第2回:目指せ日光!
ジャガーXFで英国ゆかりの新名所を訪問
2016.07.13
ジャガーXF長期試乗リポート
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長期リポートが始まって最初の週末、「ジャガーXF」はわが家の駐車場にありました。せっかく英国製のサルーンを拝借できたわけですから、リポートを近場で済ませるなんて手はありません。向かう先は、日光の中禅寺湖。そこには英国ゆかりの新名所がありました。
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カーナビを駆使して初夏の日光へ
目的地は日本有数の観光名所なので、早朝に出て渋滞をやり過ごすこととします。朝6時の少し前に駐車場からXFをひっぱりだし、カーナビをピッポッパ。ルートは東北自動車道経由で175km、所要時間はおよそ2時間と出ました。
このXFの「InControl Touch Pro」は、ジャガー肝いりの最新インフォテインメントシステム。その使い勝手はというと、何というか、とっても普通。いい意味で奇をてらったところがありません。ナビ機能はすぐに呼び出せますし、目的地登録で「住所検索はどこ?」とあせって画面をスクロールする必要もなく、また初めての人でも簡単に「ルート消去」できます。多機能・高性能をうたいながらもこうした基本ができていないモデルが多い中、最初から痛痒(つうよう)感なく使えるその出来栄えは好印象でした。音声案内のお姉さんが、たまに交差点の漢字を間違えて読み上げるのは、まあご愛嬌(あいきょう)です。
はてさて、175kmというとなかなかの距離に聞こえますが、清滝ICまではずっと高速道路。そこから先も日本ロマンチック街道に突き当たるまではバイパスが通っているので、渋滞さえ避ければ気持ちよいクルージングが楽しめます。唯一にして最後の難関であるいろは坂をクリアすると、気づけば目的地は目と鼻の先でした。
湖畔の歌ヶ浜駐車場にXFを止めると、まずは日本百名山にも数えられる男体山にレンズ越しにごあいさつ。そこから首を右に回せば中禅寺、ちょいと走れば華厳の滝もありますが、今回の目的はそのいずれでもありません。
アーネスト・サトウの別荘で“英国のあり方”を思う
そろそろ白状しましょう。今回の目的地は、この7月1日に誕生した英国大使館別荘記念公園です。ここの旧英国大使館別荘は、英国の外交官であり、明治維新に大きな影響を与えたアーネスト・サトウが1896年に建てたもの。栃木県への寄贈と改修を経て、歴史ある建築物が一般公開されたのです。せっかくの英国車のリポート、英国にゆかりのある場所に行きたいじゃないですか。
しかし、膨らむ期待に気持ちがせかされていたのか、予定よりずいぶん早くに中禅寺湖に着いてしまいました。そこで、空いた時間を利用して日光ならではの朝食をいただくこととします。
「いまどきのジャガーは、こんな形をしているんですね」
撮影中にそう話しかけてきた男性の“口コミ”を頼りにうかがった先は、湖の北の裏通りに位置するパン屋さん。こぢんまりとしたかわいらしい間口は、ナビに頼っていなければ素通りしていたことでしょう。店主さんに取材の許可を得たら、何はともかく腹ごしらえ。いただいたパンはどれも本当に美味でしたが、個人的にはバターの香り豊かなクロワッサンが特にオススメです。
朝食を済ませたら、いよいよ旅の目的地である英国大使館別荘記念公園へ。先ほどの歌ヶ浜駐車場に戻り、そこから湖畔の道を700mほど歩きます。木々の間から現れた建物は、木造で、広い縁側が取られていて、予想に反してとても和な造りをしていました。黒い外装と明るく白い内装との対比が鮮やかで、これは現代風に塗りなおしたものかと思ったのですが、案内係の男性いわく「色は建て替え前と同じですよ。モダンで、とてもイギリスらしいでしょう?」とのこと。私も含め、とかく日本人は「英国=クラシカル」と思いがちですが、実際のイギリス人は、モダンなセンスに寛容で、また土地ごとの風土を進んで受け入れる民族性の持ち主なのかもしれませんね。
そんなことを思いながら、縁側のソファでひと休み。初夏の中禅寺湖から吹く風は驚くほどに気持ちよく、「こりゃあ、アーネスト・サトウも、25年も日本に滞在するわけだ」と感じ入った次第です。
(webCG ほった)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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