第1回:編集部にジャガーXFがやって来た
“XFがある日常”をリポート
2016.07.08
ジャガーXF長期試乗リポート
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通常の試乗リポートより長い時間、じっくりと試乗し、そのクルマが備えた魅力をより立体的に浮かび上がらせようと試みるwebCGの長期試乗リポート。今回から約2カ月間、“ジャガーの新型「XF」がある日常”を報告する。webCG XFを、どうぞよろしく!
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2リッターガソリンターボを選択
コーツァイトと名付けられた、ブロンズに近い微妙で瀟洒(しょうしゃ)なメタリックカラーの「XF 25tプレステージ」が編集部にやってきたのは、6月終わりのことだった。
淡いライトオイスターのシートとアルミパネルが織りなすモダンな室内は涼しげで、木と革でしつらえられた、いわゆる英国車の室内とはだいぶ趣を異にしている。夏の太陽がジリジリと照りつける、湿度の高い都内でも、サラッと爽やかな気分である。
これから約2カ月間リポートしていくXF 25tプレステージには、2リッターのガソリン直4ターボエンジンが搭載されている。最高出力は240ps、最大トルクは340Nm(34.7kgm)で、これに今やジャガーのスタンダードとなった8段ATが組み合わされている。
このほか、3リッターのガソリンV6スーパーチャージャーと、2リッター直4“インジニウム”ディーゼルが用意されるXFのラインナップを俯瞰(ふかん)すれば、価格的にはこの25tがXFファミリーの中で最もベーシックな存在となる。車両価格は668万円。われわれのリポート車には51万8050円分のオプションが付いているので、車両総額は719万8050円に達する。
なお、グレード名の「プレステージ」とは、上質な素材とクラフツマンシップにこだわってラグジュアリーを追求した仕様という意味だ。「ピュア」グレードの上位にあり、レザーシートや18インチタイヤ(ピュアは17インチ)などが標準で付く。
XFはジャガーの正統だ!
そもそも、われわれはなぜ長期リポートのテーマとしてジャガーを選んだのか。その理由は単純だ。今のジャガーについて知りたいことがたくさんあったからだ。
また、話題性や注目度ではおそらく新型XFの上をいくであろうXEを選ばなかった理由も簡単だ。ジャガーという自動車メーカーの、セダン作りにおける強みというものは、全長5mクラスのラグジュアリーサルーンにこそにじみ出ると考えたからだ。このXFが投じられた領域こそが、ジャガーサルーンのいわばストライクゾーンなのだ。
新型XFのボディーサイズは全長4965×全幅1880×全高1455mmである。ジャガーの歴史を振り返れば、古くは1960年代の初代「Sタイプ」や「420」に始まり、「XJ6 シリーズ1」に「XJ40」、そして2代目「Sタイプ」や先代XJに至るまで、同社の顔を担ってきたサルーンの全長はだいたい4.8mから5mの間に収まっている。
これはすなわち、4人もしくは5人を乗せる全長5mクラスのFRスポーツサルーンをどう設計するかというテーマこそは、常に(スポーツカーの設計とともに)ジャガーの関心事であった、ということを意味している。そして、その最新の回答が新型XFであると思うのだ。
しかし、である。ひとことで5mクラスといっても、XFと歴代のXJシリーズとでは、見え方も趣もだいぶ違っている。実はこれもとても興味深いポイントである。
クルマのかたちや装いは、メーカーが決めるものであると同時に、時代と社会が決めるものでもある。今の時代が5m級ジャガーに何を求めているのか。これを探ることは、ひいては今の時代や社会が、英国車に何を求めているのか、という答えにもつながっていくに違いない。
XFを知ることは、ジャガーを知ること。そしてジャガーを知るということは、ひいては今の英国車を知ることでもある。この大きなテーマの下に、約2カ月間、“ジャガーのある日常”をリポートしていきますので、どうぞよろしく!
(webCG 竹下)

webCG 編集部
1962年創刊の自動車専門誌『CAR GRAPHIC』のインターネットサイトとして、1998年6月にオープンした『webCG』。ニューモデル情報はもちろん、プロフェッショナルによる試乗記やクルマにまつわる読み物など、クルマ好きに向けて日々情報を発信中です。