マツダCX-5 XDプロアクティブ(FF/6AT)/CX-5 25S Lパッケージ(4WD/6AT)
どうかお気を落とさず 2015.01.08 試乗記 マツダの“深化”は止まらない。「CX-5」がデザインから走り、そして安全性能にいたるまで大幅な改良を受けて、熟成の度合いを深めた。改良前のCX-5を買ったばかりという人には、「どうかお気を落とさず」とお声がけせずにはいられないビッグマイナーチェンジである。2.2リッターディーゼル(FF)と2.5リッターガソリン(4WD)の2モデルに試乗した。鮮度を保つ
マツダCX-5が登場から丸3年を目前にしてマイナーチェンジした。CX-5登場の半年後にモデルチェンジした「アテンザ」と同じタイミングでの比較的大きな規模のマイチェンで、内外装のデザインが大きく変わったほか、安全装備の充実、動的質感の向上などが図られた。
CX-5はマツダが現在の主要ラインナップに採用するスカイアクティブテクノロジーを全面的に取り入れた最初のモデルで、近頃の同社の好調はこのモデルから始まった。発売から3年近くもの間、新車販売ランキング30位以内をキープするヒットモデルだが、競争力を維持すべく手が入れられた。
大塚正志CX-5開発主査は「ショールームの鮮度を保ち、一貫したメッセージを発信し続けることが重要」と述べる。これは、例えばモデルチェンジから時間のたっていない「アクセラ」や「デミオ」に興味をもってディーラーのショールームを訪れた客が、当然目にするであろうCX-5やアテンザを見て古さを感じたとしたら、そのブランドに勢いを感じないのではないか――という意味だろう。だからといって必要性を感じさせないマイチェンを繰り返しても客が離れる原因になり得るから難しいところだが、鮮度を保っているに越したことはない。
では変更点を見ていこう。
マイチェンにも2種類あるが……
まずエクステリアデザイン。フロントグリルがハニカムから水平5本のフィンタイプとなり、ヘッドライトユニット内部のデザインも変わったことによって、顔つきががらりと変わった。リアはさほど変わっていない。アルミホイールも新しいデザインとなった。クロムとマットブラックとLEDがうまく用いられ、全体的にダークな印象。大人っぽさを増した。甘さ控えめ。
インテリアは、パーキングブレーキが電動化されて昔ながらのレバーがなくなったほか、ATシフターがジグザグゲートタイプからブーツ付きの真っすぐ前後するタイプに変わって、センタートンネルがすっきり。さまざまな操作をおこなう流行(はや)りのダイヤルスイッチも配置された。また、ヘアライン仕上げのアルミ調パネルが随所に使われ、エクステリア同様、大人っぽさ3割増し。
CX-5のデザインは、前傾姿勢が強く、Aピラーの位置をできるだけ後ろに引くことでキャビンの塊が後方にあり、動物が獲物に飛びかかる直前のような躍動感を感じさせるのが特徴。その点は変わっていない。“前のほうがよかった派”と“新しいほうがいい派”に分かれるマイチェンと、ほとんどの人が新しいほうがいいと感じるマイチェンがあるが、CX-5の今回のマイチェンは後者だと思う。
その差、明確
ルックスだけのマイチェンではなく、ダイナミクス性能にも手が加えられた。といっても、エンジンやトランスミッションといったわかりやすい部分に大きな変更はなく、足まわり、シート、遮音、振動対策など、地味だが、クルマの印象を大きく変える部分にメスが入った。
前後ダンパーは極低速域でのフリクションが減るようチューニングし直されたほか、スプリングの形状やスプリングを支える受け皿状のシートの角度、それにフロントロワアームのブッシュ形状なども見直された。これらすべては乗り心地の改善を狙ったもので、実際、街中でちょい乗りしただけでわかるほど乗り心地がよくなっていた。小さな入力を受けた際の挙動がマイルドになった。足まわりの改良だけによるものではなく、シート内部のウレタン素材がよりソフトなものに変更されたことも影響しているはず。
ドアシールを改良したり、各所の吸音材を増したりと、遮音や振動の低減にも力が注がれていて、それもはっきり体感できた。マイチェン前のCX-5を買ったばかりだという人がいたら「どうかお気を落とさず」とお声がけしたい。ただしエンジニアによると、乗り心地改善に関してやれることはまだまだ尽きないそうなので、最新型を買っても数年で古くなるということでもある。結局マイチェンを恐れていてはいつまでたってもクルマは買えないのだ。
CX-5というと、ディーゼルエンジンを搭載するモデルが人気。あの2.2リッター直4ディーゼルターボエンジンは、ディーゼルなのに振動が少なく、トルキーで体感的に速く、そのわりに燃費がよく、燃料代を抑えられるいいとこどりエンジンだから、無理もない。それはマイチェン後も変わらないが、今回、2.5リッター直4ガソリンエンジンに乗ってみて、こっちも悪くないなと感じた。ベストバイがディーゼルなのは変わらないが、約40万円安いガソリンを選んで、40万円分、思い出に残るグランドツーリングをするのもよいだろう。
確実に魅力を増した
ここ数年、採用が増えているミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラを使った衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援システム。マツダは自社のこうしたシステムを「i-ACTIVSENSE」と呼ぶが、CX-5やアテンザのマイチェンに合わせて内容を進化させた。
目玉は「アダプティブLEDヘッドライト」。これまでハイビーム時に対向車や先行車を検知すると自動的にロービームに切り替わるのが最先端だったが、フルLED化によって、対向車や先行車を検知した場合にその部分のみ光を当てないようにできるようになった。一応、ロービームを選ぶこともできるが、もうずっとハイビームにしておいても問題はなくなった。もちろん、暗くなったら自動的に点灯するため、照明に関してドライバーが操作すること自体がなくなったことになる。
また、アダプティブLEDヘッドライトは、低速走行時はワイドな配光に、高速走行時は範囲を絞り、より遠方まで届く配光に切り替わる。同様の機能はレクサスも採用を発表しており、今後、一斉に増えるのだろう。
このほか、車線逸脱を防止するためにステアリング操作をアシストしてくれる機能や、後退時に後方や側方から近づく車両を検知して警告してくれる機能など、他社で導入済みの機能もキャッチアップした。
なお、安全支援ではなく快適装備に分類されるが、ミリ波レーダーによって前方車両を検知し、設定した車間距離を保ってくれるレーダークルーズ・コントロールが、アテンザに続きCX-5にも備わるようになった。ただし、スバルのアイサイトのように全車速対応ではなく30km/h未満になるとキャンセルされる。技術的に全車速対応ができないわけではなく、最後はドライバーがやるべきという考えによるもの。ただし、世の趨勢(すうせい)は完全に全車速対応であり、やるんならいっそ全車速に対応させるべきだと思う。
今回のマイナーチェンジは、全体を通してユーザーのためになる変更点ばかりで、CX-5は確実に魅力を増した。黒田と新井が戻ってマエケンが残った15年シーズンの広島カープはかなり手ごわいのでは? と警戒されているが、きっと他社のSUV開発陣はカープを見るような目で新しいCX-5を見ているはずだ。
(文=塩見 智/写真=小林俊樹)
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テスト車のデータ
マツダCX-5 XDプロアクティブ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4540×1840×1705mm
ホイールベース:2700mm
車重:1560kg
駆動方式:FF
エンジン:2.2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:175ps(129kW)/4500rpm
最大トルク:42.8kgm(420Nm)/2000rpm
タイヤ:(前)225/65R17 102V/(後)225/65R17 102V(ヨコハマ・ジオランダーG98)
燃費:18.4km/リッター(JC08モード)
価格:293万7600円/テスト車=316万4400円
オプション装備:特別塗装色(クリスタルホワイトパールマイカ)(3万2400円)/セーフティクルーズパッケージ(スマート・ブレーキ・サポート<SBS>&マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール<MRCC>、スマート・シティ・ブレーキ・サポート[後退時]<SCBS R>&AT誤発進抑制制御[後退時]、リアパーキングセンサー<センター/コーナー>、フロントフォグランプ<ハロゲン>、ドライバー・アテンション・アラート<DAA>)(8万6400円)/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)(2万7000円)/Boseサウンドシステム(AUDIOPILOT2+Centerpoint2)+9スピーカー(8万1000円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:940km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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マツダCX-5 25S Lパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4540×1840×1705mm
ホイールベース:2700mm
車重:1570kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:184ps(135kW)/5700rpm
最大トルク:25.0kgm(245Nm)/4000rpm
タイヤ:(前)225/55R19 99V/(後)225/55R19 99V(トーヨー・プロクセスR36)
燃費:14.6km/リッター(JC08モード)
価格:287万2800円/テスト車=303万4800円
オプション装備:特別塗装色(ソウルレッドプレミアムメタリック)(5万4000円)/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)(2万7000円)/Boseサウンドシステム(AUDIOPILOT2+Centerpoint2)+9スピーカー(8万1000円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:977km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

塩見 智
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