BMW X4 M40i(4WD/8AT)
納得させられる 2018.10.15 試乗記 単純に言えばBMWの「X4」は、「X3」のクーペ版だ。X3が最高出力326psの3リッター直6ディーゼルターボの「M40d」をトップモデルとするのに対して、X4は360psの3リッター直6ガソリンターボエンジンを搭載した「M40i」がトップに位置する。両モデル、それぞれの狙いはどこに? 拡大 |
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早々とモデルチェンジ
ついこの間発売されたばかりと思っていたのに、もう2代目X4の登場である。何しろ、最初のX4の発売は2014年だったから、普通よりもかなり短いインターバルでのずいぶんと早めのモデルチェンジには違いない。
ベースモデルたるX3のモデルチェンジに伴ってのことだろうが、後発のメーカーの追い上げに対して陣容を整える狙いもあるだろう。これまではSUVに手を出さなかった“新参メーカー”が、続々とスポーティーなSUVを投入してきているのはご存じの通り。それに対して、1999年に「X5」でオンロード・オリエンテッドな高性能SUVジャンルを開拓した先駆者であるBMWが、手をこまぬいているわけにはいかないのだ。
今や「X1」から「X6」まで隙なくそろえるBMWのラインナップには、さらに間もなく、最も大きなサイズを持つフラッグシップSUVである「X7」が加わるといわれている。このうち奇数番号モデルをBMWは「SAV(スポーツ・アクティビティー・ビークル)」と称し、偶数番号モデルをクーペスタイルの「SAC」、すなわち「スポーツ・アクティビティー・クーペ」と呼んでいる。コンパクトなクラスから3列シートのフルサイズモデルまで、しかもスポーティーなクーペSUVも要所に配し、水も漏らさぬ布陣で後発メーカーを迎え撃つ構えである。
6気筒モデルに間違いはない
日本仕様の新型X4には2リッター4気筒ターボを積む「30i」と「30i Mスポーツ」もラインナップされているが、今回紹介するのはトップグレードのM40i。標準車と本当のMモデルの中間に位置する「Mパフォーマンスモデル」である。
XシリーズでのMパフォーマンスモデルはこのM40iだけと言いたいところだが、実はつい先日X3シリーズに3リッター直6ターボディーゼルを積むM40dが追加設定された。ターボで加給されているとはいうものの3気筒だ4気筒だと、排気量の小さなダウンサイジングユニットが当たり前になった当節、6気筒であるだけでこれはもう貴重というか、スペシャルなエンジンである。
本国にはX3にも6気筒ガソリンエンジンを積むモデルがラインナップされているが、日本ではX3/X4シリーズの中でM40iだけ。そこが魅力の第一だろう。当然、「ポルシェ・マカンGTS」や「同ターボ」がライバルとなる高性能SUVである。
Mパフォーマンスのロゴがエンジンカバー上にも誇らしげに刻まれているM40iのエンジンは、BMWの最新の看板機種たるB58B30A型直列6気筒DOHCターボだ。1.5リッター3気筒から2リッター4気筒、そしてこの6気筒までボア・ストロークをはじめ多くの共通構造を持つモジュラーユニットである。
直噴バルブトロニック、ダブルVANOSにツインスクロールターボ(例によってツインパワーターボと称しているが)、さらにはシリンダー壁のツインワイヤー・アークスプレー・コーティング(メルセデスのナノスライドと同様の溶射コーティング)などBMWの最新メニューを盛り込み、最高出力360ps/5500rpmと最大トルク500Nm/1520-4800rpmを生み出す6気筒ターボは相変わらず見事なエンジンである。
低速での微妙なコントロール性と滑らかさ、全開時の鮮烈でパワフルな吹け上がりを併せ持ち、どんな場面でも“足りない”と感じることがない。BMWの6気筒は依然として間違いがない。変速機は8段AT、日本仕様はすべて4WDである。
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気になるのは後方視界と全幅のみ
先代X4と比べると55mm延長された2865mmのホイールベースは、昨年ひと足先に3代目にモデルチェンジしたX3と同一ながら、ボディー外寸はひとまわり新型X4のほうが大きい。
全長は4760mm(従来比+80mm)、全幅は1920mm(同+40mm)、それに対して全高は1620mm(同-5mm)と、贅沢(ぜいたく)な全幅に対して比較的背が低いプロポーションがクーペと称するゆえんである。ちなみにX3の3サイズは4720×1890×1670mmである。
最近の高性能SUVは、「ポルシェ・マカン」も「アルファ・ロメオ・ステルヴィオ」も当たり前のように全幅1.9mを超えてきているが、日本ではちょっともう限界ではないかという気がするぐらいのボリューム感だ。もっともそのおかげでカッコいいスタイルを削り出せるとデザイナーは言うに違いない。
室内はマカンなどより明らかに広々としているが、ルーフからリアゲートにかけてきつく傾斜しているクーペスタイルのせいでリアウィンドウの天地が短く、ルームミラー越しの後方視界はスーパースポーツカー並みに狭いうえに、斜め後ろの視界も限られる。
それゆえいわゆるラウンドビューモニターやブラインドスポットウオーニングなどのアシスタンスシステムは大変ありがたい、というか、すっかりそれらをあてにするようになった。もちろん新型X4には最新鋭の安全運転支援システム「ドライビング・アシスト・プラス」が装備されている。
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エリートなアスリート
エンジンを始動する際に轟(とどろ)くベリベリというどう猛な排気音と、走りだした直後のダイレクトな上下動に、よほどスパルタンなクルマに違いないと覚悟したが、気が付くとスルリ、スムーズにスピードに乗っているのがBMWである。
確かに21インチのランフラットタイヤを履く足まわりはガッシリ引き締まっているが(たとえコンフォートモードでも)、ビシッバシッという安手なハーシュネスやバイブレーションは伝わってこない。高性能SUVの中には大径タイヤを持て余しているクルマも少なくないが、M40iはさすがに屈強で、飛ばせば飛ばすほど頼もしさが増すといったタイプだ。私個人としてはもう少し姿勢変化を許してもいいと思うが、まるで車高の高い「M4」のように路面の不整を踏みつけて行ける。
ワインディングロードでも、こんなにアイポイントが高いクルマが、上りの山道を加速しながらグイグイ曲がっていく現実に頭と身体がついていかないほど、リニアにシャープにラインを選ぶことができる。むちゃをするとグイッと引き戻してくれるスタビリティーコントロールもこの種のクルマとしては適切だろう。ちなみに前後重量配分は車検証上で930/940kgと事実上50:50である。
これぐらいのパフォーマンスと洗練度を見せつけられると、本来あまり私の好みではない高性能SUVというジャンルも認めないわけにはいかなくなる。M40iの完成度ならば、SAVでもSACでもどうぞご自由に、と降参する。鍛え上げたエリート・アスリートの精悍(せいかん)さがあふれ出すM40iは、幼稚園の送り迎えだけではなく、本当に走る人のためのSUVである。
(文=高平高輝/写真=佐藤靖彦/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
BMW X4 M40i
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4760×1940×1620mm
ホイールベース:2865mm
車重:1870kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHCターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:360ps(265kW)/5500rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1520-4800rpm
タイヤ:(前)245/40R21 100Y/(後)275/35R21 103Y(ピレリPゼロ)
燃費:10.9km/リッター(JC08モード)
価格:977万円/テスト車=1002万5000円
オプション装備:ボディーカラー<フラメンコ・レッド・ブリリアント・エフェクト>(9万3000円)/harman/kardonサラウンド・サウンド・パッケージ(9万4000円)/イノベーション・パッケージ<ディスプレイ・キー/ジェスチャー・コントロール>(6万8000円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:526km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:494.8km
使用燃料:52.0リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:9.5km/リッター(満タン法)/9.2km/リッター(車載燃費計計測値)

高平 高輝
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