第446回:日本が誇る名車の走りを助手席で体験!
トヨタ2000GT生誕50周年祭をリポート
2017.09.30
エディターから一言
拡大 |
クルマ好きなら誰もが知る日本の名車「トヨタ2000GT」が発売されたのは、1967年5月のこと。あれから50年の節目を迎えた今年の9月24日、オーナーたちによる記念イベントが東京・台場のメガウェブで開催された。さまざまな催しが行われたイベントの様子をリポートする。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
日本を代表する名車がお台場に集合
「トヨタ2000GT生誕50周年祭」と銘打たれた今回のイベントを主催したのは、トヨタ2000GTオーナーズクラブ・ジャパン。結成は1981年のことで、現在のクラブ員は約80人だという。今回、会場に集結したのは、そのクラブ員の愛車を中心とした20台弱。総生産台数はたった337台だから、その数は全体の5%にも上る計算で、まさにシーラカンスの大群と遭遇した気分であった。しかもこのイベントでは、貴重な2000GTをじっくり見られるだけでなく、オーナーたちが来場者向けに同乗試乗まで行うというから驚き。取材陣もオーナーズクラブのご厚意により、イベント開催前に同乗試乗をさせてもらった。
私が助手席でお世話になった車両は、オーナーズクラブの会長兼同イベントの実行委員長である、瀬谷孝夫さんの愛車だ。瀬谷さんによると、このクルマは後期型の市販1号車だそうだ。瀬谷さんは若き日に発売された2000GTに衝撃を覚え、憧れたひとり。ようやく手に入れた同車にずっと乗り続けており、既に33年を共に過ごしてきたという。見たところ内外装はかなり状態の良いものだったが、瀬谷さんいわく、入手した後にコツコツと手を入れて、現在の状態にまで仕上げたとのことだった。
助手席で味わう2000GTのすごみ
私自身、これまでイベントや博物館などで2000GTを見たことは何度もあるが、乗るのは今回が初めて。それだけに同乗試乗はうれしいサプライズだった。あらためて2000GTを目の前にすると、驚くほどコンパクトであることを実感する。写真などでは、その迫力からもっと大きく見えるのだが、実際には全長×全幅×全高=4175×1600×1160mmしかない。乗り込む際は潜り込むような姿勢となり、ドアがフロントフェンダーに大きく食い込むようにデザインされている理由も納得。そうでなければ、大人はとうてい乗降不可能だろう。
しかしながら、シートに収まると車内に窮屈さはなく、ただ包み込まれたようなクルマとの一体感がある。視界も良く、眼下に広がる豊かな色合いのウッドパネルのインパネと、そこに備わる計器やスイッチ類の機能的な美しさに見とれてしまった。2000GTが発売された1967年といえば、まだスポーツカーは遠い存在だったはず。ましてやその頂点にある2000GTに、当時の人がどれほどの憧れを感じていたかを想像するのは難しい。きっと今の私のように、乗り込むだけでワクワクしたのではないだろうか。
試乗は、メガウェブの新車試乗に使われる一周1.3kmのライドワンコースで行われた。長い直線ではエンジンを7000rpmまで引っ張り、助手席の私は力強い加速と心地よいツインカムサウンドを堪能した。2000GTのエンジンは3000rpm以上を保って走らせた方が良いとのことで、積極的に回した方が楽しめるというのが実にスポーツカー的だ。思いのほかに乗り心地も良く、コーナーではキビキビした動きも見せてくれた。50年の時を経てもあせることないその魅力に、当時の開発者たちがいかに高い目標を掲げて2000GTを開発していたかを実感した。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
クルマに宿るオーナーごとの個性
会場にはゲストとして、トヨタのワークスチームでドライバーとして活躍し、2000GTの開発にも携わった細谷四方洋さんや、同じくトヨタワークスチームに所属し、現在も自動車評論家として活躍する津々見友彦さんが登場。トークショーでは、プロトタイプで挑んだスピードトライアルなど、当時の貴重な思い出話が次々に披露され、参加オーナーと来場者たちは熱心に2人の話に聞き入っていた。
この日集まった2000GTはオーナーカーが中心だっため、前期型と後期型がそろい、さらには当時のレーシングカーを再現した個体もるなど、単一車種の集まりでありながら、よくよく見ると個性豊かなクルマが肩を並べるイベントとなっていた。
ボディーカラーは、やはり白が多いものの、珍しい赤やグリーン、シルバーの個体も見られた。瀬谷会長によると、「2000GTの色はイメージカラーだった白が圧倒的に多いが、レストアなどでリペイントする際、同じ白でもオーナーの好みに合わせた調色を行っているものが多く、それが個性となっている」とのこと。また、メガウェブとトヨタ販社が所有する左ハンドルの輸出仕様車が2台展示されていたことも驚きであった。メガウェブの車両はプロトタイプで、メインテナンス性とトルク向上を目的に2.3リッターのOHCエンジンを搭載した、通称「2300GT」と呼ばれているもの。もう一台は、国内向けと同じく2リッターのツインカムを搭載したものだった。
未来のクルマ好きとの交流も
また、各参加車両についてはオーナー自ら特徴やエピソードなどを紹介。「新車当時から家族で受け継いできたワンオーナー」や、「オーナー自身が傷んだ個体をフルレストアした車両」など、さまざまなヒストリーが語られ、それぞれのオーナーが抱く2000GTへの愛情を伺い知ることができた。また、今回のイベントには大人だけでなく、チビッ子や学生も多く来場しており、オーナーたちは目を輝かせて質問する若きクルマ好きを優しく受け止め、世代を超えたクルマ好き同士の交流が図られていた。
今回の機会を逃して残念に思っている方もいるかもしれないが、トヨタ2000GT生誕50周年祭はこれで終わりでなく、11月4日には愛知県長久手市にあるトヨタ博物館でも開催される。当日は20台ほどの2000GTが集結するほか、同会場でも同乗試乗体験が行われるという。貴重な2000GTをじっくり見るだけでなく、深い愛情をもって接するオーナーとも交流が図れる貴重な機会だけに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
(文と写真=大音安弘)

大音 安弘
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記 2026.5.27 “世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。














