第307回:あの日夢見た、座間製フォルクスワーゲン
2013.08.02 マッキナ あらモーダ!中学3年生の夢
最新の国際自動車ニュースによると、フォルクスワーゲン(VW)は、最高級車「フェートン」を米国市場で復活させる可能性が浮上してきた。フェートンは2004年北米に投入されたが、思うほど販売台数が伸びず、2006年にカタログから落とされた。VWは今回、再チャレンジを図るべく、2014年1月のデトロイトショーでフェートンの新モデルを公開するという。
現地工場製「パサート」でプレミアムモデルのイメージが定着しつつあるVWにとって、アメリカの消費回復を追い風にフェートン復帰を成功に導けるのか興味深いところだ。
ところでVWの最高級モデルと聞いて、へそ曲がりのボクが思い出したのは、かつてのVW製最高級車で、日産とのライセンス提携によって日本で生産された「サンタナ」である。
思い起こせば1981年、ボクが中学3年生のときだった。
当時ボクは、3年後の18歳の誕生日を前に、自分が乗るクルマは何がいいか、日々想像の翼を羽ばたかせていた。現実的な候補としては、なんとか親に買ってもらえそうなVWの「ポロクラシック」(ドイツ名:ダービー)、もしくは中古の初代「シロッコ」だった。
ところがわが家に出入りしていたヤナセのセールスマン氏は、「ポロクラシックなら、もう少し頑張って『ゴルフ』になさったほうが」と言う。ボク自身は、ゴルフはあまりにポピュラーすぎて興味が湧かなかった。
いっぽう中古の初代シロッコも、今以上に臆病だったボクゆえ「中古買って、壊れちゃったらどうしよう」といった不安が、やがて頭をもたげてきた。
そこに降って湧いた話が、日産自動車とVWの提携調印だった。日産が生産する車種として決まったのは、2代目パサートの3ボックス版として、その年ドイツで発表されたサンタナであった。
当時わが家で買った「アウディ80」は約300万円だったことから「日本で組み立てるんだから、200万円くらいかな」と妄想を繰り返していた。何かトラブルがあったときは、日産ディーラーに駆け込めそうなのも安心だ。
日産はサンタナを神奈川県座間市の工場で組み立てることを発表した。わが家のお墓は座間にあった。これは何かのご縁と思った。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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