スズキ・スイフトXS-DJE(FF/CVT)/ワゴンR 20周年記念車(FF/CVT)
小さな努力の積み重ね 2013.08.13 試乗記 「エネチャージ」「新アイドリングストップ」「デュアルジェットエンジン」の採用で26.4km/リッターの低燃費を実現した「スイフト」と、衝突被害軽減ブレーキを搭載した「ワゴンR」に試乗した。26.4km/リッターの意味
マツダがスカイアクティブ・テクノロジーを「デミオ」に採用して、30.0km/リッターのカタログ燃費を実現したときには驚いたものだ。あれから2年。当時は計測方法に10・15モードが使われたが、今ではJC08モードが用いられる。新モードだとデミオは25.0km/リッター。表記上、一気に5km/リッターも減って、なんだかすごさが薄れたような気がするが、モノは同じ。2011年に採用されたプロ野球の統一球みたいなもので、ホームランが前年の49本から一気に23本に減ったけれど、あれもラミレスが悪かったわけではない。
昨年、「日産ノート」が3気筒エンジンをスーパーチャージャーで過給して25.2km/リッターを達成し、デミオを抜いた。と思ったら、今度は簡素な装備で車重を870kgに抑えて一気に27.2km/リッターを実現した「三菱ミラージュ」がタイからやってきたが、すごすぎてなんとなく“これはナシ”みたいな雰囲気も漂う。そして、間もなく登場する元祖燃費自慢の「ホンダ・フィット」が26.0km/リッター(1.3リッターガソリン車)といわれるが、それが明らかになるかならないかのタイミングで、スズキがサクッと「スイフト」の燃費を向上させて26.4km/リッターとした。
燃費を自慢するクルマが出た直後に、その燃費より少し上乗せしたクルマを出すのはスズキのお家芸だが、今回は発売前に出ばなをくじいた。もしかしたらスズキは「なんだフィットは26.0か。0.4km/リッターも上回っちゃった。いったん26.2km/リッターにしておいて、その次に26.4km/リッターにすれば2回おいしかったのに」(燃費は0.2km/リッター刻みでしか表記できない決まり)と考えているかもしれない。
クルマは燃費がすべてではなく、車重ごとに決められたエコカー減税が免税になるだけの燃費を実現したら、それ以上ははっきり言っておまけみたいなもの。ただ、カタログを彩る一定の効果はあるのだろう。
試乗会の様子を、マイチェンした「ワゴンR」と併せてご報告。