メルセデス・ベンツGLA250 4MATIC(4WD/7AT)
新手のオールラウンダー 2014.06.20 試乗記 メルセデス・ベンツが手掛けるコンパクトSUV「GLAクラス」が上陸。その走りは、既存のモデルとどう違う? 一般道とオフロードコースで、実力を確かめた。ほどよくマッチョで、適度にゴージャス
メルセデス・ベンツGLAクラスは、同社の5番目にして最もコンパクトなSUV。2014年5月末より日本市場への導入が始まった。これでメルセデス・ベンツも、コンパクトSUV市場に参入することになる。
ただし資料を読む限りは「軽そうなヤツ」に思えてならなかった。軽そうというのは車体が軽いというのではなく、お手軽に作った、の「軽」だ。「A/Bクラス」をベースにちゃちゃっと車高を上げて、着せ替えワイルド版を作ってみました、的な。
そういう目で見ると、『スーパーマリオプラザーズ』のマリオが出てくるテレビCMも軽く思えてくる。
といった色眼鏡をかけて、新型車試乗会に向かう。ここでGLAクラスのモデル構成を紹介しておくと、用意されるエンジンは1.6リッター直噴ターボ(122ps)と2リッター直噴ターボ(211ps)の2つ。前者を搭載するモデルが「GLA180」で後者が「GLA250」となる。
日本仕様のGLA180はFF(前輪駆動)、GLA250は4MATICと呼ばれる4WD(四輪駆動)。どちらのモデルにも、標準仕様のほかに、10mm車高の低い「Sports」と、30mm車高を上げて快適性も高めたという「Off-Road」が用意される。
ほかに、360psの2リッター直噴ターボと4MATICを組み合わせる「GLA45 AMG 4MATIC」もラインナップされるけれど、730万2000円という価格も含めてカテゴリーが違うと思われる。
今回は、売れ筋の「GLA250 4MATIC」を試乗した。素のパフォーマンスを知るために、あえて標準仕様を選んだ。
試乗会会場で実車と対面して、真っ先に「うまい!」と思う。たくましさとエレガントさが、ケンカをせずに同居しているからだ。結果、ハイブランドが作るアウトドアシューズのように、ほどよくマッチョで適度にゴージャスというおしゃれ感を醸している。
ボンネットのラインやがっちりしたフロントグリルがタフさを表現しつつ、彫りの深いサイドのラインやクーペっぽいサイドウィンドウの切り取り方で都市にも似合うようなデザインになっている。
こりゃ売れそうだ、という思いは、実際にステアリングホイールを握るとさらに強くなった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
乗れば感じる“余裕”と“効率”
インテリアの眺めは、Aクラスと変わらない。機能的でありながらいいモノ感も感じさせる、バランスのいいデザインだ。
ステアリングホイールの右側根元から生えているシフトセレクターでDレンジをセレクト、パーキングブレーキを解除すれば準備完了。ブレーキペダルから足を放すと、メルセデス・ベンツGLA250 4MATICはアイドル回転でしずしずと発進した。
「A250 4MATIC」に比べると約50kg重いけれど、35.7kgmという大トルクをわずか1200rpmから発生する2リッター直噴ターボにとっては蚊に刺された程度の重量増だ。ストップ&ゴーが続く市街地も余裕をもって走る。
デュアルクラッチ式のトランスミッション、7段G-DCTは、「E」「M」「S」の3モードのうち「E」を選ぶ限り、早いタイミングでどんどん上のギアを選ぶ。ギアが変わったことに気づかないほどスムーズに変速するので、街中でも気づくと5速とか6速で走っている。いかにも効率がよさそうだ。
一方、「S」モードを選ぶと高回転域にキープして、元気よく走るようになる。山道では、「M」を選んでパドルシフトで遊ぶのも楽しい。「-」のマークが付いた方のパドルシフトを2度手前に引くと、「タンッ、タンッ」と素早くギアを落としてくれる。
ただしタコメーター上では6250rpmから上がレッドゾーンになっているけれど、パワーや爽快感がエンジン回転に比例して増すタイプではない。せいぜい5000rpm前後をメドにシフトアップして、中回転域でのレスポンスのよさを楽しむような走り方で一番持ち味が出るエンジンだと思う。
そしてちょっと路面の荒れたワインディングロードや特設オフロードコースを走ると、売れそうだという予感はますます強まるのだった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
「Aクラス」とは別のクルマ
「メルセデス・ベンツA250 シュポルト」のアジリティー(敏しょう性)とフラットライドを両立した足まわりも魅力的だったけれど、「メルセデス・ベンツGLA250 4MATIC」はもう少し大人っぽくて懐が深い印象だ。
路面のコンディションが悪いところを強行突破しても、タイヤが受けた鋭いショックはサスペンション→ボディー→シートやステアリングホイールと伝わるうちに、次第に角が取れてくる。最終的にドライバーは、快適な乗り心地を享受することになる。
Aクラス/Bクラスをベースに手軽にちゃちゃっと作った感じはない。市街地や山道をちゃきちゃき走るAクラス、ロングドライブをゆったりと走るGLAクラス。といった具合に、異なるキャラクターを与えるべく念入りに作りこまれている。
オフロードコースを走ると、そんな思いがさらに強まる。GLAクラスの4MATICは、通常は前後トルク配分100対0、つまり燃費を考慮してFFで走る。そして状況に応じて最大で前後50対50まで後輪にトルクを配分する。
オフロードに入ったら、まずインパネのスイッチを押してトランスミッションをオフロードモードにする。するとシフトやアクセル操作に対するレスポンスが、悪路走破性を優先するセッティングに変わる。
4MATICの威力は絶大で、コンチネンタルの「コンチスポーツコンタクト5」というオンロードを快適かつスポーティーに駆け抜けるためのタイヤを履くにもかかわらず、普通のハッチバックだったら絶対に行けないような難所を軽々と駆け登る。
駆け下りる時には、DSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)のスイッチを押す。すると、4~18km/hの間で設定した速度をキープしてくれるから、ドライバーはステアリングホイールの操作に専念できる。DSRは、「どんな・坂でも・楽々」だ。
GLAの最低地上高は150mmほどで、100mm前後のAクラスやBクラスに比べると、こういった場所では明確なアドバンテージがある。
GLAも見た通り、がっちがちのオフローダーではないから調子に乗ると腹を擦ったりアゴを打ったりするけれど、スキーやサーフィンやフィッシングなど、アウトドアのアクティビティーを楽しむには十分以上の性能だろう。
素性のよいパワートレインと大人っぽい足まわり、頼りになる4MATIC。さらにゆとりのある居住空間とラゲッジスペース。そしてただかっこいいだけでなく、使い倒せるギアっぽい魅力。商品力は相当高い。
(文=サトータケシ/写真=峰 昌宏)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
メルセデス・ベンツGLA250 4MATIC
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4430×1805×1495mm
ホイールベース:2700mm
車重:1570kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:211ps(155kW)/5500rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/1200-4000rpm
タイヤ:(前)235/50R18 97V(後)235/50R18 97V(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5 SSR)
燃費:14.0km/リッター(JC08モード)
価格:459万円/テスト車=498万5400円
オプション装備:レーダーセーフティーパッケージ<緊急ブレーキ機能CPA+ブラインドスポットアシスト+ディストロニックプラス+レーンキーピングアシスト+PRE-SAFE(19万5400円)/バリューパッケージプラス<運転席メモリー付きフルパワーシート+前席電動ランバーサポート+後席アームレスト+トランクスルー機構+助手席側リバースポジション機能付きドアミラー+後席カップホルダー+バックレスト折り畳み角度調節+アンダーシートボックス+シートバックポケット+サングラスケース+助手席ネットポケット+ラゲッジルーム12V電源ソケット+ラゲッジネット+左右独立調節式クライメートコントロール+折り畳み収納ボックス>(20万円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:1012km
テスト形態:ロードインプレッション(一部オフロードコース)
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.5 今も昔もアウディの中核を担うアッパーモデル「A6」。その最新世代の「アバント」に試乗した。堂々とした優雅なボディーに最新のハイブリッドシステムを搭載したステーションワゴンは、いかなる走りを見せてくれるのか。その実力をリポートする。
-
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)【試乗記】 2026.10.3 フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。
-
日産エルグランドG e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.9.30 日産のプレミアムミニバン「エルグランド」がフルモデルチェンジ。その動力を担う第3世代の「e-POWER」は優れたドライバビリティーとともに、懸案だった高速燃費の改善もうたう。ロングドライブで進化のほどを確かめた。
-
NEW
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.10.8試乗記フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。 -
NEW
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る
2026.10.8デイリーコラムスバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。 -
“クルマづくりのプロ”の話をライブで配信! 「あの多田哲哉のクルマQ&A」公開収録のお知らせ
2026.10.7From Our Staff元トヨタの多田哲哉さんが、自動車に関するさまざまな疑問・質問に答える「あの多田哲哉のクルマQ&A」。その話がライブで聞けて質問もできる公開収録を、10月15日(木)の夜、19時半から実施します。 -
咆哮なき電気自動車「ジャガーTYPE 01(タイプ01)」に“ジャガーの魂”は宿るのか?
2026.10.7デイリーコラムいよいよ正式デビューを飾った、新生ジャガーのラグジュアリー4ドアGT「TYPE 01(タイプ01)」。いったいどんなクルマなのか、従来のファンも納得できる“ジャガーらしさ”はあるのか? 先行チェックした西川 淳がリポートする。 -
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】
2026.10.7試乗記新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。 -
第131回:新型三菱パジェロ(後編) ―レトロブームには頼らない? 最新のデザイントレンドを追求した三菱の思惑―
2026.10.7カーデザイン曼荼羅正式発表を間近に控え、ますますファンの間で話題が盛り上がっている新型「三菱パジェロ」。歴史的な旗艦の復活だというのに、三菱があえてレトロブームに乗らなかった理由とは? カーデザインの識者とともに、新型パジェロに見る最新のデザイントレンドを探る。





























