フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT)【試乗記】
「律儀」と「真面目」で再出発 2001.08.23 試乗記 フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT) ……452.0万円 フォードの稼ぎ頭として、世界で最も売れたSUVとして、1990年のデビュー以来人気を博してきたエクスプローラー。しかし、タイヤのせいかクルマのせいか、最近の転倒問題で大きなダメージを被った。そんななかに登場した「すべての乗員が安全かつ快適にどこにでも行けるアメリカンパワフルSUV」と銘打たれた“ブランニュー”エクスプローラー。まったく新しいブルーオーバルのSUVはどうなのか? 『webCG』エグゼクティブディレクター大川 悠が乗った。実質的価値の重視
ファイアストーン・タイヤのリコール問題のなすり合いで、どちらに責任があるにせよ大分イメージを下げたエクスプローラー、気分を一新しようと、一足早く2002年モデルへと大変貌を遂げた。
ともかく、アメリカに行くとエクスプローラーは本当に多い。1年前、北米はカリフォルニア州ナパバレーの真ん中にあるゴルフ・リゾートに泊まったが、「シルヴァラード」なるシボレーのSUVと同じ名前のホテルなのに、駐車場の1/4ぐらいはエクスプローラーのように思えたほどだ。
それほど稼ぎ頭の重要なモデルだからこそ、今回の新型は、おそろしく真剣に開発されている。リチャード・パリー・ジョーンズが、新車開発担当責任者になって以来、フォードはフォーカスといいモンデオといい、実質的価値を重視したクルマづくりに転じた。このエクスプローラーにも、そんな新しい面を見ることができる。
350%も強化されたフレーム
ちょっと大きくなって、折り畳み式の3列目シートも組み込まれたボディは、相変わらずやや泥臭い格好をしているが、中身は格段に近代化された。なんたって剛性アップがすごい。ボディはねじれで31%、曲げで61%剛性アップしているし、セパレートフレームに至っては曲げでこそ26%だが、ねじれでは350%強化という。それだけ以前がやわだったのかどうかはともかく、気合いが入っているのは間違いない。
足まわりも同様で、前後ダブルウィッシュボーンとコイルの独立になった。リアはフロアを下げるべく後端まで水平になっているフレームを貫通する形でドライブシャフトを通すなど、結構凝っている。
安全性にもぬかりなく、フォードのSUVとしては初めてサイドエアバッグを用意したし、それはロールオーバーを感知すると両側とも6秒間開きっぱなしになって、ロールケージの代わりになる。低めのバンパービームも乗用車との正面衝突を考慮したためだ。
グレードは、4リッターV6(213ps、35.1kgm)を搭載する「XLT」と、4.6リッターV8(242ps、39.0kgm)の「エディバウアー」から構成される。いずれも5段ATが組み合わされる。価格は、XLTが382.0万円、エディバウアーが452.0万円で、2001年10月1日から販売が開始される。
リファインされた走行感覚
「いい技術を使ってまじめに作ると、本当にいいクルマになるものだ」というのが猛暑の伊豆で、オン、オフ双方を走った結論だ。特にオンロードがいい。“大きな「エスケープ」”といった印象で、ダイアゴナル(対角線的)なロールは見せず、前後均等に、ちょうど期待しただけ大きな図体を沈ませ、4輪をきちんとグリップさせながらコーナーを抜ける。
それに全般に静かだし、ダンピングの効いた乗り味も、充分な路面感覚を伝えるステアリングも気持ちがいい。もっとも100km/hまで飛ばしても、トルクたっぷりのV8は1750前後でしか回っていないから、静かなのも当たり前だろう。
オフロードでも走破力は当然問題なかったが(ローのロックモードを選べば、困ることはない)、むしろここでも乗り心地の良さに感心した。それに大きなボディでも意外と取り回しがいいのは、こういうステージでは大切な要素だ。
というわけで、見た目はどうも大味で無愛想だが、中身はかなり洗練されているし、結構飛ばせる。昔のフォードの伝統を守った、一種の律儀さというかまじめさがこのクルマの価値だが、都会ではちょっと似合いそうもないのが、現代のSUVとしては辛いところかも知れない。
(文=大川 悠/写真=高橋信宏/2001年8月)
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大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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