BMW X5 xDrive35d Mスポーツ(4WD/8AT)
攻めるパイオニア 2014.01.08 試乗記 プレミアムSUVのパイオニア「BMW X5」が、通算で3代目となる新型に移行した。外観からは「キープコンセプト」に見える今回のモデルチェンジは「攻め」か「守り」か? 3リッターディーゼルエンジンを搭載する「X5 xDrive35d Mスポーツ」で箱根のワインディングロードを目指した。さらに進化した3リッターディーゼル
BMWが初代「X5」を市場に投入したのは2000年。その頃はまだ今ほどSUVが市民権を得ておらず、高級車市場ではセダンとステーションワゴンが幅を利かせていた。BMW自身もこれを独自にSAV(スポーツ・アクティビティー・ビークル)と呼んだりしながら、SUV市場の拡大を見越して、いち早くおのれの存在感を打ち出そうと頑張っていたのを思い出す。
実際、初代X5の乗り味は「BMWが造ったSUV」とうたうにふさわしい、“ダシ”の利いた出来栄えだった。オンロード用と割り切った前輪38:後輪62の駆動配分を持つ4WDシャシーは、背の高いSUVをワインディングロードでも極めて自然に走らせ、「BMWが造ると、やっぱクロカン(←完全なる死語)も、ひと味もふた味も違うなぁ」と、いたく感心させられたのを覚えている。
なにせあの頃、SUVといえばそのデカさと背の高さがウリで、まだ走りの質などそれほど突き詰められてはいなかった。というより、そもそもみんな「背の高いクルマが、セダンのようにきちんと走るわけがない」と見限っていたようにも思う。お金持ちは「レンジ」に「ゲレバ」。アウトドア派は「パジェロ」に「ランクル」。そんな時代であった。
初代が2代目へと進化したのは2007年。この頃になると、世の中にもかなりSUVが浸透してきており、新しいファミリーカーの形とまでいわれるようになっていた。そこでもBMWは、相変わらずBMWらしい、コンサバながらも説得力のあるルックスと(過激に装った「X5 M」は除く)、さらに分厚さを増した乗り味を披露して、再びみなをうならせた。それは、まさに正常進化といえる内容だった。
そしてこのたび、2代目が6年のモデルライフを終え、3代目に移行した。果たしてその方向性は、戦国時代と化したプレミアムSUV市場において、どう変わったのか?
新型のグレード構成を軽く押さえておくと、ガソリンエンジンは4.4リッターV8ツインターボ(450ps)を搭載する「xDrive50i」と、3リッター直6ターボ(306ps)を搭載した「xDrive35i」の2モデル。そして日本でもメイン機種となるであろうクリーンディーゼルは、3リッター直6ターボ(258ps)を搭載した「xDrive35d」となる。
各モデルには標準車のほか、エクステリアに磨きをかけた「xLine」(エックスライン)と、さらにはフットワークを強化した「Mスポーツ」の、計3種類が用意される。今回試乗したのは、一番の売れ筋モデルになるであろうxDrive35dのMスポーツ仕様である。
3リッターのクリーンディーゼルエンジンは、先代X5で2012年に初めて導入された直6ターボの進化版だ。最高出力は13psアップの258ps、最大トルクは5.1kgmアップの57.1kgmという数値を誇りながら、燃費性能は先代よりも25%向上した13.8km/リッター(JC08モード)を達成している。
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