スバル・エクシーガ クロスオーバー7 2.5i EyeSight(4WD/CVT)
単なる“化粧直し”にあらず 2015.06.08 試乗記 スバルの多人数乗用モデルである「エクシーガ」が、SUVテイストの仕立てと「クロスオーバー7」の車名を得て“再”登場。ラインナップ戦略に見るその狙いと、実際のプロダクトの仕上がりをチェックする。実は画期的なクルマだった
2008年6月に登場したエクシーガは“スバル初”となる多人数乗用車である。正確に言えば、過去には軽ワンボックスベースの「ドミンゴ」や、「オペル・ザフィーラ」のOEMモデル「トラヴィック」なども販売していたが、スバルの持つ4WD技術や先進安全装備など、現在の流れをくむモデルとして考えると、エクシーガは同社の歴史の中でエポックメイキングなモデルといえる。
これまでにも、アイサイトのver.1からver.2への進化、コンベンショナルなATから自社開発によるCVT「リニアトロニック」への変更など、スバルらしいチャレンジを行ってきたモデルではあるが、それでも販売は決して納得できるレベルではなかった。それについて、現場で聞く声としては「スライドドアの非採用」が多く挙げられる。乗用車テイストをしっかり残すモデルは、やはり空間や使い勝手の面で箱型のモデルに見劣りする。それでも「マツダ・プレマシー」や「トヨタ・アイシス」などはスライドドアを採用することで一定の評価を得ており、エクシーガがやや不利であったことは否めない。
そんな中、2015年4月に登場したのがこの「クロスオーバー7」である。ニューモデルらしいイメージの浸透のため、宣伝などではこの呼び方を前面に押し出しているが、正式車名は「エクシーガ クロスオーバー7」。つまりその魂(大げさだが)はしっかりと引き継がれていることになる。
正直に言えば、この手の商品はいわゆる「化粧直し」的な意味合いのものが多い。もちろんクロスオーバー7にしても、営業上のテコ入れやモデルとしての延命という目的もあるはずだ。しかしそこは「真面目を絵に描いた」ようなスバルの面目躍如。実際に見て、乗ってみると、その進化に驚くだけなく、商品開発とマーケティングが絶妙に計算されていることがわかる。