スバル・フォレスターS/tb-STi II(4AT)【ブリーフテスト】
スバル・フォレスターS/tb-STi II(4AT) 2001.09.05 試乗記 ……255.5万円 総合評価……★★★★峠で楽しいクルマ「No.1」
「S/tb-STi II」は、フォレスターのもともとのウリだった200mmの豊かなロードクリアランスを30mmほど減らした、つまりシャコタンにした仕様だ。もちろん、内外装の雰囲気もそれ風に。「STi I」では普通の仕様と同じオールシーズンタイヤだったのが、「II」型ではいわゆるハイグリップ系にかわった。装着銘柄はブリヂストンのポテンザRE011で、サイズは225/45ZR17。「I」は215/60R16だったからずいぶんスポーティに振られた。これにあわせてアシのセッティングもI型とは違ったものにしてある。
フォレスターSTiの170mmのロードクリアランスは、通常型乗用車の水準からすればまだ高い。が、本格的なシャコタンにしてしまったらそもそもナンのためのフォレスターかということになってしまう(フォレスト=森には入っていけなくなるだろう)。ほしがるお客がいるからやることとはいえ、スバルにとっては少々苦しい仕事だったのではないか。
そういうわけで、乗る前までは「またアホなことを……」と思っていた。「せっかくいいクルマなのに」。ガキくさいエアロパーツの印象も、気持ちのなかでマイナス方向に働いて、ちょっとイヤだった。
で、イザ乗ってみたらこれが非常にヨカッタ。いわゆるSUVが事実上の舗装路専用車である状況を考えると、これでなんら不都合はない。ばかりか、普通のフォレスターで得られない貴重な魅力が確実にあった。ヘンな話、私にとっては“峠を走って楽しいクルマ”の現時点でのナンバーワンがコレである。
なお、フォレスターのSTiは、もっとスゴいのが追加で出るらしい。今度のは、いわゆる改造車。受注生産で、車検も持ち込みになる。きっと、インプレッサSTiのように走るクルマになっているんでしょうね。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
インプレッサのコンポーネンツを活用してつくられたSUV。1997年に登場した。ボクシーな5ドアのボディは、190mm前後の最低地上高を確保しながら全高は低めに抑えられ、ルーフキャリアなしの仕様ではタワーパーキングに収まる高さを実現した。エンジンは当初2リッターターボのみの設定だったが、その後自然吸気の2リッターおよび2.5リッターが追加された。いずれもスバル自慢の水平対向4気筒である。2000年にマイナーチェンジが実施され、外内装、足まわりのセッティングが変更され、また2リッターNAユニットがリーンバーン化された。
(グレード概要)
「STi II」は、車高を落とし、空力パーツを装備した、いわばフォレスターのオンロードスペシャル。2000年5月8日に「S/tb-STi」が登場。同年12月27日に「S/tb-STi II」に変わった。機関的には、4WDシステムが「アクティブトルクスプリット4WD」から「VTD-4WD(不等&可変トルク配分電子制御4WD)」に変更され、通常の前後トルク配分が、前:後=60:40から45:55となった。タイヤサイズは、「215/60R16」から「225/45ZR17」に。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
「ダッシュボード全体」や「メーター」および「スイッチ類」のパネルのカタチは、フツーでヨイ。使い勝手関係で戸惑うことはなかった。奥行きが浅く、かつデザイナーズ“マスターベーション”系の造形も入っていないので、前方の車両間隔を把握するうえでジャマにならない。Aピラーが立っているのもイイ。
ただ、あえて難点をあげると天井がじゃっかん高すぎる(試乗車にはなかったが、サンルーフを装着するとちょうどよくなる)。それと、着座位置とダッシュボード全体の高さの関係もやや気になった。具体的にはダッシュボード側が少々低い。いずれも乗っていてイヤになるほどではなかったけれど、しかしたとえばレガシィのように考え抜かれた結果の産物とはいいがたい。乗用車用プラットフォームを使ってなんとか仕立てたSUV、という事情からくるツラさが見えなくもない。逆に、ちょっとダボッとしたTシャツの着心地に通じるような気持ちよさがあるともいえるけれど。
(前席)……★★★
かけ心地そのものはかなりイイ。座面サイズは、「見た目」にもまた「体感上」もたっぷりしており、「クッションのたわみ特性」と「表皮の伸縮性」、およびその両者のマッチングも良好。長距離走っても疲れ知らず、のシートのひとつではないかと思う(たかだか300km弱の試乗ではボロなど出なかった)。ただし、相変わらず座面角度のみの上下調整機構はホメられない。早急に現行インプレッサの水準まで引き上げてほしいところだ。せっかくの豊かなヘッドクリアランスも、これでは活かしきれない。
(後席)……★★
「本来の性能=かけ心地」よりも、畳んだ際ジャマにならないこと(およびワンタッチで畳めること)を優先して設計されている。箱型の上屋で上下左右にこれだけ余裕があるのだから、ちゃんと作れば素晴らしい後席環境が得られたはずなのに。だいたい、見た目からしていかにもヘーバンだ。特に見るべきところナシ。レガシィで実現されている水準と較べて2ランクぐらいは落ちる。また一方 、このテのニホンシャとしてみれば、「特に文句ナシ」とも言える。
(荷室)……★★
床面最大幅135cm、奥行き90cm、天井までの高さは80cm。リアシートのバックレストを倒すと、170cm前後の長尺物が置ける。なお、後席の背もたれ(のみ)を畳んだ状態で床全体がフラットになるよう、荷室の床はカサ上げされている。天井が高いので積載能力はそれなり優秀だろうけれど、やはり突き詰められた設計とはいいがたい。シトロエンやプジョーを見習ってほしい。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
ターボがまだ効かない状況でのトルクが非常に豊か。たとえターボなしでも、低回転低負荷域がこれほど力強い日本車はそうはない。トルコンの特性やオートマの仕事ぶりもイヤでない種類。パワートレイン云々とは関係ないが、前後左右の車両感覚もめっちゃくちゃわかりやすい(特に後方ギリのわかりやすさは絶品で、縦列駐車が楽しみになる)。それらの結果として、フツーに街中を走っていてものすごくラク。さらに、ラクなまま速く走ろうと思えばものすごく簡単にかつ快適にそれを実行できる。痛快な高速巡航。イキナリ全開、みたいな使い方をしないかぎりトルクの盛り上がりもスムーズ至極。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
乗り心地に関して、ガチガチ系のイヤ味はナシ。シャコタン化はされたが、SUVらしい鷹揚な動きはしっかり残っている。「2リッター+ターボ」で250ps、という高性能車にしてはアシはもっとも柔らかい部類で、なのに峠をせめても破綻がない。というか、姿勢変化がわかりやすくカツ急激な荷重変動がないのでいわゆるガチガチ系のアシのクルマよりもかえってはるかにトバしやすい。要するに、コワくないということだ。命懸けでタイヤのグリップ限界へ踏み込まないとオモシロイところまでいけない、という難もない。意外や意外、これはものすごく実用的というかミのある走り屋グルマだと思う。気に入った!
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:森 慶太
テスト日:2001年7月24日から25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の形式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)225/45ZR17/(後)同じ(いずれもブリヂストンPotenza RE011)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:280.3km
使用燃料:39.1リッター
参考燃費:7.2km/リッター

森 慶太
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