこにでもあって、誰でも乗っているクルマ」なわけで、そのぶんマニアからは軽く見られがちだが、まさに「普通」であり「並」であることによってこそ、カローラならではの値打ちが輝く。
今度の新型も、本当にカローラ以外の何ものでもない。それも当然、新型とはいえ大掛かりなマイナーチェンジだから、これまでの良さを丁寧に温存したうえで細部まで磨き込み、驚くほどの完成度に到達している。
その中で新しいポイントは、2NR-FKE型と名付けられた新開発のエンジン。以前からある1NZ-FE型と同じ1.5リッターの4気筒ツインカムで、最高出力109ps/6000rpmと最大トルク13.9kgm/4000rpmもおおむね同レベルだが、JC08モードの燃費(レギュラーガソリン)が18.0km/リッターから23.4km/リッターへと大幅に改善された。大きな膨張比で高い効率を得られるアトキソンサイクルを導入したのが最大の特徴だ。
力感よりも滑らかさがいい
そのため低回転から軽く踏んでのトルク感はグイッと行かず少し頼りないが、そのままスル~ッと滑らかに行く感覚が自然なので、すぐ慣れて気にならなくなる。
この特性を最大限に生かすのがCVT。これを組み合わせたセダン(アクシオ)の「1.5G」に乗ってみたら、どんな状況でもDレンジ一本やりで十分以上なのを再確認できた。同じCVTでもワゴン(フィールダー)の一部では疑似7段マニュアルモードだけでなくスポーツモードも組み込まれるが、ちょっとした手応えの差がもたらされるだけだ。
一方、従来型の1.5リッターも残ってはいるが、FF車の5段MT仕様と4WD車のCVT仕様のみなので、もはや存在意義は薄れた。もともとMT仕様は、長年の運転習慣を切り替えられない高齢ユーザーを想定したものだったし。
ここで余談だが、近年はカローラユーザーの平均年齢が高くなってきたのが大きな悩み。昔は“クルマ出世階段”の通過点で、これの次には「コロナ」を目指し、さらに「マークII」と暮らしてから「いつかは『クラウン』」に至る上昇志向を誰もが抱いていた。でもクルマ界の階級意識が薄れ、カローラ自身も装備や質感の向上を重ねた結果、カローラからカローラへと乗り継ぐのが多数派になってしまったのが昨今の流れ。トヨタ販売店の周到なアフターサービスまで考えると、「カローラでいいや」から「カローラがいい」に変わったわけだ。
それに対して若返りを狙い、カロゴンこと「カローラ ツーリングワゴン」を皮切りにフィールダーがラインナップされ、今度の新型では新色オレンジメタリックまで登場した。
ステアフィールも印象的
そこでスポーティームードをまとうフィールダーの「AEROTOURER(エアロツアラー)」に乗ってみると、全身にアドレナリンが湧くのを実感できる。深いくぼみで体をしっかり支えてくれるスポーツシートに身を沈めるだけで、クルマの隅々まで神経が直結した気分になれるのだ。
エンジンはノーマル系と同じだが、燃費悪化を覚悟のうえで自然とCVTのSポジションを選び、やや高めの回転域を常用したくなってしまう。5.5Jリムに185/55R16 83Vというタイヤ(テスト車は「ミシュラン・エナジーセイバー」を装着)も適切で、ステアリング操作に的確に応えてくれる。特に強化されたサスペンションではないのに、ここがノーマル系と大きく異なる美点だ。
でも、だからといってノーマル系が鈍重というわけでもない。「1.5G」が履いていた175/65R15 94H(テスト車は「ダンロップSP SPORT FASTRESPONSE」)だと、厳しく攻めれば変形が感じられ、ムギュ~ッと押しつぶす感触になるが、それでも執拗(しつよう)に路面を捉え、だいたい思った通りに曲がれる。後輪の接地力にも余裕があり、きついコーナリングで急にアクセルを戻しても、狙ったラインはほとんど乱れない。
ゆったりした乗り心地が大切ならノーマル系、ちゃきちゃき行きたければエアロツアラーという選び分けになりそうだ。
存在感あるハイブリッド車
いや、走りにこだわるなら、マイナーチェンジ前からあるハイブリッドに注目すべきだろう。1.5リッターエンジンは74psにデチューンされているが、61psのモーターと組み合わせハイブリッドシステムの総出力は100ps。これとトヨタ式ハイブリッドの特色である遊星ギア式動力分割機構&無段変速機の効用で、不思議な速さを実現する。それほどエンジンが力んでいないのに、すらすら速度が伸びてしまうだけでなく、普通の2.5リッター級に匹敵する加速力を発揮するのだ。明らかに、最速のカローラだ。
それでいながら、計器盤の眺めなどは普通のカローラと大差ない。レクサスを除くトヨタのハイブリッド車としては唯一タコメーター(機能としては不要)を備えるのも特徴。アクセルを戻すと走行中でもエンジンが止まり、タコメーターの針がストンと落ちるのが愉快だったりする。それより何より、33.8km/リッターに届く低燃費がハイブリッドの最大の武器。カローラにまでハイブリッドを設定することによって、この分野の先駆者トヨタとしては「こんなの、もう常識ですよ」と言いたいのかもしれない。
その他はすべて、広く知られたカローラそのもの。特に褒めたいのは視界の良さで、斜め前方を確認しやすい。Aピラーの付け根を少し手前に引き寄せたのと、ドアミラーとボディーとの間隔をきちんと取ったため、曲がり角などで歩行者を見落としにくい。それでいながら、ラップアラウンドのガラスで向こうが歪(ゆが)むこともない。このような、特に意識しない部分にまで気配りを行き届かせているからこそ、平均的な良き市民に愛され続けるカローラなのだろう。しかし、それにしては、思い切り口角を下に引っ張ってムガッとかみつきそうなロワーグリルのデザインに、ちょっとした違和感を抱かずにいられない。
(文=熊倉重春/写真=荒川正幸)
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テスト車のデータ
トヨタ・カローラ アクシオ 1.5G
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4400×1695×1460mm
ホイールベース:2600mm
車重:1090kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:109ps(80kW)/6000rpm
最大トルク:13.9kgm(136Nm)/4400rpm
タイヤ:(前)175/65R15 84H/(後)175/65R15 84H(ダンロップSP SPORT FASTRESPONSE)
燃費:23.4km/リッター(JC08モード)
価格:181万3418円/テスト車=213万4340円
オプション装備:175/65R15タイヤ+15×5Jアルミホイール+センターオーナメント(4万8600円)/スマートエントリー<運転席・助手席・ラゲッジルーム/アンサーバック機能付き>&スタートシステム+スマートキー2個(4万6440円) ※以下、販売店装着オプション スタンダードナビ オーディオ用ステアリングスイッチ付き(15万120円)/バックガイドモニター(3万3480円)/ETC車載器 ビルトインタイプ<ボイスタイプ>(1万4202円)/フロアマット<ラグジュアリータイプ>(2万8080円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:706km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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トヨタ・カローラ フィールダー ハイブリッドG“AEROTOURER”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4410×1695×1510mm
ホイールベース:2600mm
車重:1190kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:74ps(54kW)/4800rpm
エンジン最大トルク:11.3kgm(111Nm)/3600-4400rpm
モーター最高出力:61ps(45kW)
モーター最大トルク:17.2kgm(169Nm)
タイヤ:(前)185/55R16 83V/(後)185/55R16 83V(ミシュラン・エナジーセイバー)
燃費:33.8km/リッター(JC08モード)
価格:237万3055円/テスト車=279万3337円
オプション装備:ヘッドランプBi-Beam LED<オートレベリング機能付き>(9万5040円)/スマートエントリー<運転席・助手席・ラゲッジルーム/アンサーバック機能付き>&スタートシステム+スマートキー2個(4万6440円)/ルーフレール(3万2400円)/シートヒーター<運転席・助手席>(1万6200円) ※以下、販売店装着オプション スタンダードナビ オーディオ用ステアリングスイッチ付き(15万120円)/バックガイドモニター(3万3480円)/ETC車載器 ビルトインタイプ<ナビ連動タイプ>(1万7442円)/フロアマット<ラグジュアリータイプ>(2万9160円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:780km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

熊倉 重春
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