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第363回:ユニークな技術で雪道に臨む
東洋ゴムのスタッドレスタイヤを試す

2016.09.07 エディターから一言

トーヨータイヤのスタッドレスタイヤ「OBSERVE GARIT GIZ(オブザーブ・ガリットギズ)」。


	トーヨータイヤのスタッドレスタイヤ「OBSERVE GARIT GIZ(オブザーブ・ガリットギズ)」。
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トーヨータイヤが、北海道・佐呂間(さろま)のテストコースでスタッドレスタイヤの試走会を開催。コンパウンドにクルミの殻を配合するなど、ユニークな技術で冬の道に臨む、同社製品の実力を試した。

テストコースに並べられた試乗用の車両。ボディータイプはセダン、ワゴン、コンパクト、駆動方式はFF、FR、4WDと、バラエティー豊かな車種が用意されていた。
テストコースに並べられた試乗用の車両。ボディータイプはセダン、ワゴン、コンパクト、駆動方式はFF、FR、4WDと、バラエティー豊かな車種が用意されていた。 拡大
「オブザーブ・ガリットギズ」の登場は2014年8月。今年で3シーズン目を迎える商品だ。
「オブザーブ・ガリットギズ」の登場は2014年8月。今年で3シーズン目を迎える商品だ。 拡大

会場となったのは東洋ゴム工業のサロマテストコース。東京ドーム5個分ほどの敷地に、約3kmのコースが敷かれている。


	会場となったのは東洋ゴム工業のサロマテストコース。東京ドーム5個分ほどの敷地に、約3kmのコースが敷かれている。
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今年もスタッドレスタイヤの商戦シーズンが到来

まだまだ厳しい残暑が続いている地域もあるというのに、話題は早くも“冬物”一辺倒――それはファッション業界ではなく、タイヤ業界でのハナシ。北の大地では、もう10月になれば“履き替え”のタイミング。それゆえ、そろそろ商戦真っ盛りとなるのが冬用タイヤである。

今年デビューしたばかりというニューモデルが次々姿を現す中で、実は「今度の冬で3シーズン目」となるのが、ここに紹介するトーヨータイヤのアイテム。そんなモデルに再びスポットライトを当てた試走会が、北海道の自社テストコースにて開催された。

モデルライフ半ばのタイミングでこうしたイベントが開催されたのは、再びのプロモーション効果を狙ったものであることは当然ながら、「ライバルメーカーの最新作にもまだまだ決して負けてはいない」という、自信の表れでもあるはずだ。

2014年8月に発売された、この「OBSERVE GARIT GIZ(オブザーブ・ガリットギズ)」の最後の「ギズ」という部分は、「グリップのG」「アイスのI」「究極をめざすZ」から作られた造語であるという。以前のモデルに対して、凍結路面でのブレーキングとコーナリング性能をさらに向上。高い安心性能を実現させるタイヤとして開発したことが、そうした命名の根拠にもなっているようだ。

「クルミの殻」がもたらすアドバンテージ

トーヨータイヤが独自技術として採用を続けてきた、スタッドレスタイヤへのクルミ殻の配合。それは、この最新のモデルでも引き続き行われている。

率直なところ、いまだに他社が追随してこないことを考えれば、それは“必須”のテクノロジーとはいえない事柄でもあるはずだ。
それでもこのブランドが、かたくなにそこにこだわり続けるのは、当然そこに固有のメリットを見いだしているから。氷の表面を物理的に引っかくと共に、殻が抜け落ちた後の穴が吸水性を発揮し、滑りの原因となる“ミクロの水膜”を取り除いてグリップ向上に役立つという実際上の効果。さらに加えて、とかく専門的になりがちなスタッドレスタイヤのテクノロジーの中にあって、「クルミの殻」という誰もが知る身近な硬い物質を採用する事がもたらす、イメージの分かりやすさにも理由があるに違いない。

トレッドに採用されたのは、「NEO吸着ナノゲルゴム」と名付けられたコンパウンド。その素材に、天然由来成分で自身が親水性を備えた「NEO吸水カーボニックセル」が新配合されたことで、従来アイテムに対して前出のミクロの水膜を取り除く効果が高まったという。
従来品に対して一新されたトレッドパターンは、路面踏み込み時のサイプ閉じを抑え、除水とエッジ効果の向上を狙った「3Dサイプ」や、ブロック同士が支え合うことで高い制動性や旋回性の確保を狙った「コンビネーション・ブロック」などが特徴だ。 

アップダウンのある外周路を走る「トヨタ・クラウン」。
アップダウンのある外周路を走る「トヨタ・クラウン」。 拡大
今回はミニバン用のスタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH MK4α(ウィンタートランパス・エムケーフォー アルファ)」にも試乗。もちろん、こちらのタイヤにも「クルミの殻」が使われている。
今回はミニバン用のスタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH MK4α(ウィンタートランパス・エムケーフォー アルファ)」にも試乗。もちろん、こちらのタイヤにも「クルミの殻」が使われている。 拡大
「オブザーブ・ガリットギズ」のトレッドパターン。路面に接地した際に、溝や穴がふさがったりしないよう配慮したり、ブロック同士が支えあうことで過度な変形を防ぐようにしたりと、さまざまな工夫が施されている。
「オブザーブ・ガリットギズ」のトレッドパターン。路面に接地した際に、溝や穴がふさがったりしないよう配慮したり、ブロック同士が支えあうことで過度な変形を防ぐようにしたりと、さまざまな工夫が施されている。 拡大

磨耗したタイヤとの比較も体験

すでに市場で実績を重ねて来たモデルということで、北海道では最大、日本全国でも第3位の面積を誇る、オホーツク海に面したサロマ湖にほど近いサロマテストコースで開催された試走会には、未使用の新品と共に、ある程度の摩耗状態が再現されたタイヤも比較のために用意されていた。

早朝にスタートした試走イベント開始時の気温は、マイナス11度。前述のように、そもそも「氷上で滑る理由はタイヤと路面間のミクロの水膜」ゆえ、ここまで気温が下がるとグリップ力は意外にも高い。
4WDモデルであれば乾燥路面上と変わらないアクセルワークでも、特に手こずる感覚もなく発進が可能。当然、舗装路同等とまではいかないものの、こうして安定した走りの感覚が得られるのは、新品でも“摩耗品”でも同様だった。

そんなシーンを筆頭に、街乗りを想定したごく穏やかな走りの範囲では、“摩耗品”でも極端にグリップが低下した印象は抱かずに済む。一方で、走りのテンポを上げ、ハンドリング路を新品と同じペースで駆け抜けようとすると、特に下り坂などの後輪荷重が抜ける場面では、より早いタイミングでリアが外側へと流れ始め「おっとっと……」といった状況になりやすかったのも確か。

残り溝深さの変化による影響が、やはり“夏物”より大きいのがスタッドレスタイヤなのだ。今回の比較体験は、あらためてそんなことを教えてくれることにもなった。

(文=河村康彦/写真=東洋ゴム工業)
 

今回のイベントでは、写真のように磨耗して溝の浅くなったスタッドレスタイヤでの試乗も行われた。
今回のイベントでは、写真のように磨耗して溝の浅くなったスタッドレスタイヤでの試乗も行われた。 拡大
外周路を走る「アウディA4」の4WD車。路面がぬれていなければ、特に4WD車では通常の路面と変わらぬアクセルワークでも発進することができる。
外周路を走る「アウディA4」の4WD車。路面がぬれていなければ、特に4WD車では通常の路面と変わらぬアクセルワークでも発進することができる。 拡大
パイロンスラロームや定常円旋回のコースなどでは、タイヤの磨耗度合いによる挙動の差がはっきりと感じられた。
パイロンスラロームや定常円旋回のコースなどでは、タイヤの磨耗度合いによる挙動の差がはっきりと感じられた。 拡大
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