第436回:嗚呼! ソソられまくりフランクフルト(前編) 勝手に予言……将来絶対フェラーリSUVが出る!?
2011.09.28 小沢コージの勢いまかせ!第436回:嗚呼! ソソられまくりフランクフルト(前編)勝手に予言……将来絶対フェラーリSUVが出る!?
新作ジャガーに大ショック!
だいたい1日4〜5km(!?)は歩くってわかってて、またまた行っちゃいましたよ、第64回IAAことフランクフルトモーターショー! 敷地面積が約17万平方メートルとデカいうえ、あちこちブースが散らばってるから大変なんだよね。全部回るのって。早いところ“歩く靴”でも作ってほしいとこですよ。プチ腰痛持ちの不肖・小沢コージといたしましては。(苦笑)
なーんて内部事情はともかく、行くとつくづく“日・独の温度差”というか、“日・海外の温度差”をキョーレツに感じますな。
おキラクなとこから報告させてもらうと、個人的な「来て良かったで賞」筆頭は、ジャガーの新型2ドアクーペコンセプト「C-X16」! 市販も予定されているそうで、そりゃもう、問答無用にカッコええっス。
SCOOPフォトである程度はわかってたけど、アイドルを生で見たときの衝撃と言いますか、サッカー日本代表・香川真司のエリア内ゴールをドルトムントで見た(見てないけど)感動といいますか、タメ息出んばかりの出来。
特にこの数年間、「?」を付けたくなるジャガーデザインを見てきただけに、その反動が余計にデカい。留飲がイッキに下がるというか「コレだよ、コレコレ!」って気分ですわ。真夏の仕事帰りに生を一杯やるような感じ……と言いますか(笑)。
デザイナーは最近のジャガー車に同じくイアン・カラム氏だそうで、うーむ、一体今まで何を遠慮してたんだ……って感じだけど、聞けば彼なりに「4ドア」と「2ドア」の境界線というか、新生ジャガーとして一緒にできない部分もあったそうで、言われてみれば全然わからなくもない。
というかディーラーサイドには、「コイツが出ると、『XK』が売れなくなるかも(そりゃそーだ!)」って切実な心配もあるみたいだけど、なったらなったで仕方ないでしょ。それよりジャガークーペは「カッコいいこと」が生命線。素直に喜ぶべし!
かっこよすぎる! イギリス車
同時に、すでに知られたドイツプレミアものではあったけれど、アストン・マーティンの「One-77」も良かった〜。「むしゃぶりつきたくなるケツ」(下品でスミマセン……)ってのはまさにこのことで、アストンはこの辺、あいかわらず振り切ってるよね。“漢(おとこ)”がドコにイキリ立つのか? ってのをカンペキにわかっておられます。悔しいくらいに(笑)。
同様にニュルブルクリンク24時間にも参戦した「V12ザガート」もね。いいのよ、フェンダーのエグれ具合が。写真じゃうまく表現できなかったけど、少量生産の手作り系マシンにのみ許される危うさというか、ギリギリ感が非常に良く表現されていて、古くは宮沢りえの「ふんどしヌード」的と言いますか、やっぱりテーラーメイドのクルマを作り続けてきたワザが生きてます。
同じイギリス生まれ、「これからのディフェンダー」って触れ込みの「ランドローバーDC100」とそのチョップトップオープン版(?)も超カッコよい。よく見るとそのマッチョなフェンダーといい、2mを超えるであろう全幅といい、イキ過ぎなくらい未来的でグラフィカルなんだけど、全体としてはランドローバーが持つ骨太さというか、ボクシーさがキープされてて非常に心地よい。
この辺り、ホントにイギリスブランドって、「崩してるんだけど、崩しすぎない」洋服的うまさがあって、何かというとすぐフューチャリステイックに走っちゃう国産車系デザインにはできないあんばいなんだよね。
イタリア勢にもやられっぱなし
あとはいきなりラテン系行っちゃうと、アルファ・ロメオの「4Cコンセプト」。いわばスーパースポーツ「8Cコンペティツィオーネ」を半分にぶった切った4気筒(4C)のスーパーカー。コイツも良かった! 既にジュネーブで公開済みみたいだけど、オレにとっては初見で、なんといってもその“液体人間”っぽいヌメり感が良い。聞けばシャシー同様に上屋もカーボン素材でできてるようで、このタッチは塗装らしいが、ホントこういう演出、実にうまいよねイタリア人は。
もしや古くは内装の「アルカンターラ」みたいに、実は日本発の新素材だった……みたいなハナシがあるとアレだけど。まあ、そうではないと信じたい。
さらにお次は同じくイタリア系のマセラティ「クーバン」! 見た瞬間、コイツにはやられた……と思いました。カッコいいっていうか、こういうのを作られたら一部の好きモノは絶対にハマる。要するに「クワトロポルテ」のSUV版みたいなもんなんだからさ。
中身は同じグループになったジープの「グランドチェロキー」みたいだけど、エンジンはフェラーリV8+8段ATだそうで、その辺りも抜かりなし。ボディのデカさから考えて、日本じゃ絶対数は出そうにないけど、それでもうまく売ればお金持ち垂ぜんのSUVになることは間違いないでしょう。
と同時に、オレは勝手ながら今から10年以内に“フェラーリ製SUV”が出ることを予言しちゃいましょう。この手のダブルテイストというか、“エルメスが出したダメージジーンズ”的なハイブランド系ドレスダウン商品はウケるに決まってんだから。特に目立つことに命をかけてるリッチマン系にウケまくりが予想でき、今後の不況の進み方にもよるが、いずれにせよ、フェラーリ首脳陣の間にそのアイデアがあることは想像に難くない。
うーん、でもハズれたらゴメンね(笑)。
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ついでに同じくゴージャス系ではキャデラックの新作コンセプト「シエル」もよい。これまた既にカリフォルニア州ペブルビーチで公開済みだそうだけど、オートショーはお初で、とにかくアメ車らしい伸びやかなエレガントさがたまらない。全長5mオーバー&全幅約2mのビッグスケールを隅々まで生かし切ってて、これぞキャディラック!!
つまりなんかね。後ほど語るけど、つくづく世界の好景気ぶりが前面に出ていたショーだったわけですよ。それも日本を除く……。
ってなわけで結論は、刮目(かつもく)して後編を待て!! なんつってね(笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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