トヨタ・カムリ ツーリング ナビパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カムリ ツーリング ナビパッケージ(4AT) 2001.11.03 試乗記 ……278.0万円 総合評価……★★★「80点主義」から踏み出した
意外な掘り出し物。それが新型「カムリ」試乗後の印象である。実際にステアリングを握る前は「マークII」の兄貴分くらいのレベル、つまりはそこそこまとまっているけれど、中庸な性格の持ち主というか「中の上」くらいの実力を備えているセダンだろうと想像していた。ところが、いざ走らせてみると可もなく不可もない目立たないフツーのクルマではなく、むしろ優等生と呼ぶにふさわしい才能と容姿を備えていた。各項目の平均点が高めであるがゆえに、強い個性が伝わってこないのが残念だが、真面目な4ドアセダンを望む人に強く薦めたい1台である。総合評価に★半分加えたいところ。いわゆるトヨタの「80点主義」の世界から一歩踏み出したところに棲むセダンなのだ。ヨーロッパの同クラスに比較するとハンドリングや乗り心地の面でまだ遅れ気味の部分がないわけではないが、実用セダンとして捉えると完成度はかなり高い。ただし、カムリを買うなら、この「ツーリング」でなく「2.4G」にしたほうがいいが、これはまあ個人の好みの問題かもしれない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年9月27日に日本での販売が始まったトヨタの世界戦略車。特に北米では、先代が1997年から4年連続でベストセラーカー(乗用車)に輝いた。5代目となった今回は、「新世紀、World Major」を開発テーマに、広い室内をさらに拡大すべく、ホイールベースを50mm伸ばし、ボディも全長で15mm、全幅は10mm、そして全高が70mm大きくなった。空力特性のよさもジマンで、CD値はわずか0.28。エンジンは、2.4リッター直4一本。コンベンショナルな4輪ストラットの足まわりをもつ。
(グレード概要)
日本で売られるカムリは、ノーマルモデルたる「2.4G」(2WD/4WD)と、スポーティ版「ツーリング」(2WD)の2系統にわかれる。いずれも「2.4リッター直4+4AT」。ツーリングは、16インチホイールを履き、グリルがメッシュタイプに、リアにスポイラーを装着。また、メーター類、室内パネルはメタリック調となる。テスト車の「ナビパッケージ」は、DVDボイスナビゲーションシステム+6.5インチモニター+CDカセット一体型ラジオ・TV&6スピーカーが装備される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
速度計と回転計の2つをメインに据えたメーター/インジケーター類の視認性や、中央に集約された空調、オーディオ&カーナビ関係のスイッチ類の操作性になんら不満は感じられない。初めて扱うには少々戸惑うだろうが、慣れがすべてを解決してくれそうだ。インストゥルメントパネル全体のレイアウト、そしてデザインはシンプルでとても好ましい。嫌味がないのだ。センターコンソールがデンっと構えているわけでもなく、トランスミッションが室内に張り出さない、いかにもFWD(前輪駆動)車ならではの意匠といえる。もっとも、メーターナセル内の銀色の盤面やインパネ中央の同じ色合いのパネルの質感は高くない。「2.4G」のウッド調パネルのほうがまだ違和感は少ない。
(前席)……★★★★
ニット地のシートはふんわりしていて、長旅ともなるとちょっと疲れそうに思えたが、実際にはそうでもない。これには個人差があるはずだが、約2時間の連続走行においても筆者はきわめて快適に移動できた。もうすこし肩まわりの支持がほしい気がするとはいえ、曲がりくねった山道を飛ばすのでもないかぎり、街中や高速道路を走るぶんには問題はない。空間は充分以上の広さを持つ。室内幅がたっぷりしていることでドライバーとパセンジャーは互いに干渉されない適度な距離を保てる。天井も高めでヘッドクリアランスは充分以上である。
(後席)……★★★★
前席以上にたっぷりとした印象を抱くのは後席である。足元のスペースにかなり余裕があることは、2720mmという長いホイールベースのおかげだろう。先代より70mm高くされた1490mmの全高の恩恵大、しかもルーフが極端な弧を描くような形状ではないこと、キャビンが上方に向うに従い絞り込まれていないことで、後席乗員の側頭部への圧迫感がないのも嬉しい。シートの背もたれの角度にしても起ちすぎず寝すぎずで丁度よく、くつろげる。
(荷室)……★★★
奥行きと幅は申し分ない。もう少し深さが欲しいが、絶対的な容量はなかなか大したものである。リアシートのバックレストを折り畳めば、トランクとキャビンがつながる構造なので、長尺物を収納することも可能だ。トランクリッドがバンパーレベルで開く点も評価したい部分。もっとも全長4.8mを超える3ボックス・セダンなのだから、これくらいのラゲッジスペースは当然だろうか。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
直列4気筒として捉えるととてもスムーズに回るのがよい。日常走行で重要な低中回転域におけるトルクも豊かであり、ドライバビリティに優れている。「D」レンジでのエンジン回転が2200rpmの100km/h巡航はきわめて静か、ドライバーへのストレスは皆無に等しい。電子制御の4段ATのマナーも素晴らしく、かつ変速時のショックもほとんど気にならないレベルに仕上がっている。中級セダンに必要な動力性能をきっちり備え、加えてその存在を強く主張しないところに、このパワートレインの真価があるように思う。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
「H∞-TEMS」と呼ばれる電子的にコントロールされたダンパーシステムを装備するカムリは、ダンパーの減衰力を4段階に切り替えられる。しかし、最もソフトではふわふわしすぎ、最もハードではハーシュネスが強すぎる。したがって、それらの中間にセットすることになる。個人的には「やや硬め」のポジションを好む。これでも乗り心地は充分によいし、ボディのロールは大きくなく、不安を感じることなくコーナリングできる。これまた、★半分を評価に加えたい。ハンドリングはスポーティとはいえないが、けっしてよりどころないような不確かさはない。
しかし、16インチタイヤは明らかにオーバーサイズで、微低速でのコツコツした乗り心地はタイヤに責任がありそうだし、回転半径が「2.4G」よりわずかに大きいのも16インチタイヤの弊害である。16インチタイヤ(と大人気ないリアスポイラー)を装着していないことからも、個人的には「ツーリング」ではなくノーマルモデルの「2.4G」を選びたい。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:阪 和明(CG編集局長)
テスト日:2001年10月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:853km
タイヤ:(前)215/60R16 95H/(後)同じ(いずれもトーヨー Trampio J33)
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:284.5km
使用燃料:35.1リッター
参考燃費:8.1km/リッター

阪 和明
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