第19回:男らしさとゲイっぽさは紙一重!?
SUVとクロスオーバーの近くて遠い差って一体ナンだ!
2014.12.27
小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ
乱立するクロスオーバーを総括せよ!
久々にクルマシモネタ!? じゃなかったクルマにまつわる深すぎる人間の性について話し合っちゃいましたよ。テーマは「SUVとクロスオーバーの近くて遠い差」で、語り部は今、大躍進中のマツダSKYACTIV戦略の一番バッター「CX-5」の開発主査、大塚正志サン。この方、いたずらっぽい瞳の少年のような方で、先日の商品改良試乗会でも、プレゼン時から独特の物言いが面白かった。
以下、CX-5の改良テーマでもある「SUVらしさ」について突っ込んだ時のことだ。
小沢:先ほどから大塚さんが言ってる「SUVらしさ」ってなんなんでしょう?
大塚:小沢さん。SUVとクロスオーバーって全然違うんですよ。日本じゃ明確にジャンル分けされてなくても、アメリカで「SUV」と呼ばれるか、「クロスオーバー」と呼ばれるかには明確なディテールの差があり、この違いを分かってるか分かってないかで(販売)台数が大きく変わってくる。
なるほど。最近乱立するこの手のクルマ、どこからがSUVで、どこからがクロスオーバーかの境界線が見えにくくなっている。例えばメルセデス・ベンツは「GLAクラス」をプレゼンで「世界一美しいSUV」と言ってたけど、あれがホントにSUVなのか? 判断が難しいところだ。
大塚:分かりやすいところではボディーのタテヨコ比とか絶対的車高が判断基準ですけど、意外と大切なのがタイヤとホイールハウスのスキ間で、あれがある程度ないとSUVに見えない。それからフェンダーモールです。あれが樹脂っぽいか黒いつや消しなのか、太いか細いかでも結構違う。実は記号性の塊なんです。
男らしさの原点はピックアップトラックにある!
それは確かにそうで、GLAもそうだけど、「日産スカイラインクロスオーバー」もSUVかどうか悩ましいし、「スバル・レガシィアウトバック」だって、フェンダーモールがついてる以外は事実上のワゴンのような気もしてくる。SUVではないけど、クロスオーバーと言う意味では、BMWの一連の「グランクーペ」や「グランツーリスモ」もジャンルはかなり曖昧だ。
大塚さんは立場上、他ブランドのクルマについて深いコメントはしなかったが、「SUVと認めてもらえないから北米で売れてないクルマって案外多いです」とか。
それはまさに人間の“男らしさ”に近い部分なのかもしれない。例えば故・菅原文太は痩せてても男らしかったが、タレントのKABA.ちゃんはいくら筋肉質でもそうとは言いがたい。カスタムカーでも「ハマーH2」のアメラグ仕様で、偏平率30%のキラキラした30インチタイヤ&ホイールを履いたクルマなんかがあるけど、あれはマッチョであっても男らしいというよりゲイっぽい。
大塚:原点はやっぱりピックアップトラックなんです。アレはある種の男性の象徴であって、ああいうフォルムというか匂いを持ってないとアメリカではSUVとして認められない。そしてそういうタフなクルマこそが売れるんです。昔の西部劇のヒーローみたいに(笑)。
北米ではクルマにいまだに馬っぽさというか男らしさを求める傾向があって、SUVジャンルではその要素が重要になってくる。それがたとえ女性が乗るコンパクトSUVでもだ。
大塚:面白いのがスライドドア。最近アメリカでスライドドアって見かけないじゃないですか。以前はアメリカ版「ホンダ・オデッセイ」の「ラグレイト」とかメチャクチャ売れてたのに。あれはアメリカでサッカーマム(サッカー少年少女を送り迎えする熱心なお母さん)のクルマとして定着したんですけど、あまりに子育てに疲れているように見えるので嫌われたんです。
大塚サンいわく、アメリカじゃ日本みたいに子供を大切に“し過ぎている”子煩悩家庭が嫌われる傾向にあるという。
大塚:やっぱり個人主義なんですよ。お父さんお母さんである前に、ひとりのオトコでありオンナである。そう見えるクルマやライフスタイルが支持されるんです。
うーむ、ここ日本とは正反対、全く違うわけですよ。日本じゃ「ダイハツ・タント」に象徴されるように夫婦関係そっちのけで子供を溺愛する、子育てに奔走する姿が美化され、尊ばれもするが、国が違えば価値観も変わるもんで、全く逆の国もある。しかもアメリカは世界で最もトランスジェンダーへの理解が進んだ国でもあるからして、男らしさの表現についても深い深い。日本人には分からないカーデザインのディテールにまで踏み込み、ここから先は男らしいが、ここまでは違う…という世界があるみたい。
いやはや、勉強になりますわ!
(文=小沢コージ)
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小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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