トヨタ・プリウスPHV G“レザーパッケージ”(FF/CVT)【試乗記(前編)】
つながるプリウス(前編) 2012.04.19 試乗記 トヨタ・プリウスPHV G“レザーパッケージ”(FF/CVT)……427万8855円
外部からの充電機能や大容量バッテリーを備えるエコカー「トヨタ・プリウスPHV」に試乗。2回にわたるリポートの前編では、「プリウス」とは異なるその特徴を紹介する。
さらに磨いて新発売
2009年12月の市場導入から約2年、それまで官公庁や自治体など特定の利用者のみにリースされていた「トヨタ・プリウス プラグインハイブリッド」が、「プリウスPHV(以下PHV)」として2012年1月30日に一般発売された。
PHVについては、今更多くの説明は不要だろう。従来のハイブリッドカーより大型のバッテリーを搭載することで、EV(電気自動車)領域での走行距離を増やし、トータルの燃費性能を向上させることができる。つまり、より環境に優しいクルマとなっていることは容易に想像がつく。
駆動用バッテリーは、「プリウス」のニッケル水素電池より大容量かつ高出力なリチウムイオン電池を採用。リチウムイオン本来の特性もあるが、いわゆるバッテリーをマネジメント(制御)するコントロールユニットの性能向上も手伝って、回生充電量はニッケル水素電池の20%増しと、エネルギー回収効率にも優れる。
エンジン&モーター出力のスペックはプリウスと同じだが、モーターのみで走るEVモードとの複合燃費は、JC08モードで61.0km/リッター(「S」「G」グレード)。EVモードの走行可能距離そのものも、プリウスが実走行で2km程度だったのに対してカタログ上では26.4km、その際の最高速度も、60km/hから100km/hに。まさに、EVとしての実用性も大幅に高められているのである。
実はこのPHV、前述したリース車両の時にも試乗したことがある。その時は「何か、重くね?」という印象だった。それもそのはず、当時のPHV車の車両重量は1490kgで、ベースとなったプリウスの「S」グレードは1350kg。大人2人分の重量が加算されているのだから、誰が乗ってもそう感じるはずだ。さらに、当時のリチウムイオン電池は「ラゲッジルームの下に入りきらない」ため、ラゲッジフロアが持ち上がっており、荷物積載時はちょっと不便だったことも記憶している。
しかし、そこは天下のトヨタ。リース先の声なども真摯(しんし)に聞き入れ改良することで、今回の導入時にはバッテリーの小型化&高密度化に成功。EV走行の航続距離は、当初の23.4kmから26.4kmへと約13%改良、前述したネガティブな車重は1410kg(「S」グレード)と80kgの軽量化。ラゲッジフロアはフラットになり、バンパー部との段差も解消。さらにリース車両時に比べリアデッキスペースを大型化したことで本家プリウスと遜色のない使い勝手を実現している。
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はじめ「EV」、のち「HV」
今回の試乗は、最上級グレードの「G“レザーパッケージ”」を中心に行った。ちなみにプリウスのレザーパッケージは「G“ツーリングセレクション”」のみに設定されているので、ある意味オリジナルグレードという見方もできる。
「クルマを使った1日の移動距離をリサーチすると、大体20km程度である」という調査結果が各自動車メーカーから発表されているが、トヨタも考え方としては同様。乗り方にもよるが、近距離の買い物や駅までの送り迎えなどであれば、1日の行動はすべてEV走行でまかなうことができる計算になる。
PHVを“起動”すると、まずデフォルトでEVモードになる。ここから走り始め、バッテリーを使い切ったところで、ハイブリッドカー(HV)としてさらに航続距離を伸ばすことができる、というのがトヨタがイメージするPHVの利用方法である。
しかし筆者はちょっと“アマノジャク”な性格が働いて(?)逆の使い方をしてみた。まず、スタートと同時にEVではなくHVモードで走行、EV走行可能な距離はセンターメーター内のエコドライブモニター左側に表示されるので、これと同じ距離を往路として走ってみた。そこから復路はEVで走ることで「どれだけトータルの燃費が向上するか」をチェックしたかったのである。だって、最初にいい燃費が出てそこから数値が悪くなるより、グングン良くなるほうが気分いいじゃないですか!
フツーに50km/リッター!?
と、まあ自分勝手な走り方だが、まずはHVで一般道を中心に走ってみた。乗り味としては、現行のプリウスと大きな違いは感じられない。前述したように重量増も大人1人分程度で抑えられたこと、逆にリアに大型のバッテリーを搭載していることでコーナリング時のリアの落ち着き感が増している点は、メリットととらえてもいいと思う。
さて気になる燃費だが、エアコン常時オン、1名乗車で往路の燃費は25.2km/リッター。若干ではあるが燃費走行は意識したものの、基本は交通の流れに乗った走り方をした結果であり、これはこれで十分満足である。
さて復路である。100km/hまで使えるようになったEVモードだが、これが思ったよりよく走る。スタート時からほぼ最大トルクを発生するEVの特性はもちろんだが、後述する「日産リーフ」の3/4程度の出力でありながら、十分以上の性能。交通の流れはもちろん、坂道などでそのトルクを生かしスルスルと登っていくのは、EVの本領発揮というところだろう。
そして燃費である。25.2km/リッターからスタートした燃費は、30km/リッターから40km/リッター台に余裕で入り(ガソリンを消費していないので当然と言えば当然だが)、ゴールに着いた際の燃費計は48.6km/リッター。EVモードで、さらにまだ8.6km走れる余力を残していたから驚きである。余談だが、もう一度別の機会に乗った際は、52.5km/リッターまで燃費は向上した。EVの使い方次第では、燃費を伸ばせる余地は十分にある。
(文=高山正寛/写真=高橋信宏)

高山 正寛
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