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第18回:もしやニッポンハイブリッド化の反動?
「ランクル70」国内復活が超喜ばしいワケ!

2014.09.03 小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ

ヤツが帰ってきただって!?

久々に文句ナシの朗報! だけどある意味灯台もと暗し……みたいな部分もありましたね。実はずっと手元にあったという意味で。そ、予期せぬ“日本自動車界のお宝”こと「トヨタ・ランドクルーザー“70”シリーズ」通称ランクル70系の国内復活であーる。

既に報道されまくりでご存じの人も多いと思うが、先週8月25日にお台場メガウェブで「ランドクルーザーモーターショー2014」が催され、歴代ランクルが「トヨタ・ジープBJ」から20系、40系と陳列されるなかで、これまた30年前に生まれた70系が国内で10年ぶりに販売されることが発表されたのだ。台数限定ではなく約1年間限定ってのが面白いが(厳密には2015年6月30日生産分まで)、それ以上に「一体なんでまた30年前のクルマをいまさら再生産?」って思ったアナタ、正確にはこれ、復活でもなんでもない。

1984年、まさに今からちょうど30年前に生まれた見るからに武骨な70系は、その出来が優秀なあまり、今も生産量の半分以上が売れる中近東を中心に、オーストラリアやアフリカ向けに月約6000台(!!)もコンスタントに作り続けられているという。例の「メルセデス・ベンツGクラス」こと「ゲレンデヴァーゲン」も1979年の誕生以来、手を替え品を替えアップデートされ、今もオーストリアで作られている。それに勝るとも劣らぬ“走るシーラカンス”というか、名車が日本にもあったわけである。

しかもいまだに初期と変わらず、トヨタグループの国内工場でほぼ100%作られるという純国産! つまり門外不出の、日本のクルマ作りの匠の技が受け継がれているという面でも、70系には唯一無二の価値があるわけだ。

ただ、日本では例のNOx規制の時に販売が中止されてしまい、以来、今まで海外でのみ販売されてきた。それがここにきてその価値が認められたというか、再販の機運が盛り上がり、別に再生産ではなく、国内で作られていたものを現地で販売するというある意味ごく当たり前のことが行われることになったのだ。

10年ぶりに日本で復活した「トヨタ・ランドクルーザー“70”シリーズ」。今日も世界各地で活躍している、本格クロスカントリーモデルである。
10年ぶりに日本で復活した「トヨタ・ランドクルーザー“70”シリーズ」。今日も世界各地で活躍している、本格クロスカントリーモデルである。
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会場に置かれたコンテナの中から登場する「ランクル70」に、一斉にカメラを向ける来場者たち。
会場に置かれたコンテナの中から登場する「ランクル70」に、一斉にカメラを向ける来場者たち。
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ランクル伝説始まりの一台である「トヨタ・ジープBJ」。もとは警察予備隊(今の自衛隊)の要請を受けて開発された4WDの試作車であり、1953年に、まずは官公庁向けに販売が開始された。
ランクル伝説始まりの一台である「トヨタ・ジープBJ」。もとは警察予備隊(今の自衛隊)の要請を受けて開発された4WDの試作車であり、1953年に、まずは官公庁向けに販売が開始された。
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懐かしい当時モノの「ランクル70」。再販される今の70とは、まったく異なるフロントまわりのデザインが、哀愁漂いまくりで泣かせる。
懐かしい当時モノの「ランクル70」。再販される今の70とは、まったく異なるフロントまわりのデザインが、哀愁漂いまくりで泣かせる。
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30年間作り続けられていること自体のすごさ

復活を決めたランクル開発エンジニアのボスである小鑓(こやり)さんを直撃したところ「復活の理由は3つあって、1つはファンの声。長年にわたるランクルファンの『70を日本でも売ってほしい!』という声に応えたかったというのがあります。2つ目は今年がちょうど70の生誕30周年の節目であること。3つ目は、久々に本格4WDの魅力を皆さんにご紹介したかったということです」

まさに日本が世界に誇る”名車ランクル”の原点を世に知らしめるに格好の機会だったわけだ。事実この移り変わりの激しい世の中にあって、30年間もほぼ設計を変えず作り続けられ、人気を保っているという事実は、いかに70が優れたクルマであるかの無言の証明でもある。

だが、一説によればその裏には、ここ最近「プリウス」「アクア」をはじめとするクルマのハイブリッド化であり電子化を推し進めてきたトヨタの、ある種の反省というか原点回帰の想いもあるという。再び小鑓さんは語る。

「70の最大の魅力は“操る”ということ。なにしろ全部がメカ(機械式)ですから。本格的な機械式4WDで、電子制御もなく、ギアボックスもMTしかない。これに匹敵するのはおそらく『ランドローバー・ディフェンダー』ぐらいじゃないでしょうか」

一部では「損得抜き」という話もある。実際、国内ディーラー網に新たに備えなければならないサービス体制やパーツ供給を考えると、利益の面ではプラスになるかならないかだろう。だが、それをふまえても昨今のクルマのハイテク化を進めたトヨタは「やらねば」と思ったようなのだ。

別室にて、チーフエンジニアの小鑓貞嘉(こやり さだよし)さん(右)を直撃中の小沢コージ(左)。
別室にて、チーフエンジニアの小鑓貞嘉(こやり さだよし)さん(右)を直撃中の小沢コージ(左)。
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発表会に集まった全国のランクルファンの皆さん。よく見ると、エスカレーターの上の2階にも人の姿が……。
発表会に集まった全国のランクルファンの皆さん。よく見ると、エスカレーターの上の2階にも人の姿が……。
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発表会で登壇する小鑓さん。
発表会で登壇する小鑓さん。
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ニッポンにはランクルがあるじゃないか!

ちなみに、今回は従来通りの4ドアバンだけではなく、国内初登場のロングホイールベースのピックアップトラックが用意される。後者にちょっとだけ不肖オザワが乗ったところ、あまりの安定感というか熟成感にビックリ。正直に告白すると、久々に完全マニュアル式のトランスファーギアを扱ったら、思わず「ガリガリ」とやってしまったが、その辺も含めて機械を操っている感覚はプンプンだし、それでいて壊れそうな気配はみじんもない。

確かに、見た目的にいわゆる「アイアンバンパー」じゃなかったり、ライト類がモダンになって顔つきが今風になってしまったのは残念。そしてインパネがイマ風になってしまったのは外観のモダン化より残念だが、中身はしっかりと80年代。Gクラスにも負けず劣らずで、さらにトヨタらしい洗練された道具っぽさも感じられた次第。ついでに乗り心地は信じられないほど良かった。

それと不肖オザワとしては、この「クラウン」より古い世界的な名車を“今も”作っていることを見せるのは、全アジア的にも意味があると思っている。
ご存じのとおり、歴史を都合よく印象操作する某国が伸びているなか、信じられない話だが、いつなんどき「アジアナンバーワン自動車大国は我が国」とか「安く丈夫な製品を作って世界貢献をしてきたのは○×国」みたいなことを言い出すところが出てきてもおかしくないと個人的には思う。事実、中国車は今アフリカで伸びている。もちろん今なお日本は世界に冠たる自動車大国だが、問答無用で自己アピールが下手すぎる。そんななかで「ランクルはわが日本が長年作り上げてきた文化であり、歴史である!」ということを知らしめるには、実車を販売するのが一番なのだ。
クルマ離れがささやかれ、かつなにかと自国の宝を捨てようとする傾向のある実にもったいないわが国だが、日本にはランクルがある! ってことを自覚する価値は大いにある。
そうでなくても安全基準、排出ガスと規制がんじがらめで古いクルマを長く作り続けられない現代。30年間生きながらえ「まだまだ作り続けますよ」(小鑓さん)というモデル自体が貴重であり、かけがえのないお宝。これを大切にせずしてなにを大切にせよ! というのか。

ちょっと最後は自動車右翼っぽく(!?)なってしまった不肖オザワですが、このランクル70復活には、もろ手を挙げて賛成したい所存なのでありまーすッッ!

(文=小沢コージ/写真=小沢コージ、webCG)
 

「トヨタ・ランドクルーザー“70”シリーズ」のダブルキャブ ピックアップトラック。
「トヨタ・ランドクルーザー“70”シリーズ」のダブルキャブ ピックアップトラック。
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「ランクル70」を運転中の不肖オザワ。レバーで変速する機械式のトランスファーギアを装備したクルマなんて、こいつを除くと「ジープ・ラングラー」と「ランドローバー・ディフェンダー」ぐらいじゃないの!?
「ランクル70」を運転中の不肖オザワ。レバーで変速する機械式のトランスファーギアを装備したクルマなんて、こいつを除くと「ジープ・ラングラー」と「ランドローバー・ディフェンダー」ぐらいじゃないの!?
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フロントマスクは2007年のマイナーチェンジですっかり今風のお顔に。うーん。あの丸目2灯が懐かしい……。
フロントマスクは2007年のマイナーチェンジですっかり今風のお顔に。うーん。あの丸目2灯が懐かしい……。
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こちらは4ドアバンのリアビュー。今どき珍しい「背面タイヤ」がイカしている。
こちらは4ドアバンのリアビュー。今どき珍しい「背面タイヤ」がイカしている。
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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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