フォルクスワーゲン・ゴルフ オールトラックTSI 4MOTIION アップグレードパッケージ(4WD/6AT)
分け入るゴルフ 2015.08.13 試乗記 「フォルクスワーゲン・ゴルフ」のラインナップに新たに加わった4WDワゴン「ゴルフ オールトラック」に試乗。走破性を高め、走りのフィールドを広げたクロスオーバーゴルフは、同時に日本車の牙城に分け入る、戦略的な一手でもあった。フォロワーではなくパイオニア
フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)の屋台骨、「ゴルフ」シリーズ。インポーターの分類を用いると、「ゴルフ」「ゴルフGTI」「ゴルフR」「ゴルフヴァリアント」「ゴルフRヴァリアント」といろいろなモデルがあるが、今回、ゴルフ オールトラックという新たなモデルが加わった。名前から想像がつくように、ゴルフヴァリアントの車高を上げた4WDモデルだ。
単に4WD化されただけではない。ガード風のクロム装飾が施された前後専用バンパー、ボディーの下端とホイールアーチをぐるりと囲うようなブラックの樹脂など、いかにも悪路に強そうなルックスを身にまとうほか、地上高がゴルフヴァリアントに比べ25mm上がっていて(最低地上高165mm)、実際にアプローチアングル、ディパーチャーアングル、ランプブレイクオーバーアングルに余裕がある。
ノーマルモデルの車高を上げてアウトドア風味をまぶすというのは、スバルの「アウトバック」、アウディの「オールロードクワトロ」、ボルボの「クロスカントリー」と同じよくある手法だが、オールトラックはそのフォルクスワーゲン(VW)版といったところか。こう書くとVWがフォロワーのように読めてしまうかもしれないが、VWは最も早くこの手法を取り入れた経験をもつブランドだ。
遠い昔の2代目ゴルフの時代、ビスカスカップリングで前後の回転差を吸収する4WDの「ゴルフ シンクロ」(1986年~)を出し、90年にはそのシンクロをベースに、車高を上げ、アンダーガードやプロテクトバーを装着した「ゴルフ カントリー」を限定販売した経験をもつ。当時はまだ「SUV」や「クロスオーバー」といった呼称が存在せず、シンクロはともかくカントリーは相当な変わり種として認識されたが、やってることは最新のオールトラックと同じだ。