第6回:ジャガーXFの“隠れた”魅力
先進装備でらくらくドライブ
2016.08.10
ジャガーXF長期試乗リポート
![]() |
ここ数年で、マイカー購入における“重要検討項目”と捉えられるようになったのが、自動緊急ブレーキや自動クルコンといった運転支援システムの充実度。表立っては先進装備がアピールされていない「ジャガーXF」ですが、実は結構な実力の持ち主でした。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
あるとうれしい先進装備
こうした長期連載でリポートを任されると、ついついどこかに観光に出掛けたり、おいしいものを食べに行ったりしてしまう自分。今回はそれではいけないと一念発起。ちょっと真面目にジャガーXFについて語らせていただきます。……いや、普段のリポートも真剣にやっていますよ。真剣にやっていますとも。
はてさて。「真面目にリポート」とはいえ、走り味やら乗り心地、燃費といった小難しいお話はすでに他のリポーターが書いていますし、今回は趣向を変えて、ここのところはやりの運転支援システムの話をば。
最近は、自動緊急ブレーキや前走車追従機能付きクルーズコントロールといった先進装備がクルマ選びの重要項目となっているようで、各社さんカタログでのアッピールに余念がありません。一方ジャガーはと見ると、このあたりの訴求がとっても控えめ。カタログを見返してみると、見開き2ページというそっけなさでした。じゃあ、XFにはそういうものが付いていないのかといえばさにあらず。満艦飾とまでは言わないまでも、この価格帯で欲しいと思われる装備については一通り網羅している感じです。
中でも恩恵を大きく感じるのは、やはり前走車追従機能付きクルーズコントロールでしょう。渋滞最後尾などでの完全停車まで対応しているので、うまくすれば高速道路を、一度もブレーキを踏まずに走ることだってできます。オススメはしませんけど。
実際に使ってみても、その制御に不安はなし。首都高速のトロトロ渋滞区間だって“システム任せ”で走ることができます。それに、ステアリングホイールに備わるコントローラーが大きくて使いやすく、スイッチの表示が分かりやすいのも◎。これ以上分かりやすくするには、「SET」や「RES」といった表示を日本語表記にするぐらいしか私には思いつきませんね。いや、その方がかえって分かりづらいか。
これさえあれば“日常使い”も不安なし
欲を言うなら、現状ではやや唐突感のある停車状態からのリスタートを、もう少しスムーズにしてくれるとうれしいでしょうか。あと、これはよそのシステムも同様なのですが、合流車両に道を譲るためにブレーキを踏んだらシステムが解除されるのはいいとして、設定速度もリセットされてしまうのがちょっと残念。車速を再設定するため、そのたびごとに高橋名人ばりのボタン連打を披露することとなりました。
逆に言えば、重箱の隅をつついたところで、ジャガーの自動クルコンについて抱いた不満はその程度。個人的には、なかなかによく制御がしつけられた、成熟されたシステムだと思います。
このほかにも、ステアリングアシスト付きの車線逸脱防止機能や、前方衝突予測警報などには長距離ドライブでけっこう助けられますし、これはオプション装備ではありますが、さまざまな表示機能を持つサラウンドカメラシステムも非常に重宝します。webCG編集部の位置する東京・恵比寿は、裏に一本入ると細い路地が激しいアップダウンとともにうねうねとしており、またわが家の最寄りのコインパーキングは、「ワナか!」というくらい止めづらいレイアウトをしています。そのビッグボディーと伸びやかなスタイリングゆえに、ちょっと車体の四隅が捉えづらい――と個人的に感じている――XFも、この装備があれば安心して日常のお供にできるでしょう。
おまけですが、今回ちょっと興味がありまして、大ざっぱですけどクルーズコントロールを使った際の燃費を計ってみました。区間は北関東自動車道(佐野田沼IC)→東北自動車道→東京外環自動車道(大泉IC)の約85km。基本左車線キープで、分岐や合流などを除いて運転操作はシステム任せ。渋滞区間も含めた平均車速はだいたい75km/hくらいです。結果は、車載燃費計計測値で12.2km/リッターとあいなりました。ちなみに、区間が違うので単純比較はできませんが、普段自分が運転しての高速平均燃費は常時「ECO」モード使用で11.7km/リッターのあたり。うーん。やはり“自動運転”は優秀ですねえ。
はい? なんです? いやいやそんな。自分の運転がへたくそなわけではないですよ たぶん……。
(webCG ほった)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
-
第8回:XFは生粋のドライバーズカーである(最終回)
2カ月間で3000kmを後にして思ったこと 2016.8.24 2カ月にわたってリポートしてきた「ジャガーXF」の長期試乗記も、今回でいよいよ最終回。3000kmあまりを後にして、われわれの手元に残ったXFの手応えは……。まずは燃費の報告から。総平均は9.2km/リッターまで上昇した。 -
第7回:練習のお供にもピッタリ
webCG随一の自転車ユーザーがXFを斬る! 2016.8.17 世の中にはジドーシャに情熱をそそぐクルマ好きと同じように、自転車に愛をささげる猛者たちがいる……。今回はwebCG編集部きっての“ローディー”が、自転車愛好家の視点から「ジャガーXF」の荷室を、装備を、大マジメに語ります。 -
第5回:ジャガーXFの実用燃費報告
約2000km走って8.8km/リッターを記録 2016.8.3 「ジャガーXF」がwebCG編集部にやって来たのが6月半ばのこと。以来、1カ月半で約2000kmを走行した。これくらい走れば、燃費データもだいぶ安定してくる。今回は「25tプレステージ」グレードの燃費と、ハンドリングについて報告する。 -
第4回:ファミリーカーとしての実力は?
「ジャガーXF」の“休日の実力”を考える 2016.7.27 新型「ジャガーXF」の魅力と実力を掘り下げる長期試乗リポート。今回のテーマは「家族とXF」である。webCGスタッフ・SAG氏の休日の足としてXFが活躍! さて、XFに対するファミリーの反応は……? -
第3回:「前」と「後ろ」で違った魅力
「ジャガーXF」の乗り心地をチェック 2016.7.20 スタイリッシュなデザインやアルミを多用した軽量ボディーで話題の4ドアサルーン「ジャガーXF」は、どんな乗り心地なのだろうか? 初めてステアリングを握ったwebCGスタッフが、その印象を報告する。
-
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
NEW
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。 -
第926回:フィアット初の電動三輪多目的車 その客を大切にせよ
2025.9.4マッキナ あらモーダ!ステランティスが新しい電動三輪車「フィアット・トリス」を発表。イタリアでデザインされ、モロッコで生産される新しいモビリティーが狙う、マーケットと顧客とは? イタリア在住の大矢アキオが、地中海の向こう側にある成長市場の重要性を語る。 -
ロータス・エメヤR(後編)
2025.9.4あの多田哲哉の自動車放談長年にわたりトヨタで車両開発に取り組んできた多田哲哉さんをして「あまりにも衝撃的な一台」といわしめる「ロータス・エメヤR」。その存在意義について、ベテランエンジニアが熱く語る。