三菱eKスペース カスタムT(FF/CVT)/三菱eKスペースG(FF/CVT)
期待に応えて見せましょう 2014.03.13 試乗記 三菱が満を持して軽スーパーハイトワゴン市場に参入。最後発となる「eKスペース」はライバルに伍(ご)する実力を備えているのか。その使い勝手と走りを試した。ライバルに“広さ”で真っ向勝負
競争力の高い軽自動車を開発するために、三菱自動車と日産自動車が50%ずつ出資して設立した合弁会社NMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)が送り出す第2弾。「三菱eKワゴン」(日産は「デイズ」)に続くのは、「eKスペース」(日産は「デイズ ルークス」)というモデル。全高1700mmを超すスーパーハイトワゴンと呼ばれるカテゴリーに属する。
ちなみにスーパーハイトワゴンとしては、eKスペースが最後発、後出しじゃんけんとなる。では、先発の「ホンダN-BOX」「ダイハツ・タント」「スズキ・スペーシア」といった競合と比較して、三菱eKスペースのストロングポイントはどこか? 報道関係者向け試乗会でその実力を試した。
スペックを見ると、軽自動車規格ぴったりの全長(3395mm)と全幅(1475mm)は各車同じ。何が違うかというと高さが違って、1775mmのeKスペースは1780mmのN-BOXの次に背が高い。
背が高いということは、室内のスペースに余裕が生まれるということ。室内の高さ1400mmは、N-BOXと並んでスーパーハイトワゴンで最高だ。後席の居住空間に余裕を求める方は、eKスペースを選択肢に入れていいだろう。
アドバンテージは後席にあり
後席は、頭上に余裕があるだけではなく、快適に過ごすために工夫されている。
まず、後席は前後に260mmもスライドする。シートを担当したエンジニア氏は、軽自動車の後席のスライド量としてはトップレベルだと胸を張った。
後席を一番後ろまで下げると、身長180cmの筆者が前席のシート位置を合わせた状態で後席に座っても、余裕で足を組むことができる。
しかもそれだけではない。後席を一番前へスライドさせると、運転席や助手席から後席に手が届くのだ。後席のチャイルドシートに座ったお子さんがぐずった時に、この近さはうれしいはずだ。
もうひとつ、天井付近に設置したファンから送風するリアサーキュレーターという装備も、エアコンをがんがんに効かせたい夏の暑い時期にはありがいと感じるはず。総じて、後席を大事に考えて開発したスーパーハイトワゴンといえる。
“育メン”にも乗ってほしい
eKスペースには、ノーマルモデルのほかにギラッとしたフロントグリルのやんちゃ仕様「カスタム」が用意される。また、カスタムはターボエンジンを選ぶことができる。49psのNA(自然吸気)エンジンに対して、ターボエンジンは64psの最高出力を発生する。
まずはターボエンジンを搭載する「eKスペース カスタムT」を試す。エクステリアデザインを担当したデザイナー氏によると、「かわいい」を意識したeKワゴンに対してeKスペースは男性が乗っても恥ずかしくないようにデザインしたという。ユニセックスなデザインなのだ。特にカスタムは、“育メン”も乗ることを前提にしているとのことだ。
したがってeKスペース カスタムはボディーカラーも白、黒、銀、紫、茶といった具合に、男っぽい。
デザイナー陣からうかがった三菱eKスペース/日産デイズ ルークスのデザインの話がおもしろかった。NMKVというひとつの場所で、三菱と日産のデザイナーがそれぞれの会社の「らしさ」をデザインで表現しようと頭をひねったという。
三菱のデザイナーたちから見ると、日産はボディー面の凹(おう)部分を重視する一方で、三菱は凸部分を大事に造形を考える違いがあったという。そんな目でNMKVの製品を見比べるのも興味深い。
ターボならどんなシーンでもよく走る
乗り込んだ瞬間、担当編集、カメラマンと3人同時に「広い」というフレーズをハモってしまった。それぐらい広い。室内高に余裕があるので、乗り降りも楽ちんだ。
空調類をタッチパネルで操作する家電っぽいインテリアは、eKワゴンと共通の印象。見ても触れても安っぽい感じはしないけれど、カスタムは黒内装しか選べないのがタマにきず。ノーマル仕様に用意されるアイボリー内装のほうが広々と感じられて好みだ。
走りだす前に後席のシートアレンジをチェック。ライバルを研究し尽くした末に登場した最後発スーパーハイトワゴンだけあって、ワンアクションで後席シートを畳めるなど、使い勝手がいい。ほとんど力を入れずにシートを倒すことができるので、女性でも扱いやすいだろう。左右の後席を同時に倒せば、2人乗りの大容量荷役車に変身する。というところまで確認してから、エンジンをスタートする。
ターボエンジンはそれほどエンジン回転をあげなくても力がわき出てくるタイプで、ストップ・アンド・ゴーが続く市街地でも走りやすい。あくせくせずに、おおらかな気持ちで運転ができる。こういった状況では音も静かだ。
高速道路に入って速度が100km/hに近づくあたりから、エンジンのノイズが大きくなる。決して耳障りなイヤな音質ではないけれど、高速では風切り音も加わって、かなりにぎやかな印象となる。ただし、高速道路のちょっとした登り坂程度なら力不足は感じない。どんなシチュエーションでもよく走る。
背の高さを感じさせない乗り味
乗り心地はまずまず。さすがにこれだけ背丈があると足をきっちり固めないとグラグラと傾いてしまうようで、しっかりとした足まわりになっている。だから路面からのショックはダイレクトに伝わる。けれども、開口部が大きいのにボディーはしっかりしているので、「ダン!」というショックを受けた後で、どこかが震えたりガタピシ音が出たりすることがない。
ソフトで夢のような乗り心地ではないけれど、これなら納得できるという現実的な乗り心地である。
足がしっかりしているぶん、コーナーでは踏ん張る。高速コーナーでは一瞬、背の高さを忘れてしまうほど。このしっかり感を味わうと、路面からのショックが伝わることは帳消しにできる。
エクステリアデザインのところで「男っぽさを狙った」と書いたけれど、ターボモデルに関しては乗ってみての印象も男っぽいと感じた。
エンジン選びが悩ましい
短時間ながらNAエンジンモデルにも試乗することができた。ターボの後にNAに乗ると、「うーん」という感じ。出足の遅さに「あれ?」と思う。登り坂や、平たんな道でも加速時にはかなりアクセルペダルを踏み込んでエンジン回転を上げる必要があるから、音がうるさい。ターボのほうが速いというよりも、ターボのほうが上質というイメージだ。
両者のJC08モード燃費を比べると、NAが26.0km/リッター、ターボが22.2km/リッター(ともにJC08モード)。価格差は約14万円。悩ましい。ちなみにNAが14インチ、ターボが15インチというタイヤの違いもあってか、NAのほうが乗り心地は少しだけしなやか。ますます悩ましい。
ただし、速いとか遅いとかちょっとした乗り心地の違いよりも、スーパーハイトワゴンに興味をお持ちの方は後席のスペースや居心地、アクセスなどに関心がおありだろう。
広々とした軽自動車がほしいという、子育て世代のユーザーの期待にはしっかり応えてくれるニューモデルであることは間違いない。
(文=サトータケシ/写真=峰 昌宏)
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テスト車のデータ
三菱eKスペースカスタム T
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1775mm
ホイールベース:2430mm
車重:950kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:10.0kgm(98Nm)/3000rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:22.2km/リッター(JC08モード)
価格:165万9000円/テスト車=169万500円
オプション装備:ボディーカラー<ホワイトパール>(3万1500円)
※価格はいずれも5%の消費税を含む。
テスト車の年式:2014年型
テスト車の走行距離:---km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:----km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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三菱eKスペース G
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1775mm
ホイールベース:2430mm
車重:930kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:49ps(36kW)/6500rpm
最大トルク:6.0kgm(59Nm)/5000rpm
タイヤ:(前)155/65R14 75S/(後)155/65R14 75S(ダンロップ・エナセーブEC300)
燃費:26.0km/リッター(JC08モード)
価格:137万7600円/テスト車=145万1100円
オプション装備:運転席側ワンタッチ電動スライドドア(4万2000円)/155/65R14タイヤ+アルミホイール(3万1500円)
※価格はいずれも5%の消費税を含む。
テスト車の年式:2014年型
テスト車の走行距離:---km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:----km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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