スズキ・アルト エポエクストラ(4AT)【ブリーフテスト】
スズキ・アルト エポエクストラ(4AT) 2001.11.10 試乗記 ……99.8万円 総合評価……★★★★おいしいご飯
1979年に「アルト、47万円!」で一世を風靡したアルトも、いまや5代目。7代まで続いたフロンテから“庶民のアシ”の役割を譲られて久しいが、身内ワゴンRの成功で、やや影の薄くなった感がある。とはいえ、久しぶりに乗ってみるとコリャ便利。わずか4.2mの最小回転半径の恩恵もあって、混みあう都会でもストレスがたまらない。
全幅1475mmのボディサイズゆえ、フロントシートのサイズはたっぶりとはいかないが、むしろ座り心地に手抜きのないつくりに好感。そのうえ運転姿勢が自然で視界もいいから、小ぶりなボディがなおさら見やすい。トップグレードたるエポ“エクストラ”にのみ奢られたVVT(可変バルブタイミング機構)付きツインカム4バルブを元気よく回して走ると、まあ、楽しいですな。
おっとり顔の外観は控え目で、使い勝手もソフトだけれど、中身はヤワじゃない。主張の強いおかずに隠れた、おいしいご飯。問題は、「トヨタ・ヴィッツ84.5万円から」の出現である。維持費云々で一概には比べられないが……。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1979年に初代がデビュー。装備を徹底的に簡略化することで47万円という低価格を実現し、大ヒット。「ボンバン(ボンネットバン)・ブーム」の火付け役となった。現行モデルは5代目で、軽自動車の規格改定が実施された98年に登場した。オーソドックスな2ボックスボディは3ドア、5ドアがある。ボディサイズは全長×全幅×全高=3395×1475×1450mm(4WDモデルは全高が5mm高い)、ホイールベース=2360mm。エンジンはすべて直列3気筒DOHCで、リーンバーン仕様やVVT(可変バルブタイミング機構)付きもある。2000年のマイナーチェンジでは、排ガスのクリーン化、軽量衝撃吸収ボディTECTの採用などが行なわれた。
(グレード概要)
アルトのグレードは、アルトセダンたる「エポ」シリーズ(3ドア、5ドア)とレトロ調の「C2」(5ドアのみ)、バンタイプの「Vs」に大別される。テスト車のエポエクストラは、アルトのハイエンドモデル。VVT付きユニットを搭載、ノーマル比8psと0.6kgm大きな54psと6.4kgmを発生する。トランスミッションは4ATのみ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ドライバー正面に大きなスピードメーターが置かれ、必要なモノが機能的に配されたインパネまわり。センターコンソール上部の、一番いいところに、引き出し式のドリンクホルダーが設置されるあたり、さすが生活密着車(?)。一方、電動ミラーの調整、折り畳みスイッチがインストゥルメントパネル右端下に追いやられたのは、それらが贅沢装備ゆえか。エボエクストラはハイエンドモデルだけあって、パワーウィンドウ、キーレスエントリーなど、快適装備をひととおり揃える。
(前席)……★★★
柔らかく小ぶりなシートは、日常ユースには必要十分。座面調整機能はないが、座り心地に手を抜いたところがないのは立派。やたらとお尻が沈むことがない。灰青色のシート地も品よく無難だ。
(後席)……★★
前席より座面が高く設定されるが、ヘッドクリアランスに不足はない。すこしでも膝前空間を稼ぐため、足先は完全にフロントシートの下に差し込むカタチ。さすがに横方向は大人ふたりでギリギリだが、四角いボディが奏功して、サイドからの圧迫感がないのがいい。ただ、ヘッドレストを最大限伸ばしても高さが足りないのは残念。
(荷室)……★★
奥行き55cm、床面最大幅110cm、エポエクストラに標準装備されるラゲッジシェルフまでの高さは、わずか35cm。毎日のお買い物サイズの荷室だ。ただし、後席背もたれが一体可倒式なので、いざとなればイスぐらいの家具ならお持ち帰りできる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
プルプルとよく回る660cc直3DOHCユニット。吸気側バルブの可変バルブタイミング機構を備え、54ps/6500rpmの最高出力と6.4kgm/3500rpmの最大トルクを発生、720kgのボディをけなげに引っ張る。ノイズの侵入はよく抑えられ、と同時に、回した際の音質が不快でないのがいい。元気があってよろしい、といった感じだ。なお、アルト・エポエクストラは、平成12年基準排出ガス50%低減レベルをパス、いわゆる「優-低排出ガス」車である。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
接地感が曖昧な、つかみどころのないドライブフィールが「軽」を感じさせる。フロントにトーションバー式のアンチロールバーを備えるが、それでもどこかユラユラした乗り心地。街のりに特化した軽いパワステも、「運転」を感じさせない。とはいえ、それは求めるものが違うのだろう。日常の足グルマとしては、高速巡航もほどほどこなすし、“曲がり”も穏やかに姿勢を変化させ、コワいと思わせることはない。要件は満たしている。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年7月11日から12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:294.1km
タイヤ:(前)155/65R13 73S/(後)同じ(いずれもファルケン Sincera SN-651)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:294.1km
使用燃料:26.4リッター
参考燃費:11.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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