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第210回:560psのパワーを4輪で駆る!
「アウディRS 6アバント」をサーキットで試す

2013.11.02 エディターから一言 生方 聡
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「アウディRS 6アバント」
「アウディRS 6アバント」
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「RS」シリーズといえば、メルセデス・ベンツの「AMG」、BMWの「M」に比肩するアウディ自慢のハイパフォーマンスモデルだ。その最新モデル「アウディRS 6アバント」に、富士スピードウェイのショートコースで試乗する機会を得た。今回は3名のリポーターによるショートインプレッションをお届けしよう。

ピットレーンのわきに並べられたグレー、レッド、ブルーの「RS 6アバント」その前の「S5 クーペ」は、アウディ主催のドライビング講習「アウディドライビングエクスぺリエンス」のインストラクターが運転する先導車だ。
ピットレーンのわきに並べられたグレー、レッド、ブルーの「RS 6アバント」その前の「S5 クーペ」は、アウディ主催のドライビング講習「アウディドライビングエクスぺリエンス」のインストラクターが運転する先導車だ。 拡大
最高出力560psを発生する4リッターV8ツインターボエンジン。560ps/5700-6700rpmの最高出力と、71.4kgm/1750-5500rpmの最大トルクを発生する。
最高出力560psを発生する4リッターV8ツインターボエンジン。560ps/5700-6700rpmの最高出力と、71.4kgm/1750-5500rpmの最大トルクを発生する。 拡大

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究極のクワトロスポーツ

「Audi史上最速のアバント」の称号を持つハイパフォーマンスステーションワゴンの「アウディRS 6アバント」。ダウンサイジングの流れに聖域はなく、エンジンは旧型の5.2リッターV10から4リッターV8に縮小されてしまったが、果たしてその走りは……ということで、訪れたのが富士スピードウェイのショートサーキット。「スケジュールの都合で、全開走行は2周だけよ!」と言われたものの、そもそもショートサーキットは最高速を試すには短すぎる。しかし、そこはモータージャーナリストの性(さが)で、取りあえずストレートでアクセルペダルをベタ踏みにしたら、ド迫力のエキゾーストノートとともに、あっという間に2速が吹けきり、ストレートエンドのブレーキングポイントが目の前に。2トン強のステーションワゴンの加速とは到底思えない。

でも、その加速以上に驚いたのがRS 6アバントのハンドリング。なんだコレは……というくらいに俊敏な動きを見せるのだ。コーナーではターンインが鋭いうえに、アンダーステアが出やすい登りのタイトコーナーでも、アクセルペダルを踏んでいれば狙ったラインをトレースできるし、右から左へ切り返すポイントでもスパッと向きを変えてみせる。クワトロ、リアスポーツディファレンシャル、そして、DRC(ダイナミック・ライド・コントロール)付きのスポーツサスペンションといったデバイスが、うまく機能している証しだ。究極のクワトロスポーツ、ここにあり!

(生方 聡)

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走行モード次第でクルマが大変身

試乗コースの説明を受け、いざピットから出発。まず驚いたのがその出足で、アクセルをちょいと踏んだだけでクルマが「グワッ」と前に出た。「Audiドライブセレクト」が、一番過激な「DYNAMIC」に入っていたのだ。後で「COMFORT」で試してみると、いたって穏やかな出足になった。

Audiドライブセレクトというのは、最近の高性能車ではおなじみの、走行モードの可変制御システム。実際に試してみると、スロットル制御についてはアクセル開度に対するエンジンの反応の強弱のほか、アクセルを踏み始めてからエンジンがそれに応えるまでの、タメの長さも変わっているようだ。さらに「DYNAMIC」では、アクセルを抜くたびにマフラーが「ボン、ボボン」と音を放つようになる。
ちょっと演出過剰? いえいえ。「ふだんはCOMFORT。たまにDYNAMICで日ごろの憂さを晴らす」という使い方を思えば、これくらいがちょうどいいでしょう。
ただこの機能、モニターに操作画面を呼び出さないと操作できないのが残念。他車のように「ワンタッチでモード変更」とはいかないのだ。

運動性能、特に旋回性能については、まさにトルクベクトリング機能が付いたフルタイム4WD車のそれ。ハンドルを切ってアクセルを踏んだら、コーナーの出口へ向かってぐいぐいと突き進んでいく。頭の軽さで旋回するのではなく、力技で曲がっていく感覚には、ある種の優越感を伴うアブナイ気持ちよさがある。

これだけ旋回性能が高いと、どうしても気になってしまうのがシート。大柄なドイツ人はともかく、小柄な筆者にはサイズが大きすぎて、コーナーの度に腰が滑った。もっとも、それは今回の試乗がタイトなサーキットだったからで、一般道ではこのくらいのホールド感がいいあんばいなのかもしれない。

(webCG 堀田)

コーナリング時などにおけるトラクションの確保を考慮して、「RS 6アバント」にはリアスポーツデファレンシャルが標準装備される。
コーナリング時などにおけるトラクションの確保を考慮して、「RS 6アバント」にはリアスポーツデファレンシャルが標準装備される。
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インテリアカラーはブラックとシルバーの2色の設定。デコラティブパネルはカーボンが標準となる。
インテリアカラーはブラックとシルバーの2色の設定。デコラティブパネルはカーボンが標準となる。
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「Audiドライブセレクト」の操作画面。ちなみに、同じアウディ車の中でも、CDセグメント以下の車種には直接走行モードを切り替えられる専用のボタンが備わっている。
「Audiドライブセレクト」の操作画面。ちなみに、同じアウディ車の中でも、CDセグメント以下の車種には直接走行モードを切り替えられる専用のボタンが備わっている。 拡大

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これぞハイパワー4WD車の面白さ

「500ps超えたら4WDが安心」
これ、私の持論である。
もちろん、500psの2WDで成立している製品だってある。でも、公道で本当に500psを使おうとしたら、2本のタイヤでは不自由をきたすことが少なくない。トラクションコントロールが利きっぱなしになって前に進まないとか、駆動輪のグリップ状況によってステア特性がせわしなく変わってハンドリングを楽しめないとか、だいたいそういう状況に陥ってしまうからだ。まあ、そういう「ちょっぴり危険な状態」が楽しいと言えないこともないのだけれど……。

それに比べれば、アウディ自慢のフルタイム4WD機構「クワトロ」を装備した「RS 6アバント」などは、いくらV8 4リッターツインターボエンジンが560ps、71.4kgmの爆発的なパワーを生み出しても、275/35R20サイズのタイヤが4本“束になって”トラクションを稼ぎ出すため、まったくドラマが起きない。「そんなの退屈でしょ?」と思うアナタは大いに間違っている。560psのパワーがすべて路面に注がれたときの加速感は、たとえスキッドするなどのドラマが起きなくても、十分にエキサイティングだからだ。

RS 6アバントのステアリング特性は、フルタイム4WDの文法どおり弱アンダーステアだが、これはステアリングを切り込むタイミングを少しだけ前倒しすれば難なく解消できる。しかも、今回の富士スピードウェイ・ショートサーキットでの試乗では、最終コーナー手前のS字区間で速いコーナリングスピードを保ちつつ、振り子の原理を使ってリアを振り出そうと試みたところ、絵に描いたようなオーバーステアを示してくれた。このリアの振り出しを軽いカウンターステアですっと収めるというのは、ハイパワー・フルタイム4WDモデルのドライビングにおける最高の醍醐味(だいごみ)といえるかもしれない。

560ps+クワトロのアウディRS 6アバント、ただ直線がめっぽう速いだけではない。コーナリングで存分に振り回すハンドリングも、このモデルは備えているのだ。

(大谷達也<Little Wing>)

→「アウディRS 6アバント」のより詳細な写真はこちら
 

ボディーカラーは「アイビスホワイト」や「ナルドグレー」など全9色。日本の鈴鹿サーキットを意識したとおぼしき「スズカグレーメタリック」という色も設定されている。
ボディーカラーは「アイビスホワイト」や「ナルドグレー」など全9色。日本の鈴鹿サーキットを意識したとおぼしき「スズカグレーメタリック」という色も設定されている。
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耐フェード性能を考慮した、波型のディスクローターが特徴的な「RS 6アバント」のブレーキ。オプションでセラミックブレーキも用意している。テスト車のタイヤはダンロップの「SPスポーツマックスGT」。


    耐フェード性能を考慮した、波型のディスクローターが特徴的な「RS 6アバント」のブレーキ。オプションでセラミックブレーキも用意している。テスト車のタイヤはダンロップの「SPスポーツマックスGT」。
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「RS 6アバント」に標準装備される、本革製の専用スポーツシート。シートバックには「RS 6」のロゴがエンボス加工であしらわれていた。
「RS 6アバント」に標準装備される、本革製の専用スポーツシート。シートバックには「RS 6」のロゴがエンボス加工であしらわれていた。
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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