ランボルギーニ・ウラカン ペルフォルマンテ(4WD/7AT)
空気を味方につけたウラカン 2017.07.20 試乗記 車名の「ペルフォルマンテ」とは、英語でいう「パフォーマンス」の意。アクティブ・エアロダイナミクス・システムを得て、さらなる速さを手に入れたニューモデル「ランボルギーニ・ウラカン ペルフォルマンテ」の実力を、鈴鹿サーキットで解き放った。ただ者ではないオーラに満ちている
飛んだり跳ねたり滑ったり……丘陵地形をそのままフォローした結果による路面レイアウトの過酷さと、1周が20kmを超えるというあり得ないほどの長さから、難攻不落のロケーションとして知られるドイツはニュルブルクリンクの旧コース。
もはや遠い過去のハナシとはいえ、さしたるエスケープゾーンも存在しないこの場所で、フォーミュラ1のレースを行っていたというのが、今では“常識外れ”という感覚以外の何物でもないというならば、ナンバー付きながらそこを7分を切るタイムでラップしてしまうのも、半ば“常軌を逸した世界”へと半分足を踏み込んでいるように思えてしまう。
自ら「量産車としては史上最速」とアピールする、そんな偉業を成し遂げたのが、「ランボルギーニ・ウラカン」のラインナップに最もレーシーなモデルとして加えられたペルフォルマンテ。
イタリア語でペルフォルマンテとは、英語にすればパフォーマンス。これすなわち、ウラカンの中にあっても「格別にスポーティーな一台」であることを、そんな名前が物語っている。
邦貨で3100万円超と価格も格別なウラカンのルックスは、もはや“うずくまった猛獣”そのもの。もちろん、標準仕様のウラカンでもすでに「ただ者ではない」感は満点。が、ウラカンのワンメイクレースである“スーパートロフェオ”の参戦車両からヒントを得てデザインされたというこちらは、さらなるオーラを発散する。
もっとも、そんなこのモデルのデザインの見どころは、実はむしろ“見えざる部分”にこそあるとも言える。それが、「ALA」と称される、このモデル独自のアクティブ・エアロダイナミクス・システムだ。
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気流を操るALA
スーパースポーツカーにおける可変の空力デバイスは、もちろん、それほど珍しいものではない。日常シーンでの流麗なスタイリングと高速域での安定性を両立させるべく、ボディー後端に格納されたスポイラーがある速度を境に立ち上がる例は数多い。また、挙動の乱れを生み出す床下への空気の入り込みを抑制するべく、フロントエアダムが拡張されるアイデアは、例えば日本車でもかつての「スカイライン」や「スープラ」にまで見ることができたものでもある。
けれども、ウラカン ペルフォルマンテに採用されたデバイスが、それらのアイテムと根本的に異なるのは、スポイラーそのものを動かしたり、その面積を拡大させたりといった手法はとっていないことにある。前後のスポイラー内に空気流路を確保し、そこに内蔵をしたフラップを開閉させることで気流を変化させ、重量増を抑えつつ大きな効果を獲得する……これが、ALAの基本的な考え方であるのだ。
具体的には、前後のフラップを共に閉じた場合(ALAがオフ)には、オリジナルのデザインが生きて高いダウンフォースが発生。一方、前後フラップを開いた場合(ALAがオン)には前後スポイラーが受ける抗力が低減され、ダウンフォースを失う代わりに加速や最高速の向上が可能となる。
すなわちこれは、現在のF1でいうところの“DRS(ドラッグリダクションシステム)”そのもの。加えれば、リアのデバイスは左右2組のフラップで構成され、個別に制御することでベクタリング効果までを発生させる、という点では「F1以上の高機能」と言えることにもなっている。
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やはりランボルギーニはこうでないと!
というわけで、そんな興味深い空力デバイスを備えたウラカンの最新作を、鈴鹿サーキットのフルコースでテストドライブ! それは本来であれば血沸き肉躍るひと時……であるはずなのだが、なんとテスト当日は朝からまさかの暴風雨! 当初はイベント開催すら危ぶまれるほどだったが、それでも何とか“パフォーマンス”の片りんを味わうべくドライバーズシートへと収まった。
シート背後に7段DCTとの組み合わせで搭載されるのは、5.2リッターのV型10気筒エンジン。真っ赤なカバーを開いてスイッチを押す、という“儀式”とともにそんな心臓部に火が入ると、あらためてランボルギーニ車の魅力が、まずは自然吸気の多気筒エンジンに宿っていることを教えられた。
アクセルペダルに触れるか否か、と、そんな微妙な段階からすでにシャープそのもののレスポンスと、やはりアクセルワークに即応してビンビンと鼓膜を刺激するサウンドは、やはりこれこそがスーパースポーツカーの魅力の根源と教えられる。
もはやあらゆるカテゴリーのモデルで電動化やむなしの空気が流れる中、たとえそうなってもこのブランドの作品には、「このテイストは何とか残してほしい」と感じさせられずにはいられなかった。
当初のヘビーウエット状態下では、4WDのトラクション能力をもってしてもとても深くまでアクセルペダルは踏み込めないが、雨がやみ、何とかセミドライの状態まで路面が回復した最後のセッションでは、瞬間的ながらもフルアクセルを体験。
両サイドにエスケープゾーンか確保され、視界の開けたサーキットでさえ、周囲の風景がはじかれたように“後方へと加速”していく。8000rpmで最高出力を生み出す心臓の雄たけびが、もはや得も言われぬ快感と受け取れたことは言うまでもないだろう。
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フットワークはドライバーの操作に忠実
何せ3000万円超という超高額車。でも、せっかくサーキットに来ているのだから、ちょっとは限界近くまでを見てみたい……という葛藤が、アクセルを踏む力と戻す力(?)でせめぎ合うなか、何とも心強かったのは、とにかくオーバースピードでのコーナー進入は避けるというセオリー通りのドライビングを心がけている限り、決して危なげな挙動は示さないという事実だった。
果たしてそこに、ウラカン クーペ比で大幅増とうたわれるダウンフォースがどれほど効いているのか? あるいはそれとはまた別の理由によるものなのか、正直なところ定かではなかった。それでも、こうした悪条件下でも“空気を味方につけている感覚”を味わうことができたのは事実だった。
今回、このモデルで走行した周回数はトータルわずかに6周。それでも、最後の最後になると路面が乾き始めたこともあって、ドライバーの操作の一挙手一投足が見事までにクルマの動きとして純粋に反映され、「これはバツグンに楽しい!」と思えるようになったのは本当だ。
そしてまた、こうして際立つ運動性能の片りんを味わった時、このモデルがうたう6分52秒01というニュルブルクリンクでのラップタイムの立役者が、“ランボルギーニ版DRS”にあることにも気が付いた。
実は、ニュルブルクリンクの旧コースにはゴール直前に長いストレートがあり、ここをいかに速く駆け抜けるかが、ラップタイムを短縮するための、大きなキーポイントになっている。となれば、ここでは特に必要とないダウンフォースを捨て、抵抗の小ささを獲得できれば、リスクを冒さずに一気にタイムアップが見込める理屈。
ALA――それは、ニュル攻略のためのとっておきの特効薬。ペルフォルマンテの名が与えられた特別なウラカンは、そんな走りの聖地をかつてなく意識したランボルギーニの作品なのかもしれない。
(文=河村康彦/写真=池之平昌信/編集=竹下元太郎)
テスト車のデータ
ランボルギーニ・ウラカン ペルフォルマンテ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4506×1924×1165mm
ホイールベース:2620mm
車重:1382kg(乾燥重量)
駆動方式:4WD
エンジン:5.2リッターV10 DOHC 40バルブ
トランスミッション:7段AT
最高出力:640ps(470kW)/8000rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/6500rpm
タイヤ:(前)245/30R20/(後)305/30R20(ピレリPゼロ コルサ)
燃費:13.7リッター/100km(約7.3km/リッター 欧州複合モード)
価格:3416万9904円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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