第332回:クルマ地味自慢
2026.03.30 カーマニア人間国宝への道自動車評論家諸氏も絶賛
カーマニアも年齢とともに脱皮する。私は最近、地味なクルマが大好きになった。
つい6年前には、「フェラーリ328GTS」と「ランボルギーニ・カウンタック アニバーサリー」を同時所有していたというのに、今では地味なクルマほど心に食い込む。心が激しく地味さを求めているのである。生活がどんどん地味になってるので当然かもしれない。
弊社(有限会社フォッケウルフ)スタッフの安ド二等兵から、「今度スバルから、『インプレッサ』の広報車をお借りします」と聞き、私は色めき立った。
インプレッサ……。かつてインプレッサといえば「WRX」。そのWRXが独立してからは、非常に地味な存在になった。インプレッサのSUV仕様である「クロストレック」も分離独立。現在インプレッサがどうなっているのか、全然知らないしわからない。それくらい地味だ。
現行インプレッサが登場したときスバリストのマリオ高野は、「最廉価グレード『ST』のFF(CVT)モデルが、もん絶級にいいクルマなのであります!」と語っていた。
「4WDよりもFFモデルのほうが地味にいい、と自動車評論家諸氏が絶賛しております! シャシーが欧州車的にすばらしく、しかも229万円とお買い得なのであります!」(マリオ高野)
そのST(FF)はまだあるのか? と調べたら、残っていた。価格は274万円~と地味に値上がりしている。うむう。そうだったのか。
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地味さが心にしみる
今回安ド二等兵がお借りしてきたインプレッサは、見た目がけっこう派手だった。ボディーカラーが「なんとかイエロー」(正確には「シトロンイエローパール」)だったからである。デザインも複雑で特徴的なので、一見イケイケ系に見えないこともない。
オレ:これ、エンジンは何?
安ド:いやー、よくわかりませんけど、普通でした。
うおおおお! 見た目と違って絵に描いたように地味な感想! 「地味グルマ、岩にしみいる蝉の声」とでも言おうか。
今回の試乗車は、2リッター水平対向4気筒マイルドハイブリッドの「e-BOXER」を積む「ST-Hスタイルエディション」の4WDモデルらしい。なるほど。
車両本体価格は351万円。これまた地味に高い。地味グルマ好きとして、ぜひ試乗しなくては。
ちなみに現行インプレッサは、この2リッター水平対向4気筒マイルドハイブリッドと、2リッター水平対向4気筒ガソリンという、地味なパワートレインの2本立てで構成されているようだ。うーん、地味さが心にしみる。
実は現在私は、肩の神経痛に苦しんでいる。運転すると激しく肩が痛む。常に肩を動かして血行を促進しないと、肩が爆発しそうになる。
そこで私は、愛用の筋膜リリースガン(マッサージマシン)を持参して試乗に臨んだ。これで信号待ちの合間などに、肩をマッサージしながら走るのである。地味に苦行だが、地味グルマの魅力には勝てない。
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適度に売れているインプレッサ
で、地味なインプレッサの印象はどうだったのか。
癒やされました……。
乗り心地はかなりマイルド。パワートレインも超マイルド。すべてがよくわからないくらい普通によかった。
もちろんスバル自慢のアイサイトは実に優秀。首都高の渋滞では、かなり安心してACCに運転を任せられる。肩の神経痛を抱える今の私にピッタリだ。これでハンズオフ機能がついていればなおいいのだが。
インプレッサは地味に走って撮影現場に到着した。そこには、よみがえったデートカー「プレリュード」が待っていた。
ところがパッと見、インプレッサはプレリュードに負けないくらい派手に見えた。やっぱりなんとかイエローのボディーカラーが効いている。いやーこの色はイカンな。昨年のマイナーチェンジで登場した新色とのことだが、こんな派手なインプレッサ、買う人いるんだろうか? やっぱ今のインプレッサならシルバーに限るんじゃないか?
ところで今インプレッサって、どれくらい売れているのか?
2025年のスバル車販売トップは、「フォレスター」の3万1688台。インプレッサから分かれたクロストレックが2万2761台でそれに続く。
インプレッサは8528台。少ないっちゃ少ないが、「レヴォーグ レイバック」の4590台に比べると適度に売れていて、これまたとっても普通に地味。地味グルマ好きは、インプレッサから目が離せない。
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一/車両協力=スバル)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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