【スペック】全長×全幅×全高=4880×1820×1445mm/ホイールベース=2910mm/車重=1710kg/駆動方式=FR/3リッターV6DOHC24バルブ(243ps/6800rpm、30.6kgm/4500rpm)

ジャガーSタイプ3.0スポーツ(5AT)【試乗記】

『もうひとつの顔』 2000.10.20 試乗記 阪 和明 ジャガーSタイプ3.0スポーツ(5AT) ……685.0万円 ジャガーの販売台数を大きく伸ばした立て役者、Sタイプ。同車を買うような新しい顧客層、つまりより若い人たちの要望は、「スポーティ」。足まわりを硬めたSに、CG編集局長 阪 和明が乗った。

CATS標準、足を固めたSタイプ

ジャガーSタイプにスポーティモデルが追加された。Sタイプの日本市場向けの2000年ラインナップは「3.0V6」「3.0V6SE」「4.0V8」の3種だったが、今回新たに仲間入りした「3.0スポーツ」は、中間グレードの3.0 SEをベースに、足まわりが強化されたモデルである。

以前3リッター版にもオプションで用意されていた、ダンパーの減衰力調整および車体姿勢をコンピューター制御するCATS(コンピューター・アクティブ・テクノロジー・サスペンション)と、18インチのホイール/タイヤ、3.0SEにオプション設定のDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)を標準装備するほか、ダンパーやスプリングも独自の仕様になる。その他、コノリーレザーのスポーツシートや6連装CDオートチェンジャーなども備える。

価格は3.0V6SEより45.0万円高い685.0万円。

すべてがしなやか

「スポーツ」とSEとの外観上の違いは、BBS製大径7本スポークホイールを履くことと、ボディサイドのプロテクトモールがないことくらいで、サスペンションが固められているとはいえ車高が低くなっているわけでもないし、無粋なエアロパーツが付けられているわけもない。「スポーツ」であることの主張は、あくまでさりげない。
けれどサポートのよいシートに身を沈め、走り始めれば、ただの雰囲気重視の「スポーツ」でないことがすぐわかる。鈴鹿サーキットの南コースという、英国の小規模サーキットを思い起こさせる恰好の場所が試乗の舞台だったのだが、ひとつ目のタイトコーナーをクリアした段階で、なかなかスポーティーなサスペンションに仕立てられていることに気付く。

2年ほど前に乗ったSタイプのCATS仕様車は、ただただ固い足のクルマであまりいい印象を持てなかった。今度の3.0スポーツは格段に進歩している。
洗練度を増したというか、スポーツサスペンションのセッティングが巧妙、ダンパー、スプリング、アーム類のすべてがしなやかに動いているようで、スムーズにミニサーキットを駆け抜けられるのである。
ロールはそれほど小さくないのだが、クルマの挙動は常に安定していて、245/40ZR18サイズのピレリP-Zeroは路面を捕らえて離さず、ドライバーにまったく不安を与えない。
DSCをオフにして走れば、大人気なくテイルを降り回すことも可能とはいえ、その滑り出しは唐突ではない。243psを発生する3リッターV6ユニットと5段ATとのマッチングもよく、なかなかどうしてスポーツの名にふさわしい軽快な走りっぷりである。

日本ではラグジュアリーなイメージが強いジャガーであるけれども、スポーツ性能もじつはジャガーのもうひとつの「顔」なのだ。ジャガーSタイプ3.0スポーツはあきらかにドライバーズカーであり、積極的に走ることの好きな人にはお薦めの1台といえるだろう。
もっとも、普通の路面の一般道での乗り心地がどうなのかも気になるところで、そのあたりはあらためてリポートしたいと思う。

(文=CG編集局長 阪 和明/写真=松本高好/テスト日=2000年10月4日)



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BBSの7本ホイールが、「スポーツ」を主張する。そのほか、コノリーレザー製スポーツシート、6連続CDチェンジャーが標準で装備される。ジャガージャパンは、3.0「スポーツ」の販売台数を、全Sタイプの約2割、400台前後と予想する。

BBSの7本ホイールが、「スポーツ」を主張する。そのほか、コノリーレザー製スポーツシート、6連続CDチェンジャーが標準で装備される。ジャガージャパンは、3.0「スポーツ」の販売台数を、全Sタイプの約2割、400台前後と予想する。 拡大
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