ランボルギーニ・ウラカンLP580-2(MR/7AT)
限界域を楽しむために 2016.05.24 試乗記 「ランボルギーニ・ウラカン」のラインナップに加わった後輪駆動モデルの「LP580-2」。運転する楽しさの本質を追究したというこのモデルの実力をサーキットで解き放った。オーストラリアからの第一報。スーパーカーでドリフト!?
ハードコーナリングでリアタイヤをスライドさせる……。スーパースポーツカーを愛する者であれば誰もがそんなシーンに憧れの気持ちを抱いていることだろう。そんな期待に応えるかのように、スーパースポーツカーを手がける各ブランドは大きなスリップアングルを許容するスタビリティーコントロールやインフォメーション豊富なパワーステアリングなどを開発することで限界領域でのコントロール性を改善させ、ひとりでも多くのファンがこの至福のひとときを堪能できるように工夫している。この手法には絶大な効果があって、最新のスーパースポーツカーに乗り換えてようやくオーバーステアを初体験したというドライバーは少なくないと推測されるが、それでもテールスライドの予兆を感じられるようになるのは限界スピードの8割ないし9割に達してからのこと。「それで十分対応できる」と胸を張れるのは、おそらく中級以上のスキルを持つドライバーで、そうでない愛好家にとって「スーパーカーでドリフト」は夢の世界でしか実現できないことだった。
新たにランボルギーニ・ウラカンのラインナップに追加されたLP580-2は、そんな彼らに救いの手をさしのべるスーパースポーツカーともいえる。そのキャッチフレーズは“Enjoyable Technology”、つまり「楽しむことのできるテクノロジー」である。ここで何を「楽しむ」かといえばクルマを限界的な領域で走らせることと理解して間違いないが、では、そのためのテクノロジーとはいったい何なのか? LP580-2は、4WDが主体のウラカンに初めて加わった後輪駆動モデルだから、この駆動系のことを指していると早とちりしそうになるが、実はそれだけではない。後輪駆動の魅力をさらに引き出すためのチューニングが、LP580-2にはたっぷりと施されているのだ。以下、LP580-2専用のチューニングについて解説しよう。