ルノー・トゥインゴ クイックシフト5(5MT−ATモード付き)【ブリーフテスト】
ルノー・トゥインゴ クイックシフト5(5MT−ATモード付き) 2001.10.23 試乗記 ……149.0万円 総合評価……★★★★愛玩物かつ有能なアシスタント
ルノー・トゥインゴに、「クイックシフト5」というジョイスティックタイプのAT仕様が追加された。原型は1993年の登場だから、そろそろフルモデルチェンジの噂も飛び交う。このモデルが“最終完成型”と思われる。
コンパクトな外寸、チャーミングなボディスタイル、そしていろいろ変化するシートアレンジも楽しめるパッケージングの妙など、トゥインゴはルノーらしいミニとして魅力的なクルマだ。日本市場において、コミューター的な都会人のアシとしては、標準仕様の「左ハンドル+5MT」仕様に営業的な利点は乏しかった。次いで「イージー」というクラッチレスの5MT車も追加されたが、やはりフルオートを望む声は多かった。そこで今回、マニュアルシフトも楽しめ、フルオートとしても使えるこのクイックシフト5(QS5)の登場となった。同時にブレーキの強化、操縦安定性の改善も行われ、しかも乗り心地などの快適性はこれまで通り。トゥインゴの、愛玩物的な面も持つ、有能で頼れるアシスタントとしてのキャラクターは、さらにアップしたといえるだろう。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1992年のパリサロンでデビューした、ルノーのボトムレンジモデル。日本には95年から導入されている。2年後にエンジンがOHVからSOHCに変更され、排気量が90cc縮小されたにもかかわらず、出力が6psと0.2kgmアップした「D7F」型(58ps/5250rpm、9.3kgm/2500rpm)に改められた。グレードは5段MT搭載「パック」と、イージーシステム付き5MT搭載の「イージースペシャルバージョン」、そして2001年8月導入の、ATモード付きシーケンシャル5MTを搭載する「クイックシフト5」の3種類。
(グレード概要)
「イージースペシャルバージョン」に搭載される、新型5段クラッチペダルレスMT「クイックシフト5」は、以前からトゥインゴに採用されていた「イージーシステム」の進化版。イージーシステムにはATモードが存在せずHパターンシフトの操作が必要で、またクラッチを油圧でコントロールしていた。しかしクイックシフト5ではATモードが設定された。MTモード時のギアチェンジは、前後にレバーを動かすシーケンシャル方式。クラッチコントロールは電磁式に改められた。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
オリジナルのトゥインゴは、もっと斬新なアイディアに満ちていて楽しかったが、現行モデルはやや常識的なものに落ちついた。しかしセンターメーターには、速度計をはじめとして必要な情報が表示され、それらはサイズ的にもでしゃばらないから、本来の自然な感覚で運転するには都合がいい。
(前席)……★★★★
サイズはミニマムながら、なかなか座り心地のいいシートだ。フランス製の2ドア車は、前席シートバックがフルリクラインしないものが多いが、トゥインゴはリアシートと繋げて、いわゆる“フルフラット”にもなる。リクライニングの段階はやや荒いものの、必要なところは押えてある。ソフトなクッションの割りには横方向のサポートもまずまずで、デザイン的な面白味もあり、見ているだけでも楽しい。
(後席)……★★
リアシートはこの手の畳めるタイプとして、常識的な扱いとなる。ヘッドレストは定員分、つまり前2つ、後2つが装備される。後席のシートベルトも3点式だ。ボディ形状からも判断されるように、ヘッドクリアランスはミニマムながら、しかしある種のクーペのリアシートほど狭くはない。
(荷室)……★★★★
コンビニエンスストアでの買い物などで、ハッチを開けて荷物を「ポイッ」と放り込む気安さがある。そしてシートクッションもそれなりに薄いから、想像した以上の広さはある。そしてリアシートを畳んでしまえば、必要に応じてかなりの量も積める。ハッチバックとは本来そうした“簡易ライトバン”的な用途に耐えるものなのだ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
新しいQS5ギアボックスは、ATモードのままでもスムーズな加速を約束する。たとえば、アルファロメオの「セレスピード」と概念は同じだが、ボディやギアの慣性が小さいことから、イナーシャが気にならず、スッスッと繋いでいく。積極的にマニュアルとして使うときには、電制スロットルの恩恵で、ちゃんとダブルクラッチを使った見事なシフトダウンも演じてくれる。最新の電子機器同様に、レスポンスは素早い。エンジンはトルクもあり、快音を発して気持ちよく回る。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
スタビライザーが前にも追加され、リアのそれは更に太くなり、ロールを減らして操縦安定性を高めた。タイアもインチアップして14インチとなり、ロール感も改善された。乗り心地はフラットライドかつ路面へのあたりがソフトな、フランス車本来の姿を今にとどめる。わが国では、小型車は日本車のオハコと思われているが、国産車の足元の華奢なつくりには、まだまだ不安な要素が残る。その点、フレンチミニはその辺の骨太感で数歩上を行く。トゥインゴ「クイックシフト5」の149.0万円は決して高くない。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2001年7月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:−−
タイヤ:(前)155/65R14 75T/(後)同じ(いずれもMIchelin Energy XSE)
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(8):高速道路(2)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

笹目 二朗
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