第139回:F-150で通勤する会計士は腕利きの殺し屋だった!?
『ザ・コンサルタント』
2017.01.20
読んでますカー、観てますカー
ヘンな髪型のもっさり中年ヒーロー
ベン・アフレックがイケメンかどうかについては意見が分かれるだろう。端正な顔立ちではあるが、生気のない目とケツあごの組み合わせでは典型的な美男にならない。加えて、あの過剰なマッチョさである。筋肉が大好きで毎日トレーニングを積んでいるらしいが、体つきがおっさんくさい。バランスが悪くてもっさりしているのだ。
そういう意味ではバットマンは似合っていたのかもしれない。悩んでばかりのダークヒーローは、重厚で陰鬱(いんうつ)な雰囲気を全身から発散する。インテリ設定なのに、見た目は暴力性を秘めた肉体派だ。彼にうってつけの役だと思っていたら、『ザ・コンサルタント』で演じた人物はもっとハマり役だった。
クリスチャン・ウルフは田舎町で会計コンサルタントをしているが、裏の顔は腕利きの殺し屋である。地味なスーツを着てメタルフレームのメガネをかけた姿は、やぼったくてさえない中年男性そのものだ。髪型がヘンである。コテで固めたような寸分たりとも乱れのないフォルムで、場末の床屋に貼ってあるヘアスタイルの見本に似ている。すべてをコントロールし、無秩序を許さない人物であることが視覚的に示されているのだ。
彼は幼い頃からジグソーパズルが得意だった。ソロモン・グランディを歌いながら体を揺らし、またたく間にピースを組み上げていく。完成しても、なぜか絵は現れない。裏返しにしてピースの形だけを頼りにパズルを解いていたのだ。彼は同じTシャツばかりを着ていて、別の服は嫌がる。一つのことに執着し、集中すると類まれな能力を発揮する。『レインマン』でダスティン・ホフマンが演じた人物と似たタイプなのだ。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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