日産エクストレイル モード・プレミア ハイブリッド ハイコントラストインテリア(4WD/CVT)
フトコロの深いクルマ 2017.08.21 試乗記 日本はもちろん、欧米でも支持を得ている日産のSUV「エクストレイル」。そのラインナップにおいて、唯一の“都会派モデル”となっているオーテックの「モード・プレミア」に試乗。グローバルカーならではの魅力に触れた。世界各地で人気を博す
「試乗車を運転していると、それと同じクルマばっかり目にとまる法則」というのがあって、今回の試乗中もエクストレイルが目についた。だがこれは、その法則のせいばかりではない。エクストレイルは実際、売れているのだ。現行の3代目モデルが登場したのは2013年12月にさかのぼるが、販売はいまなお好調で、2017年に入ってからも月平均5000台に迫る。日産車のなかで「ノート」「セレナ」の次くらいに売れているのだ。
「ローグ(Rogue)」の名で販売されるアメリカでも絶好調だ。2017年は月にかるく3万台を超えるペースで売れていて、「ホンダCR-V」とコンパクトSUVクラスのトップを争っている。
ヨーロッパは日本と同じ「エクストレイル(X-TRAIL)」の車名だが、昨年、ルノーが出した新型「コレオス」も、エクストレイルの兄弟車と言っていい。2705mmのホイールベースをはじめ、ボディーサイズはほぼ同じ。見た目もルノー顔のエクストレイルである。ルノーサムスンが生産する先代コレオスは、一時、ルノー・ジャポンが販売したが、今回は“ない”でしょう。
2017年上半期、日産三菱ルノー連合は、フォルクスワーゲン、トヨタをおさえて、世界販売トップに立った。もちろん三菱を傘下に収めたことが急伸の理由だが、エクストレイルはそんな急成長グローバルメーカーで重要な地位を占める世界戦略車なのだ。
ラインナップで唯一の“都会派”
今回試乗したのは、この6月にマイナーチェンジを受けた最新モデルの「モード・プレミア ハイブリッド」。ふつうのエクストレイルでは満足できないという人に向けたオーテック仕立ての高付加価値モデルである。
ヘビーデューティーな“タフギア”をうたうエクストレイルにあって、モード・プレミアのコンセプトは「都会向き」だ。シリーズ唯一の19インチホイールを履き、専用のバンパー、シート、内装パネルなどの特別装備をまとう。サイドスカートやホイールアーチのブラックアウト処理もやめて、モノカラーにしている。そのため、特に試乗車の白だと、大柄なボディーがいっそう大きく見える。1650kgの車重も、ノーマルのハイブリッド4WDより10kg重い。
試乗車に付いていたストーンホワイトレザーシートも専用装備だ。本革と合成皮革の混成だというが、カタログを読み込むまで、一点の曇りもないビニールレザーだと思っていた。気の置けないツルツルしたこういうレザーシートは、アメリカ車のセダンなどに昔からよくあるが、本革シート仕様のエクストレイル! と期待すると、肩透かしを食らうと思う。
燃費よりもパワーが見どころ
エクストレイル ハイブリッドのパワートレインは、「1モーター2クラッチ」方式。147psの2リッター4気筒エンジン、41psのモーター、CVTを直列に配置し、モーターの前と後ろにクラッチを入れた。その結果、モーターのみのEV走行もできる。今度のマイナーチェンジでカタログ燃費がわずかに向上している。
エクストレイルのハイブリッドに乗ったのは初めてだが、予想以上にパワフルだと思った。特に“スピードに乗せる“までの加速が意外や俊敏だ。グワッと力強いこの感じ、何かに似ていると考えたら、ノートの「e-POWER」にそっくりである。あれをそのまま大きくしたような印象だ。
高回転まで引っ張ると、エンジンはなかなかスポーティーな音を聴かせる。CVTということで、フロアセレクターの前進シフトポジションは「D」と「L」しかないが、降坂時の減速用としても、有段化してパドルシフトがほしいところである。
乗り心地はまずまずだ。19インチホイールのせいか、荒れた舗装路ではややバタつくが、SUVだから、これくらい野趣があってもいいだろう。
約340kmを走って、燃費は10.9km/リッターだった。「SUVの皮を着たプリウス」こと「トヨタC-HR」のほうが好燃費だが、チカラはエクストレイルのほうがある。同じく2リッターエンジン+1モーターでCVTを使う先代「スバルXV」のハイブリッドも、現実燃費はこれくらいだった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
グローバルカーならではの包容力
試乗車にはオプションの “プロパイロット”が付いていた。「同一車線自動運転技術」とCMで高らかにうたう運転支援システムだ。高らかなわりに、単眼カメラですか!? といったツッコミもあろうが、高速道路では頼りになる。ウインカーを出さずに白線を踏んだときのハンドルの戻し方など、アシストとはいえ、けっこう攻めるタイプである。ステアリングのスポーク上にまとまったスイッチもわりと使いやすい。
エクストレイルの人気のひとつは、ボディーの実用性の高さである。外寸は、国産ライバルよりもワンサイズ大きく、特に4.7mの全長は「トヨタ・ハリアー」と同クラスである。おかげでリアシートはとても広い。座面も高く、ふたりの大人がゆったり快適に座れる。荷室も大きいが、ハイブリッドは駆動用バッテリー搭載で床が10cmほどかさ上げされている。
運転していて、どこか際立つ個性があるわけではないが、グローバルカーらしいフトコロの深さに好感が持てるSUVである。長く乗っても疲れないおおらかな乗り味は、「スバル・アウトバック」に似ていると思った。ノートe-POWERと同じく、売れるクルマは、売れるべくして売れるのだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
テスト車のデータ
日産エクストレイル モード・プレミア ハイブリッド ハイコントラストインテリア
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4705×1830×1730mm
ホイールベース:2705mm
車重:1650kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:147ps(108kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4400rpm
モーター最高出力:30ps(41kW)
モーター最大トルク:160Nm(16.3kgm)
タイヤ:(前)225/55R19 99H/(後)225/55R19 99H(ブリヂストン・エコピアH/L422プラス)
燃費:--km/リッター
価格:364万3920円/テスト車=428万9944円
オプション装備:ボディーカラー<ブリリアントホワイトパール>(4万3200円)/ルーフレール(5万4000円)/インテリジェントアラウンドビューモニター<移動物検知機能付き>+インテリジェントパーキングアシスト<駐車支援システム>+インテリジェントルームミラー+NissanConnectナビゲーションシステム+インテリジェントDA<ふらつき警報>(34万9920円)/プロパイロット+ハイビームアシスト+ステアリングスイッチ<プロパイロット>+電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド+インテリジェントLI<車線逸脱防止支援システム>+BSW<後側方車両検知警報>+RCTA<後退時車両検知警報>(14万0400円) ※以下、販売店オプション 専用フロアカーペット<消臭機能付き+「モード・プレミア」エンブレム付き>(3万6504円)/専用ラゲッジカーペット<消臭機能付き+「モード・プレミア」刺しゅう付き>(2万2000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:720km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:339.2km
使用燃料:31.2リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:10.9km/リッター(満タン法)/12.0km/リッター(車載燃費計計測値)
拡大 |

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。










































