第17回「ジャガーFタイプ V8 S」
2013.09.27 水野和敏的視点作り手の意志がハッキリ見える
今回取り上げるクルマは、ジャガーが半世紀ぶりに作ったピュアスポーツカー「ジャガーFタイプ」です。アルミボディーを持つ2シーターオープンで、5リッターV8(495ps、63.7kgm)を積んだ「Fタイプ V8 S」(1250万円)と、3リッターV6(340ps、45.9kgm)の「Fタイプ」(950万円)がラインナップされます。いずれのエンジンも、スーパーチャージャー付き。試乗車はV8を搭載する前者です。
前回、「ポルシェ・ボクスター」を試乗したときに、「スポーツカーでは、『こういうクルマをつくりたい!』という作り手の意志が大事だ」というハナシをしました。ジャガーFタイプには、その意志がハッキリと見えます。
別に、ニュルブルクリンクやサーキットを攻めなくてもいいんです。50代、60代のオーナーが、ロマンスグレーの色気を放ちながら走らせる。5リッターという大排気量で、アクセルを踏んだ瞬間、ドドドドッ……と湧き出る太いトルク。一方、乗り心地には角がなくて、いわゆるフラットライド。そうした堂々たるスポーツカーに、年を重ねた紳士が優雅に乗る。
インテリアも素晴らしい。上質なレザーを使って、シボの取り方までデザインしてる。ステッチもみごと。樹脂部分はつや消しの黒を使って目立たなくする、いわゆる“黒子処理”を採っています。どうしても目に付く部分は、素材段階から色を練り込んだ、ピアノブラックを使っている。スイッチ類に光り物を使うのは、この手のラグジュアリースポーツの定石です。Fタイプの場合、ところどころに使われるカッパー(銅色)の差し色もうまい。主役と黒子の役割分担を含め、基本に忠実なコーディネートです。
このように、ターゲットカスタマーの嗜好(しこう)に沿って、インテリアがハイクオリティーにまとめてあるんですね。「ヨーロッパの大陸にはないスポーツカーを、イギリスの伝統の中に創るんだ」という、作り手の強い意志を感じます。
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