BMW X4 M40i(4WD/8AT)
新しいタイプのスポーツカー 2016.06.20 試乗記 BMWの高性能スポーツカーを開発するBMW M社がチューニングを施した、新型SUV「X4 M40i」に試乗。それは、これまでのSUVという概念を忘れさせてくれる、新しいハイパフォーマンスカーだった。ひさびさの「うなるエンジン」
今はやりのSUVの起源は、第2次大戦中に軍用車両として活躍した「ウィリスMB」、つまりはジープだと考えられる。ジープの登場から七十余年、SUVはさまざまな方向に進化した。
悪路走破性を極めるヘビーデューティー派、豪華さを求めたラグジュアリー派、速さを競うスポーティー派、格好よさを追求するオシャレ派などなど。
ここに紹介するBMW X4 M40iをSUVの進化の系譜に位置づけるなら、“SUV目・スポーティー科・オシャレ属”といったあたりか。
このモデルの最大のウリは、BMW M社の技術を用いたスポーティーな走行性能とデザイン。「BMW X4」のクーペ的なデザインについてはこれまで何度も紹介されているので、ここでは“走り”に焦点を当てたい。
都心のビルの地下3階にある駐車場で、3リッター直列6気筒ターボエンジンを始動して思わず笑ってしまう。「ボウン!」という爆音とともにエンジンが目覚める演出が、あまりに大げさだったからだ。でも、このちょっと古典的な雰囲気、嫌いじゃない。
運転席の窓を下ろすと、アイドリング状態でもエンジンの低いうなり声が聞こえてくる。「エンジンのうなり声」という表現は、随分と久しぶりに使った気がする。
地下3階から地上へと上がるスロープを登りはじめると、古典的な演出がなされたエンジンが、実は非常に近代的であることを知る。
アイドル回転付近からみっちりと密度の濃いトルクを発生し、アクセルペダルの微妙な踏み加減に繊細に反応する。実に扱いやすい、洗練された特性だ。