【スペック】全長×全幅×全高=4680×1740×1460mm/ホイールベース=2700mm/車重=1570kg/駆動方式=4WD/2.8リッターV6DOHC30バルブ(193ps/6000rpm、28.6kgm/3200rpm)/車両本体価格=440.0万円(テスト車=同じ)

フォルクスワーゲン・パサートV6シンクロ(5AT)【ブリーフテスト】

フォルクスワーゲン・パサートV6シンクロ(5AT) 2001.02.28 試乗記 青木 禎之 ……440.0万円 総合評価……★★★

満点パパ

グリルレスの、装甲車のような先代から一転、空力重視のスムーズなフォルムを纏った4代目パサート。V6シンクロは、フォルクスワーゲン版A4クワトロ(ちょっと大きめ)といったところ。
アウディゆずりのバンク角90度の5バルブV6は、もりもりとトルク持ち。約1.6トンのボディを、思わぬ速さで走らせる。一方、テスト車個体に限って言えば、フィールはさほどスムーズではない。加速時には、いちいちウルサイ。
とはいえ、一旦、高速巡航に移れば、静かでフラットな乗り心地が大変よろしい。リアシートはさして広くないから、後席に座らないビジネスマン向き。また、「地味だがつくりのよいインテリア」「広い室内」「安心感高いボディのガッチリ感」と、ファミリーカーにも最適。ステアリングホイールを握るアナタが、「いいパパ」に見えること請け合い。440.0万円という価格なれど、2.4リッターのA4クワトロより35.0万円安。

【概要】 どんなクルマ?

(シリーズ概要)
1996年8月に登場した4代目パサート。アウディA4のプラットフォームを88mmストレッチして大柄な4ドアセダンのボディを載せた、フォルクスワーゲンの旗艦である。2000年10月に開催されたパリサロンで、ドアとルーフ以外のボディパネルを一新したビッグマイナー版が披露された(日本には2001年秋に導入予定)。本国では、1.6リッター直4から用意されるが、日本には、1.8リッター直4ターボと、2.8リッターV6の2種類が輸入される。
(グレード概要)
V6シンクロは、2.8リッターV6を、シーケンシャルシフト可能な「ティプトロニック」付き5段ATと組み合わせ、トルセン式のセンターデフを介して4輪を駆動する。FFモデルである1.8リッターターボとの仕様上の違いは、「シンクロ」にはディスチャージヘッドランプ、ヘッドランプウォッシャー、シートヒーターが装着され、ナビゲーションシステム+CD/MDチェンジャーコントロールなどが付いたオーディオが標準装備となる点。

【車内&荷室空間】 乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
控え目にウッドパネルを配した国民車(Volkswagen)のトップモデル。洒落っ気は姉妹ブランドのアウディにまかせ、実直なデザインを採る。V6シンクロに標準装備されるナビのディスプレイは、前後左右に角度をつけることが可能だ。メーター類は、ライトをつけると、青紫のバックライトに照らされる。オレンジ色のアウディに対抗?
(前席)……★★★★
耐久性の高そうな、厚い革を使ったシート。体格のいいドイツ人に合わせたためか、クッションが多く、かつ革の張りが強い。軽量級ドライバー(リポーターは63kg)だと、跳ね飛ばされんばかりなり。サイドサポートは小さい低いが、硬く、コーナリング時にはしっかりドライバーを支持する。
(後席)……★★
CD値=0.27というすばらしいドラッグ係数を得る反面、リアになだらかに落ちるルーフラインゆえ、「後席の住民」のヘッドクリアランスは厳しい。短めの座面、寝気味なバックレストで、ややズリ落ちた姿勢で座らせることで、対応しようとしている。VWのフラッグシップながら、ショファードリブンには向かない。
(荷室)……★★★★
床面最大幅×奥行き×高さ=130×105×46cm。ラゲッジルームの高さは、「もう一声!」といった感じだが、それでも十分広い。リアサスは上下にスペースを取りがちなダブルウィッシュボーンながら、荷室への出っ張りはよく抑えられた。FFモデルは後席が分割可倒式だが、4WD版は倒れない。

【ドライブフィール】 運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
アウディ譲りのV6 5バルブユニットは、トルキーだが、ウルサイ。すこしでもスロットルペダルを踏み込むと、とたんに唸り出す。振動も、ペダルを伝ってやってくる。「ビートのあるエンジン」とも言えますが……。走行距離4000km余の、「慣らし」中ゆえか。個人的にはキライではないが、クラウンから乗り換えたヒトには納得できまい。5ATは、気軽にキックダウンが効き、一方、トップギアは、100km/hで2000rpmを切る。クルージングに入れば静かだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
街なか、高速道路とも、フラットだし、路面からの突き上げもよく抑えられるが、総じて平凡な乗り味。「地味」が個性だ。ステアリングは、速度を問わず適度な重さを保持し、路面情報をよく伝える。常に運転していることを忘れさせない。ハンドリングは、ややアンダー気味に感じる安定したもの。クルマの性格によく合っている。

(写真=河野敦樹)

【テストデータ】

報告者: webCG青木禎之
テスト日: 2001年2月10日から13日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2001年型
テスト車の走行距離:4572km
タイヤ: (前)195/65R15 91V/(後)同じ(いずれもMichelin Pilot Primacy)
オプション装備: --
テスト形態: ロードインプレッション
市街地(5):高速道路(5)
テスト距離: 124.6km
使用燃料:23.7リッター
参考燃費:5.3km/リッター

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