ポルシェ911カレラS(RR/7AT)【海外試乗記】
さらに911らしく 2011.12.01 試乗記 ポルシェ911カレラS(RR/7AT)ポルシェの大黒柱「911」がフルモデルチェンジを受けた。外観はキープコンセプトの「991型」だが、その中身は? 米カリフォルニア・サンタバーバラから第一印象をお届けする。
スタイリングの妙
すでにテクニカルワークショップの記事でもお伝えしたように、新型「911カレラ」「911カレラS」のボディーサイズの拡大幅は事前のうわさとは違って微増でしかない。全長は56mm延びたものの懸念されていた全幅は1mmたりとも変わっておらず、全高は下がっている。しかしながら、国際試乗会が催されたサンタバーバラで再会した新型911カレラSは、見るからにスーパースポーツ的なオーラを漂わせていてドキッとさせられた。
サイズのせいではないわけだから、つまりこれはスタイリングの妙。サイズアップのうわさは、皆このカタチにまんまとだまされたわけだ。ディテールについてはいろいろ意見はあるだろうが、この一点については誰も文句は言えないだろう。デザイナーの仕事は、うまくいったと評するべきだと思う。
見た目だけじゃない。実際にステアリングを握っても、新型911カレラSは今までよりひとクラス上に移行したような感覚をもたらす。まず視覚的に、フロントウィンドウが前に出てダッシュボードの奥行きが増し、左右フェンダー間の間隔が広がったことで、乗り込んだ瞬間にはサイズ以上に大きなクルマに感じられる。この感覚は覆されるのだが、それについては後述するとして、さらに乗り心地が抜群に良い。電子制御ダンパーのPASMの制御も緻密になっているが、やはり大きいのはホイールベースの延長だろう。姿勢がフラットになり、フロントが上下にバタバタする感じはほぼ消えうせている。全高が低くなった上にルーフがアルミ製とされ、重心が下がったことも貢献しているのは間違いない。
静粛性も高い。これまで911を良くも悪くも特徴づけていたロードノイズは抑え込まれ、風切り音も極小。エンジン音も普段は静かだが、「SPORT」スイッチを押すと、新採用のサウンドシンポーザーによって997後期型の時より格段に澄んだフラット6サウンドが室内へと届けられる。