フォルクスワーゲン・ゴルフE(4AT)【ブリーフテスト】
フォルクスワーゲン・ゴルフE(4AT) 2001.04.19 試乗記 ……258.0万円 総合評価……★★★ピンそばに落とす
1999年11月に、メルセデスベンツAクラスへのカウンターパンチとして日本市場に投入された(わが国では)廉価版ゴルフ。1.6リッターシングルカム8バルブ101psと、パワーソースのスペックはシブめだが、2リッターモデルとの外観上の違いは、樹脂むきだしのサイドプロテクションモールくらい。Eベースのスポーティな特別仕様車「ZMエディション」と合わせ、いまやゴルフ販売量の3割を超える底支えモデルである。
平板な形状のファブリックシートと樹脂製4本スポークのステアリングホイールが“カットプライス”モデルの証。後者はともかく、ホールド性低いシートはいかがなものか。
一方、上級モデルと同質のドライブフィールには感心至極。加速、高速巡航など、絶対性能は排気量分正直に遅いが、どっしりした乗り心地、落ち着いた挙動、正確なステアリングと、運転していて廉価感はまるでない。高まりがちなエンジンノイズさえ気にしなければ、引き締まったスポーティな走りも可。パワーと値段こそやや軽量級だが、ひとたびドライバーを振れば、ちゃんとピンそばに落とす。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年にデビューした4代目ゴルフ。3/5ドアハッチ、ワゴンのほか、ゴルフIIIベースのカブリオレがある。本国でのエンジンラインナップは、1.4リッター直4から2.3リッターV5、2.8リッターV6、さらに5種類もの出力バリエーションをもつ1.9リッターディーゼルと、まことに豊富。日本に入るハッチバックモデルは、5ドアのFFモデルのみ。パワーソースはすべて直4で、1.6、2、そして1.8リッターターボである。4段ATのほか、1.8リッターターボ搭載のGTIにだけ5段MTが用意される。
(グレード概要)
「E」は、ゴルフIVの日本導入より遅れること約1年。1999年11月に、わが国に投入された。2リッターのCLi(253.0万円)との違いは、エンジンが1.6リッターとなり、ボディサイドのプロテクションモールがボディ同色でない、EDS(電子制御デフロック)が省略される、キーがリモコン式でない、など。トランスミッションは、4ATのみ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
4代目になって、グッと品質感を増したインパネまわり。艶消し黒のシボで覆われた樹脂類は品質感高し。タンとのコンビネーションもいい。メーター、スイッチ類、エアコン吹き出し口などのデザイン、配置はオーソドクス。見やすく、使いやすい。
(前席)……★★
座面長がやや短いシート。ステアリングホイールのチルト&テレスコピック機能と座面のハイトコントロールを合わせ、好みのドライビングポジションが取れる。ただ、カーブの連続する場面だと、平板で、クッションにコシがないのがにわかに気になり出す。バックレストのサイドサポートも最小限。
(後席)……★★★★
足元、頭まわりとも、空間は十分確保される。座面は必要なだけの長さがあり、しっかりしたヘッドレストが頼もしい。ルーフが、後方まで伸びるのもいい。ボクシーなボディを活かした、完全に実用的なリアシートだ。
(荷室)……★★★
床面最大幅100cm、奥行き83cm、トノカバーまでの高さ50cm。格別広くはないが、スクウェアで使いやすそうなラゲッジルームだ。後席はダブルフォールディング可能で、その場合、奥行きは140cm前後に延長される。なお、リアシートのヘッドレストは、前に倒した座面に差すことができる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.6リッターシングルカムユニットが発生する101psと14.8kgmは、1250kgの車重にフェアな出力。必要十分。ただ、上級モデルよりファイナルが落とされた4段ATゆえ、ペースを上げて走ろうとすると、エンジン音が高まりがち。室内は静粛、とはいえない。一方、オートマチックトランスミッションのシフトスケジュールは適切で、頻繁にギアが変わる街なかでも不満はない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
スポーティな乗り心地。継ぎ目の多い首都高速道路でも、不快な突き上げはよく抑えられる。カーブがつづく山道では、比較的ロールが抑えられたしっかりした足まわりが印象的。スロットル操作に対するクルマの反応は穏やかだ。安定志向だが、全体のバランスが良いので、積極的にドライブを楽しむことも可能。純正の扁平率は平凡な「ロクゴー」だけど、タイヤはケチらない方がいい。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年4月16日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3534km
タイヤ:(前)195/65R15 91V/(後)同じ(いずれもMichelin Pilot Primacy)
オプション装備:マルチメディアステーション(ナビゲーション+CD/MD/ラジオ)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:452.4km
使用燃料:52.1リッター
参考燃費:8.7km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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