トヨタ・アクアS(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アクアS(FF/CVT) 2012.03.27 試乗記 ……241万9330円総合評価……★★★★
2011年12月末の発売以来、好調な売れ行きが伝えられる「トヨタ・アクア」。クルマとしての仕上がりを、項目別にチェックした。
「プリウス」よりもお買い得
「『プリウス』より約300kg軽く、外寸も5ナンバーサイズの使いやすい大きさで、走りは活発、燃費も良い」となれば、この「アクア」が人気を呼ぶのは、当然のことだろう。
今回のテストでは、カタログにうたわれているほどの好燃費は記録できなかったものの、大人3人と撮影機材を乗せて高速道路と一般道をほぼ半々に500km弱走り、総平均燃費22.5km/リッターを記録した。
100km/h以下の速度で平坦路を淡々と走っても、ドライブコンピューター上の燃費は、17〜18km/リッターどまり。市街地に入ったり、起伏に富んだステージでエンジンブレーキを頻繁に使うようになると、燃費値はぐんぐんと向上してきた。いずれにせよ、燃費に関しては、似たようなハイブリッドシステムを持つ「プリウス」よりもアドバンテージがあるのだ。
「アクア」には16インチの仕様(オプション「ツーリングパッケージ」装着車)もあるが、回転半径は4.8mから5.7mへと大きく増加するし、乗り心地の点でもお勧めはしない。
マイナーチェンジで改良された「プリウス」の例に倣い、最初からボディー剛性がしっかりしていて、足まわりがきゃしゃであるというような感覚もない。詳細は項目別に後述するが、総合的な印象として、「プリウス」に比べて、なかなかお買い得感がある。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「トヨタ・アクア」は、同社の「プリウス」より小さな、ハイブリッド専用モデル。「ホンダ・フィットハイブリッド」や「マツダ・デミオ 13-SKYACTIV」などと同クラスに位置する、ハッチバック車である。
パワーユニットは、「プリウスEX」(=2代目「プリウス」)用をベースに、さらに小型化、高効率化されたもので、1.5リッターのアトキンソンサイクルエンジンと高出力モーターを組み合わせた、新しい小型軽量ハイブリッドシステムである。
乗車定員は5名で、ひとクラス大きなサイズの前席や、ゆとりのある前後座席間距離、同クラスのライバルよりも広い305リッターの荷室などを有し、「スタイリッシュなのに、驚きの室内空間」「使いやすく楽しいハイブリッド」とアピールされる。
(グレード概要)
ラインナップは、ベーシックグレード「L」のほか、装備をより充実させた「S」や「G」を加えた3種類。駆動方式は、全てFFとなる。自慢の燃費は、「L」が40.0km/リッター(10・15モード値)で、より上級の「S」「G」は37.0km/リッターを記録する。
今回のテスト車「S」は中間的なグレードで、ステアリングホイールのテレスコピック調節機構やウオッシャー連動型の間欠リアワイパーが標準で備わる。さらに、グラブボックスやドア内張りなどは、アクセントカラーで飾られる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
適度に凹凸のある立体的なデザインで、安っぽさは解消されている。大きく傾斜したスクリーンの下に広がるスペースも、退屈させることなく広々と見せている。カーナビの画面は位置が適切で、見やすい。オーディオやトリップ、空調などのスイッチはステアリングホイール上に備わり、手元で簡単に操作できる。メーター類は、比較的遠い、ダッシュボードの中央部に位置するが、シニアの老眼対策という点では万全である。
(前席)……★★★
シートクッションが小ぶりで薄めなのは、やむなしか。座面の後傾斜角は不足気味で、背面のランバーサポート部の張り出しもヤワ。要所要所で、もっと固くする必要があるのではないだろうか。長時間の運転では、疲れやすい。しかし、頭上のクリアランスは十分で、空力を意識したデザインのクルマにありがちな、狭苦しさはない。斜めに切れ上がるラインを描くドアトリムのおかげで、ドアミラー周辺から斜め前方へと抜ける視界も良好だ。ただし、太いピラーには白いトリムが施されているため、周囲のガラスに映り込んでしまうのが、難点である。
(後席)……★★★
3人掛けにはややきついが、外から想像するよりは快適な室内空間が確保されている。シート下にはバッテリーなどがびっしりと収納されていて、座面の下の部分が前方に張り出しているため、ひざを曲げて座る時などには、かかとが当たる。「ホンダ・フィットハイブリッド」など、この部分が空間になっているクルマに比べると自由度で劣るが、足先を前方に置く分には不満はない。ゆとりのあるサイズをうたう前席のシートバックも、後席からの前方視界を不当にさえぎることはない。しかし、前席に座った場合に比べると、ロードノイズなどのこもり音は、やや大きい。
(荷室)……★★★
ミニマムではあるが、日常の買い物や小旅行の荷物を収納するには困らないだけのスペースが確保されている。スペアタイヤは備わらず、パンク修理剤などが収まるフロアボードの下には、小物ならば少しは詰め込むこともできる。後席の背もたれは分割可倒式で、ゴルフバッグ程度の長さの荷物ならば、シートを倒すことで縦に収納できる。2本のダンパーで支えられるリアハッチの操作は軽い。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
電気モーターのみで静かに発進できる「アクア」は、早朝深夜、近所に対して気遣い不要なのがいい。「プリウス」より300kgほど軽いこともあり、総じて動きがきびきびしている。“変速機”を持たないため、高速道路の巡航ではややストレスも感じられ、オーバードライブが欲しくなる。逆に減速時には、回生能力を一段と大きくしたブレーキが加わると頼もしい。ブレーキパッドの減りも抑えられるだろう。EVスイッチは左右の座席間、シフトノブの後方に備わるが、ステアリングホイール上など手元にあったほうが便利だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地はやや硬め。ボディーの上下動を抑えると、若干燃費に貢献するのかもしれないが、路面からの突き上げの受け止め方は、もう少しソフトであっていい。価格を考慮すればやむなしとも思えるが、スプリングの精度に起因すると思われる細かな微振幅も抑えたいところ。ハンドリングは新しい省燃費タイヤ(ブリヂストン・エコピア)の特性もあって、初期の「プリウス」のようなきゃしゃな感覚はなく、しっかりとしている。ボディー剛性も強固で、安心して運転できる。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2012年2月3日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2012年型
テスト車の走行距離:2701km
タイヤ:(前)175/65R15(後)同じ(いずれも、ブリヂストン・エコピア)
オプション装備:175/65R15タイヤ&15×5Jアルミホイール(4万7250円)/スマートエントリーパッケージ(5万3550円)/ビューティパッケージ+シートヒーター(4万8300円)/LEDヘッドランプパッケージ(11万5250円)/ナビレディパッケージ(4万2000円)/SRSサイドエアバッグ+SRSカーテンシールドエアバッグ(4万2000円)/プレミアムナビ G-BOOK mX(26万7225円)/ETCシルバーボイスタイプ(1万3755円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:485.4km
使用燃料:21.6リッター
参考燃費:22.5km/リッター ※満タン法による計測値

笹目 二朗
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